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備忘録#002|収益性分析で活用できる指標

備忘録|興味があればお読みください

 備忘録#001|企業概況モニタリングで活用できる指標
 備忘録#002|収益性分析で活用できる指標
 備忘録#003|効率性分析で活用できる指標
 備忘録#004|採算性分析で活用できる指標
 備忘録#005|安全性分析で活用できる指標
 備忘録#006|生産性分析で活用できる指標
 備忘録#007|成長性分析で活用できる指標
 備忘録#008|損益分岐点分析で活用できる指標
 備忘録#009|債務償還分析で活用できる指標
 備忘録#010|目標利益や予算の立て方
 備忘録#011|中小企業庁統計による経営指標

矢印株式会社とは

皆さま、初めまして。矢印株式会社の馬上朋広と申します。
2018年5月に創業したモノを販売しないことで客観性を担保した会社です。91年に商社マンから始まり、日系ICT企業、北米、英国、ベトナム企業でICT事業に従事しておりました。
事業の中心は、ICTセカンドオピニオン と 経営情報可視化ダッシュボード というサービスを提供しております。

「Executive Dashboard|企業概況」構築サービス について
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収益性分析とは・・・損益計算書の損益状態からみた利益獲得力

企業は、資本を活用して商品や製品、サービスを生み出し、企業活動において他社との取引で売上として利益を得ます。

収益性分析とは、投下された企業の資本や売上に対しどれだけ利益を上げられているか(=稼ぐ力)を見るものです。これは投資効率で見ます。つまり、会社が調達した資金で資産をどれくらい購入し、利益をいくらあげたのかを見ること、これが収益性分析の本質です。
収益性分析では、会社の収益力を表す経常利益を使うのが一般的です。また資本に対して利益をみる分析を「資本収益性分析」、取引に対して利益を見る分析を「取引収益性分析」といいます。

損益計算書で経営成績を分析
損益計算書を見て、各種の売上高経常利益率などの各利益率が、同業他社や業界平均よりも良いのか悪いのかを比較します。また、計画値と比べてどうなのかもチェックします。

収益性を高めるポイント
売上高を増やす(顧客増加および単価の引上げ)
変動比率を下げる(限界利益率を向上させる)
一人当たり人件費と一人当たり限界利益のバランスをとる
適正人員で会社を運営する
固定費を削減する
在庫の圧縮、遊休資産の処分
未収入金、貸付金の早期回収

収益性の意義
株主が投資するに値するリターンをあげられる会社であるかどうか
会社としてこのまま社会的に活動を継続させる価値を生み出せるか

以下に、企業の収益性を比較検討する時に用いれる指標例です。

1.売上高総利益率

売上高総利益率(%) = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

粗利益から、販売費及び一般管理費を差引いた「本業の儲け」の割合です。すべての利益の源である粗利益獲得力、または「粗利率」といいます。

売上総利益(売上高-売上原価)は、商品力を反映します。
それを売上高で割った「売上高総利益率」が高ければ、取り扱っている商品・製品の収益力が大きいことになり、営業力の強さ、ブランド力あるいは製品の品質の良さを意味しています。
または、企業活動に必要な資金の源泉です。社員の給与、設備投資などは、全て売上総利益から賄う必要があります。そのため、売上総利益の変化については、十分気をつけて見ておく必要があります。

チェックポイント
①販売量・販売単価の低下はないか
②得意先バランス変化による粗利の低下はないか
③商品構成の変化による粗利の低下、安価な商品の販売比率への変化はないか
④仕入れ単価・製造原価の上昇はないか

2.売上高営業利益率

売上高営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

売上高営業利益率は、企業本来の営業活動による利益率であり、本業の利益率が高いかどうかを示しています。

この値を比較することにより、販売活動や管理活動の効率性を知ることができます。または、売上高から売上原価と人件費や通信費などの販管費を差し引いた営業利益の売上高に対する割合を指します。この値が大きいほど本業の収益力が高いといえます。

比較例
宣伝広告費や販売手数料などの販売費の金額を比較することでマーケティング戦略の違いを知ることができます。
営業利益(売上総利益から販売費や一般管理費を差し引いた数値)は、営業力を知ることができます。もし同じ売上金額の場合、その利益額が営業力がそのものだともいえます。

