お風呂上がりの母の一言
母は温泉がとても好きでした。2年前に私がリタイアするまでは、ほとんど毎日のように、道後温泉か、天然温泉のスーパー銭湯に通っていました。
それが母の足を鍛え、リハビリにもなっていたと思います。
毎日、大好きな温泉に自力で行くことが90歳の母の健康法でした。
ところがコロナ禍の自粛生活で自宅に籠るようになってから、母の足腰は随分弱っていると思います。
自宅では、杖をついたり、机や椅子などの家具につかまりながら、バランスをとって注意深く歩いています。
好きだった入浴も、回数がとても少なくなりました。
冬の間は寒いせいもあり、入浴するのが億劫になるようです。
「今日は、寒いからやめとくわ」
「ちょっとしんどいけん、明日にしょうわい」
そんな感じで、入浴の回数が減っているのです。
久しぶりの入浴を済ませた後に、母が私に言いました。
「気持ちが良かったわい、ありがとう」と上気した顔で私に微笑みかけています。
私が、お風呂の片付けをするのが申し訳なく思っているんだと思います。
自分の力で入浴するのだって難しい人もたくさんいるのに、気を使わなくてもいいのになと思いつつ、「気持ちが良かったわい、ありがとう」と言う母の言葉を噛みしめていました。
人は歳を重ねると、自分で出来ることがだんだん少なくなって、我慢することが増えてくるんだと思います。
そんな中、入浴する喜びを感じている母の言葉はとても重く響きました。
そして2年前まで毎日温泉に通っていた母の思いも、何となくわかったような気がしました。
温泉が好きというのはもちろんですが、自分で身の回りのことがきちんとできるように、自らのリハビリも含めて温泉に通っていたんだと思うと、込み上げてくるものがあります。
「気持ち良かったよ、ありがとう」母の湯上りの一言が心に沁みた私でした。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《コロナが治まったら行きたいな―》
「コロナが無かったら続いとったかも知れん、温泉はええよーやっぱり成分じゃねー、癒し効果が違うんよ、体がほぐれていくんが分かるんよね」
「お母さん大分行ってないねー」
「コロナが治まったらまた、時々行きたいな―」
「家で入るんとは違う」
「やっぱり温泉は違うんよねー」
コロナは母の小さな楽しみも奪っています。母が気兼ねなく温泉に行けるようになるのは何時になるんでしょう。
暖かや湯に入り命よみがえる
母が可愛いイラストを描いて句を詠みました。暖かくなってくると入浴も楽になるようです。
湯舟の中で四肢を伸ばして、本当に心地よく過ごす母の気持ちです。入浴で「命が蘇る」気分になる事、ありますよね。
湯上りの母は本当に幸せそうな顔をしています。
最後までお読みいただいてありがとうございました。たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。この記事が気に入っていただけたらスキを押していただけると励みになります。
また明日お会いしましょう。💗
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?