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【第2回】薬剤師100人カイギ:薬剤師の未来を再定義する100の旅 - 第2回レポート


薬剤師100人カイギとは?

世間的には「ただお薬を渡すだけの人」と思われている薬剤師ですが、薬剤師のキャリアや価値観は本来もっと多彩。その奥深い可能性を引き出すことで、未来を創る力が秘められています。「薬剤師100人カイギ」は、薬学のフィールドから集結した100人の薬剤師が、キャリアの軌跡、そこにかける想いや情熱、挑戦の体験などを共有する舞台。20回にわたるセッションを通じて、あなたに新たな視点を提供し、キャリアの選択肢を広げるきっかけを与えます。
薬学生、薬剤師、そしてその他の薬学に関わらる皆さんが、自分自身のキャリアパスを大胆に描き直し、新たな挑戦に勇気をもって飛び込む一助になることを期待して、「薬剤師100人カイギ」第2回目のレポートをお届けします!


薬剤師100人カイギHP

第2回目(2023年7月15日 開催)まとめ

~ 登壇者紹介 ~

一人目:若きイントレプレナー 田中 吉隆
薬局業界の流通形態を変え、薬剤師の力を最大化する「premedi」を提供。「人の可能性を取りこぼさない」、「挑戦の民主化」をビジョンとし、それを実現する活動を行っています。また、薬剤師の価値は大きく、「薬剤師の活躍が日本の健康に大いに関わる」とのメッセージを頂きました。(⇒詳細レポート

二人目:政治家を目指す薬剤師 佐藤 さやか
北海道医療大学薬学部卒業後、薬局業務から人事採用課まで手がけたマツモトキヨシ時代、さらにMBAを取得し、2023年から政治活動を開始。健康であることの重要性を実感し、それを支える医療制度実現を志しています。(⇒詳細レポート

三人目:株式会社HealthCareGate 保田 浩文
母は薬剤師でしたが、40後半でリウマチを発症し現場で働けなくなりました。長年培った知識が明日から奪われてしまうこの薬剤師の働ける環境を変えたいと感じた原体験です。 それを契機に、患者さんが薬局に頼る・話しかけるようなDXを作ろう、単なる電子化ではなく世界中の課題解決に至る可能性を秘めたプロダクトにしようという決意を抱き、DrugNプロジェクトに挑戦しています。(⇒詳細レポート

四人目:美養憧 岡下 真弓
化粧品メーカーでの経験を活かし、女性ホルモンの啓発活動を行っています。彼女のブランド、「美養憧」は「現場こそ最善のマーケティング」を掲げ、顧客の困りごとを直接見て解決策を提供します。アロマテラピーやフェムテックなど、多岐にわたる分野で活動している彼女は、企業と協力し、より多くの人々へのアプローチを可能にしています。
(⇒詳細レポート

五人目:所属確認 和田 敦
2002年から病院薬剤師としてキャリアをスタートし、2007年にがん専門薬剤師の資格を取得、2019年には抗がん剤治療のサポートを行うMediFrameを設立しました。起業後3年間でサービスを開発し、2022年にローンチ。抗がん剤に関する情報・ノウハウを提供するサービスを展開しており、大学病院で培ったノウハウを地域の薬局に伝える活動を行っています。(⇒詳細レポート




一人目:田中 吉隆さん
「人の可能性を取りこぼさない、挑戦の民主化」

100人カイギvol.2の一人目の登壇者は、ロングテール在庫という薬局業界の問題を解決し、薬剤師の負担を軽減させ、薬剤師のチカラを最大限発揮する世界を提供する「premedi」の責任者である田中さん。

田中さんは、自身のキャリアを通じて培ったマインドセットを、具体的なアクションの事例とともに共有してくれました。

田中さん登壇スライドより

田中さんのビジョンは次の2つにまとまります。

田中さん登壇スライドより

「人の可能性を取りこぼしたくない。人が活躍できないのは大抵、その仕組みが問題 で、仕組みさえ整えば、活躍できる人が増え、それが社会を良くなることに繋がる
そして、
誰もが自然と挑戦できる社会をつくりたい

田中さんはその想いを胸に、キリンアカデミアの有志活動を推進し、「未来ゼミナール」という新規事業創出ワークショップを構築。3,000人規模のプロジェクトもリードし、多くの人が自身の挑戦を見つけるきっかけを生み出しています。

