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広報のための「お店のコンセプトを60秒で伝える3つのコツ」

山形で旅館の広報をしながら映像クリエイター活動をしている私がとある知人のヘアサロンで60秒PRショート動画を制作したときに詰め込んだナチュラルに人へ情報を伝えるポイントについて綴った記事です。


2022年8月、妻と私が通うご近所でプライベートでもつながりのあるママ友がマネジメントしている美容室を撮影してきました。

美容室さんからの主なオーダーは3つ。
・お店のコンセプトを表現したい
・ヘッドスパに力を入れている
 →頭浸浴(とうしんよく)という強い商品を有している
・専門のアイリスト(まつげパーマなどのプロ)が在籍している

技術、空間、ホスピタリティ、すべてが揃った上質大人サロン。
年齢を重ねて身体や髪型に変化が出てきても、その時々のお客様らしさに提案を心掛けます。開花した花のように何歳になっても、その時の自分を最大に美しく。どんな色の花を思い描くは、その人次第で如何様にも変化します。

AN.salon公式HPより店舗コンセプト

ユーザー目線で情報のバランスをチェック

まずはこの美容室にとって必要な動画は何なのかを探ります。
外に向けて情報がどの程度整理されて発信されているのか、公式HPとSNSをチェックするとお店のコンセプトはしっかりと固まっていたが、SNSはカット事例や美容商品などの断片的な情報しかなかった。
→ユーザー目線としてはカットやカラーの技術的な仕上がりや雰囲気は把握できるがお店全体の規模間がつかめない(自分に合うお店なのか安心感を抱けない)と感じると思った。

そこで今回は2本の動画にピントを絞りました。
①公式HPに組み込んで使う動画素材(横型)
②Instagramのリール動画投稿用の動画素材(縦型)

60秒に設定した理由は、新規顧客に最後まで動画を完全視聴させることを意識したのとInstagramアカウントも開設したばかりだったのでリール動画として投稿させることでリーチを稼ぐ必要を感じたからです。
これ以上短くても良いのですが、そうなると情報量が薄くなるので難しいバランスです。

情報をナチュラルに伝えること

お店のコンセプトを短い時間で的確に伝えるためには、視聴者の感情移入と受け取りやすく情報を加工変形させてあげることがとても大切です。

1.情報は見せる順番(動画構成)が命

情報を視聴者の脳内にインストールするためには見せる順番はとても重要です。
ヘアサロンの動画だとわかっていても、いきなりお店側が推したい商品からドン!と始まってしまうと相当興味が無い限りは広告を見ているように感じてしまいます。

広告っぽくても良いのですが、フォロワーがまだ少ない初期状態の今は店の推しよりも満遍なく訪問者の情報収集欲を解消させる方が優先です。
「ヘビーな情報よりもライトに手広い情報をまず先に並べること」

どうしてもPR動画になると、ここぞとカッコイイテクニックを駆使した美容師さんや派手な動画演出で凝った動画がすごいとPRしがちです。
それは作り手中心のコンテンツでお客様が必要な情報では無いという設計で今回も動いています。

①町の中のどういう場所でどのくらい大きさの建物なのか
②店内入り口はどこからどう入るのか
③店内全体の雰囲気
④ヘアカラー→ヘッドスパ(頭浸浴)→まつ毛パーマ→カット
⑤最終完成形と周辺の雰囲気
⑥カットが終わるとどういう気持ちになれるのか

ヘアサロンに関わらず概ねどの職種のPR動画もこのような流れの構成で作ると流れるように情報が頭の中に入ってきます。
順を追って映像が入ってくることで、細かく文字やナレーションを入れなくても自分が訪れたときのイメージを勝手に視聴者の方がイメージしてくれます。

文字やナレーションを入れなくてよいというのは、伝える映像の「高級感」や「落ち着き」「上質さ」「静的なイメージ」などを表現したいときにとても有効です。
感情に訴えたいときは、ナレーションを入れることが有効です。

