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家具選定と暮らしの心地良さ、過ごす空間と一人一人のパーソナルエリアを考えつつも視界に入る空間とテーブルそのもののサイズ感から生まれる雰囲気のデザインと設計の工夫。

奥行きが細いダイニングテーブルを
「選んではいけない」理由は・・・・・。


テーブルの奥行きは
軽視してはいけないという事。


間取りや部屋にあわせて家具も検討する事が
多いかと思います。


※IDC大塚家具ショールームにて家具選定候補(デコレ4人掛け)

※IDC大塚家具ショールームにて家具選定候補(デコレ4人掛け)


ですが、家具を選定する際に
家具独自の考え方だけで選定、
購入するのではなくて
実際の使い勝手を想定する事は重要です。

※実際に購入後のインテリアコーディネート
(デコレテーブルを2台レイアウトして8人掛けに提案)昼の様子

※実際に購入後のインテリアコーディネート
(デコレテーブルを2台レイアウトして8人掛けに提案)夜間の様子


例えば、ダイニングテーブルを
選ぶために考えておくべき基準は様々で、
その優先順位も
部屋や使い方によって、
勿論・・・価値観により
人それぞれと言って良いかもしれません。


家具専門アドバイザーだけでは
判断が難しいケースも実際は多いです。


デザインを優先したい人、
素材や製法にはこだわりたい人、
価格も欠かせない要素です。


空間に対して「ひとそれぞれ」の
パーソナルエリア(スペース)と使い勝手の差をどのように解読して
部屋にレイアウトするべきか?


※パーソナルスペース(Peasonal space)とは、
他人に入ってきてほしくない、
自分だけの空間のことです。 

別名「パーソナルエリア」「対人距離」とも
呼ばれており、
この空間に自分以外の他人が入ってくると、
強い不快感や抵抗を覚えます。(好意や対人関係性により変わります)


しかし、どのようなものを選ぶとしても
テーブルは必要な人数がきちんと
着座できることが必須であり、
同時に空間をある程度占めるものである以上
「サイズをどのようなものにするか?」は
絶対に外せない点となります。


どれだけ見た目が良くても
小さすぎては必要な人数で使用ができず、
あるいは狭くて使いづらいということもありえます。


反対に空間に対して大きすぎてしまうと、
周囲の余白が確保できずに
椅子の出し引きや回遊に
困難をきたす可能性も出てきます。


勿論そうならないように僕はいつも間取りの検討前に
家具ショールームやインテリアショップへ
ご案内させていただき
様々な要素検討の「入口」とさせていただいています。


使い勝手と空間とのバランス。


そして「家具そのもの」の役割を
損なわないためにも
ダイニングテーブルを含めて
サイズ選定は非常に重要です。


例えば、ダイニングテーブルの話しに戻して
テーブルサイズを考えると、
テーブルのサイズは主に
W=総幅、D=奥行き、H=総高で表されます。


Wについてはまさしく何人掛けか?

という部分の基準になることも多いので、
ある程度明確な希望や想定の
ある事が多い印象です。


一方、DやHについては
その重要度はWほど
認知されていない感があります。


しかしD、
つまり奥行きは
快適に食事や作業を行う上では
軽視してはいけない部分です。


細い奥行きのテーブルで起こること。

奥行きが細いダイニングテーブルを
選んではいけないと
やや過激な見出しで書きましたが、
厳密に言うと奥行きの細いものを
選ぶことが絶対にダメ、
ということではありません。


ですが、その際にはその「結果起こりえること」を
知っておくことで
家具の選定に後悔を覚える
要素が少なくなるはずです。


その「起こりえること」とは
「見た目のバランスが悪くなる」と
「対面距離が近くなる」事です。


見た目に美しいのは
適正な奥行を持ったダイニングテーブル。


まずわかりやすいのが「見た目のバランス」です。

ダイニングテーブルに限らず、
すべてのものには「美しく見えるバランス」
というものがあります。


それがシンプルな形状であればあるほど、
そのバランスは分かりやすく、
また好みもはっきり分かれると
言って良いかと思います。


家の間取りや構成要素と同じく。


長方形のダイニングテーブルを
例にとると、「カタチ」は
長辺と短辺が合わさって
その形状を作りあげています。


長方形として一番美しく見える両者のバランスは
「黄金比」を指標として
導き出すことが可能です。


黄金比とは「人間が最も美しいと感じる比率」のことであり、
具体的な数値は約1.61という値で表されます。


長方形の短辺(奥行き)をaとして、
長辺(幅)をbとした場合でも、
b/a=約1.61という
関係になれば「美しいバランスの長方形」となる訳です。


例えば、
総幅が1500㎜であれば奥行き850~860㎜程度、
1800㎜であれば奥行きは900㎜強となります。


事実、世のダイニングテーブルは
多少の数字の差異はあっても
これと同じか、
あるいは近いサイズで作られています。


例えば片側に3人が
常に着座できるダイニングテーブルが
欲しいとして、
その総幅は2100mmだとします。


そこで奥行きが700mm程度のものだと、
妙に細長く見えてしまう事も
あるでしょうね。


この場合、
美しく見える奥行きは950~1000mm、
あるいはそれに近い数値となります。


そしてそれが実際に
適度な対面距離を確保できる
テーブルサイズでもあります。


適切な対面距離の確保は
ダイニングテーブルの使用時には重要。

※YAMADA×IDC大塚家具大阪南港ショールームにて


快適性を左右する適度な対面距離とは、
つまるところ
自身がそこで必要なスペースを
確保できている状態で、
対面する人がいる場合に
互いが近すぎずそして
遠すぎない距離を指します。

YAMADA×IDC大塚家具大阪南港ショールームにて


食事や作業を行う際に
絶対に確保しておきたいスペースとして、
その奥行きは400mmといわれています。


ダイニングテーブルに着座して
対面に必ず人がいる場合、
互いに400mmのスペースを
必要とするわけですから、
その奥行きについては800mmを
確保しておきたいわけです。


互いに400mmが確保されているとして、
両方の間隔が
あまり離れすぎていても
遠く感じてしまい、
それはそれで不便を感じます。


そこで黄金比によって導き出される
美しいバランスの形状を持った
ダイニングテーブルは
対面距離をも
適切なものとしてくれるのです。


例えば850mmの奥行きなら
必要なスペース+50mm、
900mmなら100mmのプラスで、
食事の際などに
両者の間に大皿などを
置くことを可能にします。


実際にダイニングテーブルで
過ごす時間が長いほど、
隣や対面の人との距離感は
気になるものです。


適切な対面距離の確保を
可能とする奥行きを持った
ダイニングテーブルを選ぶことは
その場の快適性を左右します。


リビングのソファとテーブルや
ダイニングテーブルも各種シミュレーションと
暮らしのスタイル、
価値観等による空間における
適正サイズの確認も検討しながら
細かなサイズオーダーが大切です。


暮らしの事、
生活環境を整えるデザインと設計で
丁寧に家具やインテリアからも
家の事を考えてみませんか?。


ご相談・ご質問は
■やまぐち建築設計室■
ホームページのContact /お問合わせフォームから
気軽にご連絡ください。
やまぐち建築設計室 建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

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