チェックポイント
①販売費及び一般管理費の上位3つの費用を見て、削減可能か検討する
②人員数は適正かどうか(労働生産性、労働分配率の確認)
③家賃負担は重すぎないか

3.売上高経常利益率

売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100

売上高経常利益率は、売上高に対する経常利益の割合を示す指標で、経営の総合的な利益率を知ることができます。

売上高総利益率や営業利益率が高いか低いかが影響してくるため、会社の総合的な収益力を見る指標としてよく使われます。
また、金融収支の良し悪しや資金調達力の違い等の財務体質も含めた総合的な収益性が反映されます。借入金が多い会社は、売上高営業利益率が大きくても、売上高経常利益率が低くなってしまいます。

チェックポイント
営業外収益・費用を見る
借入金の利息負担は重くないか
たな卸資産の品質不良は多くないか
壊れやすい商品を扱い過ぎていないか

企業側で含み益のある有価証券を売却して有価証券売却益を出し、経常利益を増加させる等の操作を行うこともあるので注意が必要です。

4.付加価値比率

付加価値比率 = 付加価値 ÷ 売上高 ×100

付加価値とは、財務分析で生産性を測るときに用いられる指標のひとつです。労働手段を用いて新たに付け加えた価値を表すものです。付加価値とは、会社が経営活動の中から生み出した経済的な価値です。

ここでは付加価値といっていますが、この言い方は卸売業でいいます。小売業なら粗利益、製造建築業では、加工高というそうです。

付加価値の計算方法には、主に二つありますが、その計算が複数の科目に跨ることから、便宜的に、売上総利益(粗利)を付加価値とする考え方もあるようです。

付加価値については、最終的には会計士や税理士と相談して対象科目を決めて計算すると思います。また一方では、総務省統計局などの外部数字と比較する場合は、その対象科目と合わせる必要があります。注意して決めて下さい。

*付加価値が係わる指標にはすべて同じ内容の文章があります。
企業の決算書に「付加価値」という項目はありません。「付加価値」とは、その会社が“生み出した新しい価値”のことを指します。

企業の付加価値率とは
付加価値率(売上高付加価値率)とは、売上高に占める付加価値の割合を示す指標であり、自社の加工度の高さ/低さを表しています。ここで言う「加工」とは、原材料から製品への加工だけでなく、サービスの付加なども含みます。平均付加価値率は、業種によって大きく異なり、付加価値率は必ずしも企業の収益性と比例しませんが、付加価値率を高めることは収益性を向上させる方法の一つになります。

付加価値の計算方法
便宜的な方法
付加価値 = 売上総利益 = 売上高 ー 売上原価

控除法
付加価値 = 売上高 - 外部購入価値(材料費、購入部品費、運送費、外注加工費)

加算法
付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 支払利息等 + 動産不動産賃借料 + 租税公課

2017年度中小企業庁実態基本調査で用いられている科目です。
労務費 + 売上原価の減価償却費 + 人件費 + 地代家賃 + 販売費及び一般管理費の減価償却費 + 従業員教育費 + 租税公課 + 支払利息・割引料+経常利益
2020年度中小企業庁実態基本調査で用いられている科目です。
(売上原価のうち労務費、減価償却費)
+(販売費及び一般管理費のうち人件費,地代家賃,減価償却費,租税公課)
+(営業外費用のうち支払利息・割引料)
+ 経常利益+能力開発費(従業員教育費)

他の加算例もあるようです。
営業利益 + 人件費 + 減価償却費
営業利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 減価償却費 + 知財特許料
経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 減価償却費 + 金融損益
経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 減価償却費 + 金融費用

粗付加価値と純付加価値
加算法で付加価値を計算するにあたり、減価償却費を含む場合を「粗付加価値」、含まない場合を「純付加価値」と呼びます。減価償却費は、他社から購入した固定資産を償却した費用であるため、本来は付加価値には含めないべき、という考え方があります。実務的には、粗付加価値が用いられることが多いようです。

5.売上高販管費率(売上高対販売費|一般管理費比率)

