図書館へ行くことは、まだ字の読めないわが子へのプレゼント
「人は自分が知っていることの中からしか選ぶことができない。」
これまでたくさんの選択をしてきたけれど、30代後半になり、わたしはそのことに最近ようやく気が付いた。
「色んな経験をした方がいい。」
「本を読みなさい。」
学生時代に何度も聞いた言葉の本質はここにあるのでは、とすら思ってしまう。
恥ずかしながら、わたしは本をあまり読まずに大人になってしまった一人だ。
本に触れてこなかった分を取り戻すかのように、結婚後は図書館に通った。実用書を中心に月20冊ほど借りて読んでいたのが、最近はそのほとんどが子どもに読み聞かせするための絵本や紙芝居になっている。
保育園まで娘を迎えに行った帰り道、手を引きながら駆け足で本を選んで帰ることも珍しくなく、ゆっくりと本棚を巡るのは贅沢な時間になってしまった。
それでもわたしは図書館へ通い続ける。
「何これ?面白そう!」と、何度も好奇心をかき立てられ、しかもそれが無料で体験できる場所が他にあるだろうか。
また、図書館で多種多様な情報に触れていると、あることに気づく。それは、自分が決まって同じ本棚の前で足を止めること、そして同時に素通りしてしまう棚もあるということに。
つまり、「自分を知る」ことができるのだ。
手芸の本棚から編み物の本を選ぶ時間、思わず「真似したい!」と思うようなライフスタイルの本を手に取る時間は心が踊り、あっという間に過ぎてゆく。
「編み物の中でもかぎ針編みが好き。」、「ライフスタイル本はファッション系に興味を惹かれるなぁ。」「じゃ、なんで私はそれに興味を持ったんだろう?」と、深堀りすればするほど新たな興味が次々と湧いてくる。
わたしは図書館に通い始めてから、自分が「好きだと感じるもの」に数多く巡り合うことができた。この、「好きの琴線に触れる体験」はその後の人生で様々な選択に役立つと信じている。
だから、子どもたちには好きなものに出会うなど、広い意味で「知る」体験をしてほしいのだ。
休日、家族で図書館へ行く。
娘が紙芝居のコーナーへ真っ先に向かい、淡い黄緑色の絨毯の前で小さなピンク色の靴を脱ぎ揃えると、「一緒にみようよ!」と、わたしを呼ぶ。
ワクワクするその気持ちをどうか大切に持っていて欲しい。
きっと将来、よりよい選択の手助けをしてくれるはずだから。
わたしが未来のためにできること。
それは図書館にわが子と一緒に行くことだ。
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