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#14 学校では学べない体験−犬の手術【サモアの想いで】
🌴以下の作品は2007年〜2010年の間に、米国に暮らしながらサモア暮らしのリフレクションを記したフォトエッセイ(全20篇)の転載です。サモアには97年に住み始めたのでこれを記したときはその10年後。そして、今さらに記したときから十数年が過ぎました。
🌺こうした経験からできあがっているのが今のわたしですから、いつ振り返ってもすべての時間が愛おしいです。
🌈こんな人生を与えてくれた夫に心より感謝💗
「ただいま~!」という声を聞いたかと思うともういない。サモアの学校は昼過ぎには終わってしまう。帰宅するやいなや、息子たちは上半身裸で庭に飛び出して行く。行く先は、同じ敷地内に住んでいた獣医さんの家だ。
大家さんの家を取囲むように建てられた、数軒の賃貸住宅の一角がサモアの我が家だった。その中のひとつには、日本から青年海外協力隊員として派遣されていた獣医のクニさんが住んでいた。
サモアでは犬は放し飼いなので、そこらじゅうに犬がいる。「動物を飼う責任」といった意識も無いに等しい。クニさんは、そんな環境を少しでも改善しようと、犬やネコの出張避妊手術をはじめ、担ぎ込まれる病気のペットの手当てなど、整った設備のない中でテキパキと手術や治療にあたっていた。我が家の子どもたちは、庭先で行われるその様子を興味津々でよく見物した。
なかでも末息子は「弟子入りしたの?」というほど入り浸っていた。見ているうちにアレ取って、コレ持ってといった助手(?)をさせてもらえるようになり、「オレ、もう犬の手術の仕方はだいたいわかるよ」「オレも大きくなったら獣医になろうかな」などと豪語するほどになった。
本人的には、体験からほとんどを学び、かなり勉強したつもりらしい。
何しろ、この息子の腕に釣り針がささってしまった時、摘出してくれたのはクニさんだった。オロオロするばかりの親よりクニさんをすっかり信頼してしまった。クニさんからすると、迷惑極まりない小さな訪問者だったことだったろうが……。
さすがに、今獣医になりたいとは言わなくなったが、この体験は子どもたちの心の奥底にしっかりしまわれいてるようで、我が家のペットが病気になるたび「クニさんがいてくれたらな~」の声が聞こえる。
🌴今の声
サモアにはJOCV(青年海外協力隊)隊員がたくさん派遣されており、オフィスもあります。彼らの活動によりサモア人には親日家が多いです。シニアボランティアの方々ともよくお付き合いさせていただきましたので、日本のODAの活動の裏も表も知る良い機会にもなりました。
🌺 共感、応援いただけるならとびあがって喜びます。 そして、その喜びと感謝を胸に次のどなたかに恩送りします。