【★note名作記事】体で感じる詩
こんにちは!山田星彦です。
みなさま、私がnoteで見つけた素晴らしい記事を紹介する「★note名作記事」をご覧いただき、ありがとうございます。
私の紹介する作品を楽しんでいただき、紹介先の記事へ、スキ・サポートなどをお送り下されば、私としても嬉しいです。
最近、僕は詩を鑑賞することが多いのですが、中には、ふつうの散文とは言葉の役割が異なる作品もあるものです。そんな詩に、はじめは戸惑ったのですが、最近では僕も、そういう詩ならではの感覚を楽しむことができるようになりました。今回はそんな作品をひとつ取り上げてみたいと思います。
では、さっそく紹介をはじめましょう!
vivieさん、[詩「逡巡」]
今回は、vivieさんの[詩「逡巡」]を紹介します。
言葉の渦
vivieさんは主に詩を作っておられる方です。
僕は初めてこの『逡巡』を読んだとき、ひとことで言えば、氾濫する言葉の渦に呑み込まれてしまいました。
この詩には句点(。)がないので、一つの文です。だから一気に読みます。そして、その駆け抜けるような文章の中に、難しい言葉が立て続けに現れます。なので、読む方としては、頭で意味を処理する間もなく、次から次へと押し寄せてくる言葉の波に圧倒されたのです。
他の言い方をするなら、言葉のマシンガンで蜂の巣にされた感覚でしょうか。
氾濫とか蜂の巣とか、なんとも物騒な喩えになってしまいましたが(笑)、それこそ僕が、最近、詩に対して感じていた面白さなのです。
僕は小説やエッセイを書くとき、なるべく分かりやすく書きます。そのために、ひとつひとつの文章を、このように、短く区切ることで、読者が言葉の意味を理解したり、頭で想像したりするのに必要な間を、逐一、設けています。また、難しい言葉も使わずに説明しています。
しかし、なにかを説明する文はそれでいいかもしれませんが、詩では必ずしも、それが正しい表現とは限りません。
vivieさんの『逡巡』はむしろ、読者に意味を考えさせる間を与えません。そういうと悪く聞こえますが、言葉は意味以外にも、音の響きやニュアンスなど、さまざまな要素を持っています。『逡巡』では、意味を考えにくい代わりに、そういった意味以外の要素が浮き彫りになります。
そのような詩を読んでいると、頭が機能停止に陥って、言葉の響きやニュアンスがビシバシ体に届いてくるように感じました。
これは詩を「読んだ」というより、詩の中に「いた」とか、詩に「殴られた」のような、肉体的な感覚を抱くことに繋がるのではないでしょうか。
朗読
vivieさんは自作の詩を朗読して配信もされています。
こちらが『逡巡』の朗読です。
朗読の場合は、さらに意味を理解しにくくなります。
書かれた文章は、自分のペースで読めるし、立ち止まってじっくり考えたり、前に戻って読み返したりできるので、意味を理解するのに適しています。
しかし、音声は読み手のペースで進んでいくので、それができません。読者にお構いなしに先に進むわけですが、それが言葉の意味を理解しようとすることを諦めさせ、読者としては、こちらへ放たれる言葉を、ただただ無防備な体で受け止めるような感覚になります。
音楽の歌詞も、それに近いですよね。
全編とおして歌詞がひとつの文章になっているというより、メロディやリズムに乗って、短いフレーズや単語が、単発的にポンポン体に届いてくるような感覚だと思います。
それでも作詞家のメッセージは十分伝わってくるのですから、不思議なものです。
さいごに
紹介させていただいた、vivieさん、そして、読んでくださったみなさん、ありがとうございました!
言葉を体で感じさせると言っても、ただ、早口で語ればよいと言うものではありません。聞いていて心地よい感覚を生み出すためには、言葉を選んでいく段階で、そのリズムや響きをコントロールする音楽的才能も必要なのだと思います。
そのへんがvivieさんはとても上手なのだと思いました。
今回はすこし怖い雰囲気の詩を紹介しましたが、他の記事や朗読を聞いてもらえると分かるように、素はとても穏やかな方ですので、ご安心ください(笑)
でも、詩を読むときの声は、とてもかっこいいです(惚)!
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なお、詩についての僕の見解には、こちらの記事でも紹介した、青木さんの記事に教えられたところが多くあります。
詩について深く知りたい方は、ぜひ青木さんの詩の解説をお読みください。
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