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【説明と想い】不本意非正規労働者の処遇改善に関する要望書について

まずはこちらの記事をお読みになり、提言書をご確認ください。

はじめに

今回、提言書を提出し、一旦区切りとなった非正規労働者を語る会。
非正規時代(客先常駐派遣を含)に味わった「不平等」「理不尽」。
そういう思いを他の人に味合わせたくないので始めました。
「技術を身に付けたら転職活動をして抜けろ。一生働く仕事ではない」
と、客先常駐派遣時代に自分の下に来る後輩達には言っていました。

客先の正社員よりも明らかに成果を出しても、客先正社員よりも少ない給与と賞与しかもらえない。技術を身に付けても給与も賞与も上がらない。

当事者だった時は「声」を上げられませんでした。

運よくそこから抜け出せ「正社員」になれたからこそ私は「声」を上げられる側に回れました。当事者にも「プライド」があります。「声」を上げるというのは、自分が「負け組」「惨め」であることを認めることであり、中々できないものです。

それが分かるからこそ、抜け出せた者が声を出す必要があると思っています。

これは謂わば小さな「ノブレスオブリージュ」です。こういうことを各自が行っていけば、世の中が良くなっていくと思っています。

さて、非正規労働者を語る会、合計5回実施しました。

最初はあくまでも声を纏める。そのために人を集め、語り合い、「議事録」を作り、議員さんに届ける。そういうものでした。

そこで私が気を付けていたことがあります。

「当事者」だけを集めないこと。「関係者」や「部外者」も入れることです。

「当事者」だけにするとどうしても被害者意識が高まっていき、「怨嗟の声」だけになる危険性があります。私はどうしてもそれをしたくなかった。折角、声を出すのであれば「当事者じゃない人が聞ける声」を出したかったのです。参加者の方々も冷静であったこともあり、結果は大成功だったと思います。

毎回本当に素晴らしいものでした。

その効果もあったとは思いますが、段々と玉木代表なども非正規労働者について「国会質疑」「街頭演説」などで触れられるようになりました。

今回出したのが、「不本意非正規労働者に関する要望書」でより国民民主党が政策としても「非正規労働者の待遇の改善」のために動いていただければ幸いだと思っています。



1、「不本意」非正規労働者に限定した意図について

 今回「不本意」と非正規労働者を限定したものとしました。
理由としては、かなり非正規労働者がそれに納得しているという現実を踏まえたからです。主たる家計を支えている人が別にいた上で、それの補助として非正規労働で働いているような方々は特に非正規労働についての不満もないため、「非正規労働者を語る会」で訴えたかった趣旨とは変わってしまいます。そのため、「不本意」非正規労働者に限定しました。

ちなみに総務省「労働力調査2022」では「不本意非正規労働者」は214万人(10.7%)です。

 2013年が341万人(19.2%)であり、年々、「数」も「率」も減っていってはいますが、依然として10人に1人は、「不本意」ながら非正規労働者として働いています。


2、客先常駐派遣への言及

 労働力調査では、「不本意非正規労働者」は減っています。しかし、ここで不本意非正規労働者として扱われない人々がいます。それは「客先常駐派遣」、業務先/指揮命令元が客先に従うという形での「派遣会社正社員」です。
 この形態はITや設計/生産技術を中心に多く見られます。ここで従事する方々は、客先の正社員と同じような業務をしているものの、給与や賞与は客先の正社員より低くなるパターンが多くあります。

非正規労働者の待遇改善を行うに際し、雇用形態上は「正社員」となるため、官僚に任せると対象外となる可能性が強くあると思いました。そのため、「客先常駐派遣」にも言及しておきました。


3、①非正規雇用から正規雇用への転換の促進

 先述したように、非正規労働者の多くは客先の正社員と同じように働いていることも多く、本来であれば正社員と同待遇以上で扱うべきなのであるが、現実はそうなっていません。
 非正規労働者は本来であれば、臨時で必要な時にあてがわれる人であり、特に派遣社員はスーパーマン的な人材のみが範囲あったはずです。しかし現在は単なる人件費低減、人員カットの簡素化のための雇用となっていることが多いです。
 現場レベルでは、3年/5年でようやく育ってきたタイミングでいなくなることも多いため、教育の手間や無駄が発生しており、仕事ができる非正規労働者を正社員にしたいとの声も多く聞きます。総務/人事側は社会保険料や紹介手数料などの非正規から正規を転換すると発生することから中々進められないとの話もあります。