また、新規事業に取り組む中で、自身が経験した体験から、
「薬剤師はすごい」
「薬剤師のチカラは価値がある」
「薬剤師の力には価値がある」
「少子高齢化により医療が不足するこれからの日本が健康になるかは薬剤師が活躍できるかにかかっている」
という、私たち薬剤師を後押しする熱いメッセージを届けてくれました。

この登壇を通じて、可能性は無限大、そして誰でも挑戦できる、という思いに共感しました。田中さんの「薬局が健康のハブになる」、「薬剤師の未来には多くの人が期待している」という言葉に胸に、これからさらに社会からの期待に応えていけるよう、参加した皆さんと一緒に一歩踏み出していきたいです。




二人目:佐藤 さやかさん
「薬剤師が政治家を志す理由」

佐藤さんは北海道医療大学薬学部を卒業後、株式会社マツモトキヨシで多岐にわたる職務を経験。薬局業務、商品開発、人事採用など、幅広い分野で活躍し、とにかくなんでもやる薬剤師として幅広い経験を積んで来られました。その後、プログラミングを学び、グロービス経営大学院でMBAを取得。そして2023年1月より、政治活動を開始しました。

佐藤さん登壇スライドより


政治家を志す理由について、薬剤師としての経験から「健康が何よりも大切である」と感じ、そして「健康を維持しようとする人々に対する還元のある医療制度を実現したい」という意志があるからだと語りました。さらに、「自分の行動が誰かの視点を開くきっかけになれば、社会は少しずつ良くなるだろう」という信念もあり、それが政治への道を選ぶ決定的な理由となりました。

佐藤さん登壇スライドより

「私は現在議員ではない(2023年7月現在)が、政治家であると自覚しています。これから議員として、自分の考えを国、地方自治、地域に適用し、影響を与えられる人物になりたい」と、熱意を込めて述べられていた佐藤さん。

薬剤師として、政治家として、新しい社会を創造する行動を起こしている佐藤さんの活躍が今後も楽しみです!




三人目:保田 浩文さん
「当たり前のことを当たり前にできる喜びを伝えたい」

「私は今、シリコンバレーにいます。」
「今朝、カップヌードルを作ることにも一苦労したんですよ。拙い英語を使いながら、やっと8ドルのカップヌードルが出来上がった時、日本で当たり前にできることの重要さを感じました。」
そんなエピソードで始まった保田さんのお話は、”薬学壁打ちニスト”を自称するだけあって、聞き手を引き込まれる魅力があります。

保田さん登壇スライドより

保田さんの原体験は、薬剤師の母がリウマチを発症し、突然日常のことが困難になったことを目の当たりにしたことでした。これが、保田さん自身も薬剤師の道を志すきっかけとなりました。学生時代の薬局や病院での実習で、尊敬する指導薬剤師との出会いも影響を与えました。
「治す」という当然の行為の価値に着目し、薬剤師の属人的なノウハウをDX化する事業「Drug N」を進めています。


保田さん登壇スライドより


「身の回りの当たり前こそ、疑う。」

日本では病気になっても、「治すことが当たり前」の世の中になっていると感じます。これは国民皆保険の副作用でもあります。「治すことが当たり前」だと、日常の健康の価値が低く感じられることもあります。

私たちが目指すのは、「当たり前の健康」や、「当たり前に安価に受けられる医療」の価値を再認識し、「これって本当は、当たり前ではないよね?」と気づくことが大切であると思います。

そして、この現状と認識のギャップをビジネスチャンスと捉え、取り組んでいる保田さんの活動がどのように広がっていくのか楽しみです。




四人目:岡下 真弓さん「現場は最善のマーケティング」

岡下さんは、大学卒業後大手化粧品メーカーで研究やマーケティング業務を担当されていました。当時はまだ、女性が結婚を機に女性は退職するという固定観念が残る時代。仕事は楽しく取り組んでいましたが、岡下さんも周囲の圧力があり退職されます。
出産後は、柔軟な出勤形態が可能な薬剤師として働き始め、数多くの患者さんとカウンセリングを重ねる中で、治療や薬だけでは症状が改善しない現実を知ることとなります。

