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教師の視点から見た小学校と中学校、田舎と都市部!校種と地域の違いを解説します!

今年度も終わりが近づき、人事異動の季節になってきました。
※執筆は2024年1月ごろ

配属先の環境次第で働きやすさは随分変わってくるので、今年異動を控えている先生は、自分がどんな学校に配属されるか気になりますよね。

学校による違いに関しては、以前「大規模校」と「小規模校」の比較を記事にしたことがありました。

今回は、小学校と中学校、田舎と都市部の両方で働いた経験から、それぞれの学校でどのような違いがあるのかをまとめていきます。

今年異動を控えている先生だけでなく、それぞれの学校でどんな違いがあるのか気になる先生にもぜひ見ていただければと思います。


(1)小学校の良さと中学校の大変さ

はじめに、小学校の良さと中学校の大変さを説明します。
※あくまで自分の考える良さなので、学校や教師によっては違う見え方になることもあります。

・教科指導の自由度

小学校は、教科担任制ではなく学級担任が多くの授業を担います(最近では、交換授業や高学年での教科担任制導入が行われている)。

そのため、授業を2時間連続で行ったり、複数の教科を連携させた合科的な授業を実施したりすることもできますし、校外学習や社会見学、講師を招いた出前授業などを柔軟に設定して教育活動を行うこともできます。

教科担任制で時間割がしっかり決まっている中学校は、時間割も内容もかっちり決まっており、自分の教科のみを担当するため、時間割変更や合科的な指導が難しく、教科指導の柔軟性が小学校と比べて劣ります。

目の前の子どもの実態や、授業の理解度や行事のタイミングなどによって柔軟に学習を設定することができる点が、小学校の良さだと言えます。

・クラスの子どもと関わる時間が長く成長を感じやすい

小学校は、担任として複数の教科を教えることになるため、自分の学級の子ども達と多くの時間を共にすることができます。

学級の子どもたちの性質によってはデメリットと感じることもあるかもしれませんが、複数の場面で共通の子どもと関わることで、その子の新たな一面を発見したり、成長をより感じたりすることができます。

学年にもよりますが、中学生よりも子どもとの距離が近く(中学生の方がより精神的に自立している)、信頼関係を築きやすいですし、1年間で大きく成長したことが実感できるのは小学校の良さだと思います。

小学校にいると、低学年で担任した子が6年生として卒業していく様子を見たりすることもありますが、「担任していた時は、あんなに頼りなかったのに、6年生になってすっかり立派になったなぁ」と子どもの成長に驚かされることもしばしばです。

1年生から6年生まで6年間で大きく成長する子どもたちと一緒に多くの時間を過ごすことができ、成長をより感じられるというのが、小学校のよさの一つだと思います。

一方、中学校では教科担任で自分の担当教科+学活+道徳+総合など、限られた授業でしか自分のクラスに対する授業ができません。
※特に、技術家庭科や美術などの教科を担当する先生は、自分のクラスの授業がとても少ないです。

自分のクラスの中学生と長く過ごすのは、それはそれで難しい部分がありますが、中学校では小学校と比べ各教科での成長を直接見とることが難しいという違いがあります。

中学校と小学校はクラスで担任が過ごす時間の長さに明確に違いがあり、小学校の方が子どもの成長をより具体的に把握できます。

・休み時間に外で遊べる

小学校は長い放課には外に出て、校庭の遊具で遊んだり、ボール遊びをしたりする子も多いです。小学生は、教師と遊ぶのも大好きなので、休み時間に教師を外遊びに誘ってくることもあります。

授業準備や事務処理、体力の限界があるので、毎回付き合うことはできませんが、若くて元気な先生は休み時間に外で子どもと遊ぶこともできます。

遊びの中で子ども同士の人間関係が見えることも多々ありますし、仕事の一環として、元気な子ども達と体を動かすことのできる職場ってすごく素敵だなと思います。

僕は、小学校の教員時代にはよくサッカーやドッジボールをやっていました。鬼ごっこで10人の鬼に追いかけられるという経験は、中学校の教員ではなかなか経験できないですよね。

中学校は長い休み時間でも、運動場に出て体を動かすことはほとんどありませんし、そういったゆとりもありません。

小学校と中学校では休み時間の過ごし方が随分異なりますが、小学校の休み時間の方がゆとりがある気がしています。

・業者テストが使える

小学校は業者から購入したテストを単元テストとして使えます。単元ごとのテストを作成するのは、結構な手間なのですが、業者テストを採用することで、作成の手間を軽減することもできます。