 今回は、企業側のインセンティブを高めることで非正規労働者の待遇改善につながると思い提案を行っています。


4、②非正規労働者の賃上げを伴う処遇改善の促進

 非正規労働者はそもそもの賃金が低いことも多く、給与ベースで1.5倍、ボーナスを含めた年収ベースで1.8倍程度の差があります。 
 春闘などの労働組合の闘争でも、非正規労働者は客先の組合に属していないこと、派遣などの場合は給与の支払いは直接ではなく間接になることもあり、中々労働組合としても取り上げにくいようになっています。また、派遣会社の中で労働組合があっても、客先の派遣費用が上がらないと派遣社員に支払う原資が用意できないので、派遣会社の組合が派遣会社と賃上げ交渉を行ってもなかなか上げにくいようになっています。
 今回は賃上げの機運の高まり、人手不足の影響で、2023年の春闘では「5.91%」の賃上げが実現されていますが、業界/働き方によって差が大きくあります。

 なるべく広範囲かつ高く賃上げ(もともと低いので)が実現してほしいと思い、提案を行っています。

5、③非正規労働者への教育の提供

 「リスキリング」というのは、現時点でスキルを持って働けている人が行えるものであり、スキルが無い/少ない人が多い非正規労働者にはそぐわないものです。
 そもそも今の仕事で手一杯であるので、その仕事に付随することものしか学べる意欲も湧かなくなっています。そのために求められるものはリスクリングではなく、現状の職場で必要なスキルアップであるはずです。
 非正規労働者は正社員と同じ業務を行っていても、正社員と同じような教育機会を与えられないことも多くあります。それは企業内研修だけではなく、設備/システムを購入/設置した時にメーカーが実施する利用者に対する研修もその1つで、実務を行うのが非正規労働者なのにも関わらず、正社員だけが研修を行うことも多くあります。そのため、深く広く学ぶ機会を与えられていません。
 そのことで非正規労働者は、スキルアップや技能向上の機会を与えられず、低い賃金の留められることに繋がっています。
 働きながら学べる機会を増やすことで、非正規労働者の待遇改善につながると思い提案を行っています。


6、④3年ルール/5年ルールの悪用の是正

 3年ルール/5年ルールは本来であれば、非正規(有期)から正規(無期)への転換を促すことが目的とされたルールでした。しかし、現実は3年、5年で非正規労働者との雇用契約を切るものとなっています。
 契約更新を続け満期近くまで契約を結べていることからその会社に必要な労働者であるはずです。仮に不要な人材であれば途中で雇用契約を更新しないなどをしていたはずで、それをしていないことから必要な人材であったことは推測されます。謂わば「試用期間」を3年/5年と長く取っているにも拘らず3年/5年で切るというのは制度の悪用に他ならないと思います。
 悪用の是正で非正規労働者の待遇改善につながると思い提案を行っています。個人的にはまずは行政指導などで是正を求めたいと考えています。


7、⑤大規模かつ詳細な実態調査の実施

 現状でも非正規労働者の実態調査を行っています。
「非正規雇用の現状と課題」 (https://www.mhlw.go.jp/content/001078285.pdf)」

 しかし、非正規労働者の契約/雇用/慣習/職場などでさまざまに違いがあり、また調査項目も少なく実態をとらえているとは言い難いのが現状である。大規模且つ詳細に調査を行い、課題を抽出しなければ問題解決も行えないと思い提案を行っています。

8、最後に

 提言書を渡しただけで満足しているわけではありません。国民民主党がどの程度を政策に反映してくれるかも分かりません。これから行わないといけないことは「党がどう動くか?」「党がどうアピールするか?」の監視/確認だと思っています。
 全てが反映されるとは思っていませんし、そこは要求すべきことでもないと思っています。政策は様々な物事/事情が絡んだものであり、非正規労働者問題だけが日本の課題ではありません。何を選択するかは党が判断することです。どの程度反映されるかは今後見ていきたいと思っています。
 また、5つの提言で不本意非正規労働者の抱えている問題の全てを網羅できたと思っていません。まだ沢山の問題や課題があると思います。私は引き続き「非正規労働者問題」は注視していきますので、思いなどがあればご連絡ください。「非正規労働者を語る会」をまたやりましょう!


以下、非正規労働者を語る会の記事


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