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【詩】私の中の水


 
疾走 渇いた喉に 冷たい水が浸透する
汗をかいて 私はただ水をろ過するだけの
装置となる
 
私のからだは 
誰にも見せたくない部分と水だけで
構成されている
今の私にはこれしかないんだ 
透き通った水に誓っても
次の日には 私の中の嫌な元素が溶け出して
知らぬ間に土砂が混ざって澱んでいく
むこう側が見えなくなって 
私が私でなくなっていく
 
君の横顔は 卒業文集みたいだ
透明で、何も知らなくて脆い

私の濁った花瓶に
じょうろで新しい真水を取り入れて
自分自身を保っていく
魔法が解けたあとも 生活は続いていく
日常に目を向けて 非日常と戯れて 
世界を再び愛することができるかな
生まれ変わることができるかな
 
疾走 渇いた喉に冷たい水が浸透する
汗をかいて 私はただ水をろ過するだけの
装置となる

ワンツースリーで 恐れも迷いも私は忘れる
ただ水の中で溺れる
私は私を充たして 同時に捨てていくだけ



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