売上高販管費率(%)= 販売費及び一般管理費 ÷ 売上高 × 100

販売費及び一般管理費 = 損益計算書の販売費及び一般管理費合計
           = 販管費
           = 変動費・固定費

変動費 = 売上に連動して増減する費用で仕入高や外注費
    = 材料費、人件費
    = 販売費(簡易的に)

固定費 = 売上高や販売数量の増減に左右されないで一定に発生する費用
    = 人件費や地代家賃、広告宣伝費、交際費、リース料、減価償却費

売上高に対する販管費(変動費・固定費)の割合を示す指標で、数値が低いほど、販管費を抑えて効率的な経営を行っているということになります。

この指標は、収益性分析の一つで、企業の売上高に占める販管費及び一般管理費(販管費)の構成比を「売上高販管費率」と言い、「販管費率」とも言われています。

売上高販管費率は売上高に対して、変動費と固定費の区別なく、どの程度のコスト割合で会社運営ができているかを見る際に使われ、通常、売上高販管費率が低いほど効率性が高いことを示します。
また、個々の費目別に詳細に分析することにより、競合他社比で営業活動や会社運営上の効率性を比較・分析することもできます。 

固定費と変動費の仕分け例
【製造業】
固定費

直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、水道光熱費、旅費、交通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、支払運賃、荷造費、消耗品費、広告費、宣伝費、交際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員(管理部門)・販売員給料手当、支払利息、割引料、従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理費
変動費
直接材料費、買入部品費、外注費、間接材料費、その他直接経費、重油等燃料費、当期製品知仕入原価、当期製品棚卸高―期末製品棚卸高、酒税

【卸・小売業】
固定費

販売員給料手当、車両燃料費(卸売業の場合50%)、車両修理費(卸売業の場合50%)販売員旅費、交通費、通信費、広告宣伝費、その他販売費、役員(店主)給料手当、事務員(管理部門)給料手当、福利厚生費、減価償却費、交際・接待費、土地建物賃借料、保険料(卸売業の場合50%)、修繕費、光熱水道料、支払利息、割引料、租税公課、従業員教育費、その他管理費
変動費
売上原価、支払運賃、支払荷造費、支払保管料、車両燃料費(卸売業の場合のみ50%)、保険料(卸売業の場合のみ50%)、注:小売業の車両燃料費、車両修理費、保険料は全て固定費

【建設業】
固定費

労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、現場従業員給料手当、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、交際費、補償費、その他経費、役員給料手当、退職金、修繕維持費、広告宣伝費、支払利息、割引料、減価償却費、通信交通費、動力・用水・光熱費(一般管理費のみ)、従業員教育費、その他管理費
変動費
材料費、労務費、外注費、仮設経費、動力・用水・光熱費(完成工事原価のみ)運搬費、機械等経費、設計費

6.売上高当期純利益率(売上高純利益率)

売上高当期純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高 × 100

売上高当期純利益率は、企業のすべての活動の結果として得られる利益率です。

最終的な利益の比率として企業の活動が、株主の配当原資や資本の増加にどの程度結びついたかを示しています。また、経常利益と同様に、含み益のある投資有価証券や土地等を売却して売却益を出し、当期純利益を増加させる等の操作を行うこともあるので、注意が必要です。

7.総資本回転率(回)(総資産回転率)

総資本回転率(回) = 売上高 ÷ 総資産

総資産 = 総資本 = 全ての資産
    = 自己資本 + 他人資本
    = 純資産 + 負債(流動負債 + 固定負債)
    = 貸借対照表の(資産合計=負債純資産合計)

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)

自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

企業の資産をどの程度効率的に使って売上に結び付けているのかを示す比率です。その財務指標を「総資本回転率」と言い、「総資産回転率」ともいいます。

総資本回転率は、売上高と資本の関係に着目した財務指標で、具体的には、売上高を総資本で割って回転率が求められます。通常、事業に投資した資本は売上によって回収されるため、その回転率が大きいほど資本が効率よく活用され、少ない資本(元手)で大きな売上高を達成していることになります。