薬が必要になる前の事前のケアが必要と感じた岡下さんは、簡単にアプローチできるアロマセラピーと中医学の養生法を用いて女性ホルモンの啓発活動を行い、累計9万人に心身ケアの指導をしてきました。最近では女性ホルモンの専門家としての情報発信のニーズが高まり、コメンテーターやライターとしても活動されています。

そんな岡下さんは現在「美養憧」というブランド名でこれまでの知見を活かした活動を行っています。
美養憧はミッションとして「現場こそ、最善のマーケティング」を掲げられています。顧客に一番近く触れる現場で、顧客の困りごとを目の当たりにしてきた岡下さんならではのミッションです。

岡下さん登壇スライドより


アロマテラピー、フェムテック、新規事業開発、マーケティングなど、多岐にわたるスキルを身につけた岡下さんは、様々な企業と協力しながら仕事を進めてきました。現場では自分が直接関わる人々の問題しか解決できませんが、現場での経験を生かして企業と協力し、より多くの人々にアプローチすることができると語っています。
主婦であり、親でもある岡下さん。パワフルでユーモアがあり、もっとさまざまなお話を聞きたいと強く感じました。

岡下さん登壇スライドより




五人目:和田 敦 「病院薬剤師から起業の世界へ」

和田さんは2002年から病院薬剤師としてキャリアをスタートしました。2007年にがん専門薬剤師の資格を取得し特にオンコロジー領域で活躍。そして、2019年に株式会社MediFrameを設立し起業の世界に飛び込みました。

大学病院時代は、病棟活動から始め、民間企業と共同研究も行ってきたという和田さん。民間病院時代は、病院の立ち上げに携わり、優秀な看護師さんと共に治験審査委員会を作って経験もあります。
そんな中、研修の一環で薬局薬剤師に抗がん剤のノウハウを教えていた時に、適切な形でがん患者へのフォローが行き届いているか疑問になり、今の体制を変えていこうと決意。患者さんにきちんと抗がん剤治療のサポートが行き届くような仕組みを作るため起業しました。

和田さん登壇スライドより

起業してから3年くらいはサービスの開発に時間を費やし、昨年2022年にサービスをローンチしました。抗がん剤に関する情報・ノウハウを提供するサービスを展開しています。大学病院やがん専門医療センターで培われたノウハウを地域の薬局に伝えることに努めています。

和田さん登壇スライドより

がんは生命を脅かす疾患の1つで、患者さんの不安は大きいものです。また、患者さんに接する薬剤師の精神的負担も決して小さいものではありません。和田さんの事業は社会貢献性が非常に高い事業だと言えます。
全国のがん患者さんへ行き届くことを願い、和田さんの応援しております。



運営あとがき

今回、薬剤師100人カイギDAY2では、参加してくれた学生さんから「就活で人生決まると思ってそれがとても不安だったけれど、就職してからの方が人生長いし、挑戦しようと思えば今後まだまだ挑戦できることを知って不安が減りました!」という嬉しいお言葉を頂きました!!

運営メンバー全員、様々な生き方・キャリア・パッションに触れ、「こんな働き方&生き方があるんだ!」といった、ご自身のキャリアやマインドへ刺激を受けて貰いたいという気持ちを持って運営に取り組んでおり、その思いが伝わったことが本当に嬉しく思います。そしてまた、益々この機会・時間を多くの人に提供したい、伝えたいと強く感じています!

告知にチカラを入れていく中で、薬学部の広報の方からも応援を頂けるようになり、いくつかの大学内の掲示板に告知ポスターも掲示頂けることに。

まだまだ小さいコミュニティーですが、多くの方に素晴らしい登壇者の皆様のパッションやビジョンに触れて貰えるよう、引き続き発信、認知向上に注力し、頑張っていきたいと思います。
これからもたくさんの皆さまにご参加していただけると幸いです!!

第3回 薬剤師100人カイギのご案内


第3回薬剤師100人カイギポスター

次回、第3回薬剤師100人カイギは、2023年9月16日(土)19:00-21:00に開催されます。動物薬局の風雲児、未来へ旅する薬学生、セルフメディケーションの伝道者、プライマリケア薬剤師/ソーシャルファーマシスト、薬剤師イントレプレナーと様々なジャンルで活躍する方々に登壇頂きます。以下、Peatixに登壇者の詳細も記載されております!!魅力的な方々ばかりですので、ぜひご参加下さい!!登壇者・運営メンバー共々、皆様方との交流も楽しみにしております!!

申込はこちらから


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