店員さんの顔が見えるのも安心感につながります

2.ストーリー性をつけて記憶定着

次のこの流れをどう印象付けて視聴者の記憶に定着させるのか?
シンプルに①~⑥までをブツ切りの映像で繋げても効果は薄いです。

動画の構成は先に述べた通りで、今回は私の妻をモデルに「女性客が美容室を訪れ、心身共に磨かれて嬉しくなってお出かけして行く」というストーリーで撮影しました。
モデルが入ることで店員さんとの距離感やサービスの内容、様々なモノのサイズ感や質感がグッとリアルに伝わります。

ここでもお店のコンセプトの対象女性モデルを採用することで「このお店はこういうタイプの女性が通う場所」という印象付けができます。

ここまで情報がそろうと視聴者はどんどん感情移入してモデルを自分に置き換えて動画を視聴します。
その結果、動画を最後まで見てくれる比率も上昇していきます。

これを利用して④ヘアカラー→ヘッドスパ(頭浸浴)→まつ毛パーマ→カットの流れで提供サービスを全て網羅します。

今回は最後に会計シーンをワンカット入れたのも視聴者に自分が利用した時のイメージを被せやすいように組み込みました。

ここでも重要なのでは視聴してる未来のお客様自身にお店のイメージを膨らませてもらうことです
そうすることでお店のコンセプトや存在自身を覚えてもらうことができます。

一連のストーリーの中で店内を映すことで広さや落ち着いたイメージを自然に伝える

3.カット割りのボリュームバランス

最後は動画全体のシーンバランスを整えることも大切です。

特に商品やサービスをセールスする目的のPR動画では各シーンのボリューム(映像量)の最適化が重要で、動画の頭と尻尾の部分は「周辺環境・ストーリーの背景」や「購入して得られた結果」の映像などを軽めに埋め込むことで動画一本の中に流れが生まれます。

当然、見せたいメインシーン(商品やサービス)は大目に配分することになります。

BGMのリズムに合わせて画面が切り替わっていくのは映像に対しての没入感を与える手法なので毎回必ず利用しているのですが、更に踏み込むと一番動画自体が盛り上がるサビの部分。
サビの前後に一番見せたいパートを配置することで、より印象的なPR動画に仕上げることができます。

今回で言うと、美容室さんからのオーダーだった「ヘッドスパ(頭浸浴)とアイリストの存在」ですが、サビ直前にヘッドスパを配置し、サビの部分でまつげパーマのシーンを迎えて一番盛り上がる構成にしています。

暗いヘッドスパのシーンからサビのタイミングで明るいまつげパーマのシーンへの転調はかなり印象的な切替しになるのでまつげパーマのシーンについてはより明るくふんわりとした映像に仕上げました。
ここが一番盛り上がる部分でお店として伝えたいコンセプトが一番詰まっている状態です。

仕上げのシーンもサービスの丁寧さを表現するのに活用できます

これらのように、お店のコンセプトをしっかりと短い時間の中で伝えるには綿密な設計が必要です。

本来は細かく絵コンテなどを制作してから、それをお店の方と共有して、撮影に入るのが好ましいとは思いますが、私の場合は頭の中で編集作業を同時に行いながら必要なシーンを撮影しています。

店内の小物なども店内の雰囲気を伝えるための冒頭シーンで活用するのに必要だと感じていたので撮影していました。

あらかじめ動画全体のストーリーや構成を頭の中で考えておいて、現場に着いてから現場のモノやヒトを見て更に解像度を上げていく流れでいつも行っています。
撮影担当・編集担当・営業担当を一人が行うからこそできる動きです。

AN.の皆様、ご協力ありがとうございました。

撮影自体は和やかに楽しく終えることができ、とても学びの多い撮影経験になりました。

この記事が少しでも情報発信している方々の参考になれば幸いです。


all photos & movie 木幡純一
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