資本の運用形態は、資金→固定資産→棚卸資産→売上債権 と変化し、最後は資金に戻ります。これを資本の回転と言います。資本の回転率が高い(回転数が多い)ほど、同じ資本でより大きな売上を上げていることになります。「総資本回転率」は資本の運用効率をはかる指標です。売上高が総資本と同じなら1回転、総資本の2倍なら2回転となります。

総資本回転率を向上させるためには
現在の総資本を増やさずに効果的な販売戦略等によって売上高を増加させる。
現在の売上高を維持しながら、不要な資本を処分あるいは圧縮して総資本を減少させる。

総資本回転率を高める場合、分母の総資本を少なくする戦略より、分子の売上をアップする戦略が優先される場合が多く見られます。

注意
在庫や売上債権が膨れてしまい、不良債権や売れ残りが発生するので注意が必要です。

総資本回転率は、分母である総資本を、棚卸資産や売上債権、固定資産などに入れ替えると、それぞれ、棚卸資産回転率、売上債権回転率、固定資産回転率が計算できます。それぞれに分解することで、総資本回転率の詳細を分析することができます。

8.総資本回転期間(日)

総資本回転期間(日)= 総資産 ÷ (売上高 ÷ 365)

総資産 = 総資本 = 全ての資産
    = 自己資本 + 他人資本
    = 純資産 + 負債(流動負債 + 固定負債)
    = 貸借対照表の(資産合計=負債純資産合計)

純資産 = 純資本 = 自分の資産
    = 総資本-負債(他人の資産)
    = 貸借対照表の純資産合計(資産合計 - 負債合計)

自己資本 = 純資産
     = 株主資本(資本金、資本剰余金、利益剰余金 他)
     = 株主資本 + 評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)

企業が総資本をどれだけ効率よく使って、売上を上げているかを見るための、効率性分析のための財務指標で、総資本回転率の逆数を「総資本回転期間」といいます。

総資本回転期間は、売上の何日分の資金を経営に投下しているかを表しています。総資本が売上として一回転するのに要した日数を表しています。日数が短ければ短いほど効率性が高い、資金循環のスピードが速いと言えます。

9.インタレスト・カバレッジ・レシオ

インタレスト・カバレッジ・レシオ
         =(営業利益 + 営業外収益) ÷ 支払利息


営業外収益 = 損益計算書の営業外収益合計
      = 金融収益=金融費用

インタレスト・カバレッジ・レシオは、会社の借入金等の利息の支払能力を測るための財務指標を指し、企業の信用力(安全性)を評価するための安全性分析の一つです。

会社が通常の活動から生み出すことのできる営業利益と金融収益(受取利息+配当金)が、支払利息をどの程度上回っているか、を示しています。または、金融費用の何倍の事業利益を上げているのかをみる。この比率が高いほど、金利の支払余力があり、財務の健全性が高いことを意味しています。また、年間の事業利益が金融費用の何倍であるかを示し、金融機関が融資を行う際や格付会社が社債等の格付けを行う際に重視されます。
また、インタレスト・カバレッジ・レシオの倍率が高いほど、有利子負債の返済の安全度が高いと言え、会社の金利負担能力が高い(財務的に余裕がある)ことを示しています。

尚、新興企業やベンチャー企業など急速に成長している会社では、借入を増やしてでも事業を拡大することが望ましい場合もあるため、会社の成長ステージやポテンシャルなども考慮する必要があります。 日本の上場企業の平均は、約2倍と言われています。

謝辞|深く感謝いたします

できることならゲーム感覚で経営を楽しみたい。そんな時、何を基に、何を頼りに、経営したらいいのか分からなくなりました。そこでややっこしいことは承知の上で、財務会計の本をとったのですが、言葉が揺れていたり表現がしっくりこなかったりして理解できませんでした。そこで、一念発起して自分用のテキストを作ろうと考え、それがこの内容になります。
私が理解できるネット上の情報を収集し、引用し、加筆修正を加えてまとめました。大変難しく不正確な点もあると思います。しかし本一冊の表現では理解が及ばないことが、様々な表現で記述された情報で学ぶことができました。まだまだ未完成ですが、備忘録として公開したいと思います。皆様の一助になれば幸いです。最後に、引用元の皆様には深く感謝申し上げます。

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