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ホタルが飛び交う清流を未来に

昔、私が子どもだった頃、今から60年以上前のお話です。

「ゆっ子釣れとるか・・・」
「うーん、さっきも釣れたよ」
「お前、よう釣るのー」

「あっ、お父さん、石の下に魚が逃げた」
「お前よう見とるのー」

「あっ、餌のご飯粒が落ちてしもた」

私たち家族が住んでいた山の教員住宅のすぐ横に、とてもきれいな川が流れていて、私は父とよくその清流で釣りをしていました。裁縫に使う糸にご飯粒を付けて釣りをしていたのです。何だか漫画のワンシーンのようですがそんな清流での釣りの思い出があります。

5月下旬から6月上旬にかけて湿度が高くて、風が少ない日の雨の前後に川の周辺ではよくホタルがみられました
ホタルぶくろと言う花の中にホタルを入れて、その柔らかな光を楽しんでいました。


私にとってホタルの記憶は清流の思い出に繋がるのです。


幼い日の清流の体験から20年経った、昭和61年私はアナウンサーとしてホタルをこよなく愛する人たちの取材をしました。
愛媛県伊予市中山町の「ホタル保存会」を訪ねたのです。保存会では地元で絶滅寸前のホタルが生息できる環境にしたいとホタルの保護活動を行っていました。

子どもの頃に見ていたホタルが乱舞する風景をもう一度取り戻したいと、有志が協力し合って保存会を作ったのです。

ホタルの生涯はわずか1年で、そのほとんどは幼虫期だそうです。幼虫の間の10ヵ月水の中にいて、カワニナと言う巻貝を餌にします。大きくなった幼虫は水から川岸に上がって、土に潜りさなぎになります。さなぎから成虫になると、オスとメスが出会うための合図で光を放って飛びかいます。
私たちが幻想的で美しいと感じるホタルの光はそんな意味合いがあるそうです。


ホタルにとって住みやすい環境とは、深くない川底に砂やレキ(粒の大きい土)があって、餌になるカワニナがいること。そして穏やかな清流があって、産卵できる水苔やさなぎになるための土草がある場所が必要なのです。
だからこそホタルが飛び交う地域は自然に近い環境で、水の流れが清らかなのです。

保存会の人たちが伊予市中山町にホタルを生息させるためには長い年月と地道な努力がありました。

捨てられるゴミや環境汚染などから河川を守り、川をきれいにすると同時に、カワニナを集め幼虫を養殖して、何年間もの間放流しました。
ホタルを愛する人たちの熱心な活動でホタルが住みやすい清流が保たれているからこそ再び町にホタルが戻ったのです。


しかしここ最近、地域を襲った豪雨で卵や幼虫が流されて、その数がまた減ってきているそうです。

私は伊予市中山町のホタルはもちろんのこと、日本各地にホタルが生息できる美しい自然と清流が残って欲しいと思っています。
未来の子どもたちにも、あの何とも魅惑的な光の点滅を豊かな自然と共に楽しんで欲しいのです。


【毎日がバトル:山田家の女たち】

《最近は近くで見んようになったねーホタル》


「ホタルはねー何か幻想的なんよねー、私も小さい頃ようホタルを見に行きよったよ、その頃は多かったけんね、かごに入れて連れて帰りよったんよ」

「それは80年以上前じゃろ、今はそんなことしたらいかんのよ」

「夏の楽しみじゃったんよ、そう言えば最近は近くで見んようになったねーホタル、自然を守らんといかんのが分からい

母の幼い頃、私が幼い頃、そして今、自然環境は本当に大きく変わっているなと思います。

山裾の清き流れや春隣


「私たちの周りの美しい自然や懐かしい原風景をいつまでも大切に残して欲しい」と母がイラストと俳句をコラボさせた作品を創作しました。
もうすぐやって来る春を心待ちしながら、仲良く佇む親子のイラストです。自然は私たちの心を癒し、清らかな気持ちにさせてくれます。
美しい自然を後世に残していくのは、私たちの務めだと思います。

最後までお読みいただいてありがとうございました。たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。この記事が気に入っていただけたらスキを押していただけると励みになります。

また明日お会いしましょう。💗


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