業者テストと自作のテストやワークシートを効果的に組み合わせることで、教師の手間を削減しつつ、子ども達の学習状況を効果的に把握することができます。

一方、中学校の定期テストも単元テストも、教師が作成したものを使う学校が多いと思います。

中学校で勤務していると、定期テストの作成は作問から配点、その後の祭典と返却まで含めて結構な負担で、テスト週間が近づくとテスト関係の業務が他の業務を圧迫してきます。

自作なので、問題の確認なども手間がかかりますし、単元テストも含めると結構な労力です。

小学校でも自作のテストを使っている先生もいると思いますが、業者テストという選択肢がある小学校と、ほぼない中学校ではテスト作成にかかる労力が違います。

・行事で学級や担任のオリジナリティを発揮できる

小学校は行事の中で、学級や担任のアイディアや企画を反映させやすいといい良さもあります。

学校や地域にもよると思いますが、中学校はこれまでの伝統や形式が小学校よりも重視されがちで、担任や学級の想いや考えによって行事の内容を変更することが難しい印象があります。

中学校に比べると、小学校はより柔軟に子どもや担任の想いやアイディアを行事の中に反映できる良さがあります。

生徒の発達段階や個性によって、行事の内容を変えていくことがより重視されるのが小学校なのかな?と感じています。

(2)中学校の良さと小学校の大変さ

(1)では小学校の良さと中学校の大変さを述べてきましたが、逆に中学校の良さと小学校の大変さをまとめていきます。

・授業の使いまわしができる

中学校は教科担任制かつ学年が3学年しかないので、学年を一周してしまえば、基礎的な授業準備は一通りできてしまいます。

基礎的な準備が終わっていれば、後は目の前の子どもたちの実態や教科書の変更に合わせてマイナーチェンジしていけばいいため、1つの授業にかかる時間はだんだん短くなります。

同じ授業を複数のクラスで行うこともあるため、前のクラスの反省を次の授業に生かして改善していくことも可能です。

一方で小学校は教科担任制ではいので、多数の教科の準備を同時並行でこなさなければならず、1授業に対する準備時間も短くなりがちです。

複数のクラスで同じ授業を行うことは少なく、1回やったら次やるのは何年も後というケースがほとんどです。

1つの授業に対する準備時間が中学校と小学校では大きく異なります。

・細かいトラブルは少ない

中学校では子ども達が成長しているため、小学校で見られるような「○○さんが叩いてきた」「○○さんがこっちばっかり見てくる」というような細かいトラブルはほとんど発生しません。

日常的な細かい指導は、小学校よりも少なくて済む傾向にあります。

中学校でのトラブルはスマホを通して他校の生徒とトラブルを起こすなど、より重大で深刻なものであることも多いです。

一方、細かいトラブルへの対応も小学校では日常茶飯事です。
しかも、記憶が曖昧で正確な状況がつかみにくいことも多いです。

重大ないじめにつながることもあるのでぞんざいな対応をすることはできないのですが、
「お、おう…それは、あなたが悪いよね?」
「自分がやったこともちゃんと言ってよ!」
と思うことも多く、対応が難しいです。

休み時間に外で遊んでいるなかでのケンカやトラブルもあり、対応で授業がうまく進まないようなケースもあります。

中学校では、細かいトラブルへの指導が少ない一方、重大で深刻なトラブルが起きることもあります。小学校では、細かいトラブルへの指導が頻発するわりに、子どもの記憶が曖昧という大変さがあります。

・保護者からの謎クレームは少ない

中学生は学校生活にも慣れており、自分の学校生活の様子を自分の口で伝えることができるため、自分に非があって指導されたことは基本的に自分から親には伝えません。

そのため、適切な指導を行い生徒自身が指導に納得できていれば、保護者が出てくるような変なトラブルになることは少ないです。
※中学生に対する指導は、思春期・反抗期ならではの難しさはある

一方、小学生の場合、小学生ならではの細かいトラブルが日常的に発生していることに加え、学校でのできごとや指導された内容を子どもが親にうまく伝えることができず、謎のクレームが来ることもあります。

電話で説明すればわかってもらえることも多いのですが、最初に子どもから入った誤情報ばかりを信じてしまう保護者だと、話がすごくこじれることもあります。
※子どもは自分に都合の悪いことは言わないことが多い

小学生の場合は、子どもから曖昧な情報が保護者に入る前に、親に電話で情報を伝えてしまったほうが早いことも多いです。

中学生になると、生徒も保護者もそういった場合の対応がある程度冷静に行えるようになってくる印象です。

・嘔吐物やおもらしの処理は少ない

中学校では、気持ちが悪い場合は自分でトイレに行ったり、早めに保健室で休んだりするなど、自分の体調を把握して対処することができるため、教室での嘔吐等はほとんどありません。

一方、小学校の低学年では、タイミングを逃してトイレが間に合わなかったり、体調不良から急に吐き気が来たりすることがあります。

そういった場合、小学校では嘔吐物やおもらしへの対応が発生することもあり、子ども全員を異動させたうえで、嘔吐物処理を行う必要があります。

自分も小学校でこれまで数回ずつ経験しましたが、苦手な人は苦手かもしれません。

中学校は、子どもたちが自分の体調不良を言葉にできるようになるが、小学生は難しいこともあるという違いがあります。

・動物や植物の世話はない

中学校では、動物や植物の世話を学級担任がしなくてはいけないというケースは少ないように思います。
※教科によっては必要なケースもある

小学校では、動物や虫の飼育がある場合もあります。

また、理科や生活科の授業で扱う植物の世話も必要になります。

最近は減っていますが、鶏やうさぎなどを飼っている学校では、飼育小屋の掃除をまかされることもあり、苦手な人にはキツイと思います。

自分は動物が苦手なので、飼育小屋の掃除はかなりの苦行でした。

(3)田舎の学校と都市部の学校

次に、田舎の学校と都市部の学校について、比較してみたいと思います。

・子ども

田舎の学校の子どもは、純朴でおっとりしている子が多い印象です。

子どもの数が少ないため、地域から大切にされており、お祭りなどの地域行事への参加も積極的です。

都市部の学校の子どもは、しっかりしている子がいる一方、ものすごいはみ出し方をしている子もいるなど、子どもの性質の幅がとても広く見えます。

地域に対する関わり方は、田舎に比べるとドライで、塾や習い事に通っている子の割合も高い印象です。

どちらの地域がいい、悪いというものではないですが、田舎で育っている子どもの方が、より子どもらしいという感じがします。

・保護者

田舎の保護者は、学校に対して協力的であり、教師にも敬意をもって接してくれる方が多いです。

古き良き時代の学校と保護者の関係が、いまだに残っているという感じがあります。

都市部の保護者も、学校には協力的な方が多いです。しかし、一部の保護者は、学校に対して非常に厳しい見方をされており、理不尽なクレームを入れてきたり、教師に対して上から目線で意見を言ってくる方も目につきます。

都市部は、保護者の数が多いため、クレームをいうような保護者が多いことや、教師より学歴が高いことなどから、教師を下に見るような保護者が一定程度いることが原因かと思われます。

・地域

田舎の方が、地域は学校に協力的でいろいろな場面で手伝ってくれることがあります。一方で、地域行事への参加を求めてくるなど、地域との関りはかなり密です。

地域の中の学校という感覚が強く、協力的で大事にしてくれる一方で、学校の協力も求めてくるというような関係です。

都市部の方は、地域からの苦情や要望の方がよく耳に入ります。学校に対して厳しい見方をしている地域の方も多いです。しかし、地域行事への参加は、田舎ほど求めません。


田舎の学校も都市部の学校もそれぞれお良さと大変さがありますが、個人的には、田舎の学校の古き良き時代の学校と地域の関係が残っている場所の方が、教師としての働き甲斐はあるように感じています。

(4)まとめ

今回は、校種や地域の違いによるそれぞれの良さと大変さをまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。

先生のタイプや性格によって、小学校と中学校のどちらが合うのかは変わってくると思いますが、個人的には小学校の方が教師としてのやりがいを感じやすいのかな?と感じています。

また、田舎と都市部の学校にもそれぞれの良さと大変さがありますが、自分が生まれ育った地域に似た雰囲気の地域に赴任した方が、仕事はやりやすいように思っています。

今回の記事が、みなさんの参考になれば幸いです。

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