安川富士(ヤスカワトミジ)

「怖いっておもしろい」をモットーに、手軽に読める怖い話やコラムなどのホラーコンテンツを…

安川富士(ヤスカワトミジ)

「怖いっておもしろい」をモットーに、手軽に読める怖い話やコラムなどのホラーコンテンツを投稿していきます。 もしよろしければフォローをお願いします。ホラーなお仕事もご依頼ください。

マガジン

最近の記事

隣の部屋

高知県 Oさんから聞いた話。 Oさんは、某市内のマンションに住んでいた。現在はすでに転居してしまっているが、これはそのOさんが住んでいた部屋の隣の部屋の話である。 その部屋に住む人たちは、入居から3ヶ月もしないうちに出て行ってしまうらしい。ある程度の広さがある部屋だったので、毎回小さい子供連れの家族が引っ越してくるのだが、すぐにいなくなる。ペット可の物件だったので、家族の誰かにアレルギーがあったのだろうか、両親が仲違いしてしまったのだろうか、それともOさん含め周りの住人が

    • 安川富士(ヤスカワトミジ)について

      はじめまして、ホラーライターの安川富士と申します。 普段の活動では、怪談収集と短編ホラー小説の投稿、怪談語りをメインに行なっております。最近では去年の夏に怪談王2019九州地区大会に出場しておりました。 また、ホラーエンタメコンテンツ(映画、小説、漫画、アトラクションなど)についてのレビューサイト運用や、Youtubeへの動画投稿なども行なっており、幅広く制作しております。 私の行動原理として、「怖いっておもしろい」という標語を掲げています。「怖い」「恐怖」という感情は

      • 再生

        安川富士の怪談ラジオ #1「ガラスに映る顔」

        ホラーマニアの安川富士です。 怪談・怖い話について語るYoutubeチャンネルをつくりました。 初回は、以前noteに投稿した「ガラスに映る顔」という怖い話を読んでみました。 https://note.com/yagyosan/n/n40da02ddb557 おもしろかったら、ぜひチャンネル登録をお願いします。

        • 話してはいけない(前編)

          東京都 Aさんから聞いた話。 Aさんは30代の男性会社員で、趣味で怪談を収集していた。収集した怪談を誰かに話しては、怖がっている様子を見るのが好きだった。 ある日の深夜のこと、Aさんは行きつけのバーで、常連客から「これまでにない」ほどの怪談を仕入れた。本当におぞましい内容だそうで、Aさんは心から震え上がった。この話は絶対にウケる、誰かに話したいとすぐに思った。しかし、その常連客が言うには、この話は「誰かに話してはいけない」のだそうだ。呪いやそういう類のものは信じていないと

        マガジン

        • 短編怪談集
          10本
        • 怪談ラジオ
          0本
        • 短編スリラー集
          1本

        記事

          もう一人の娘

          兵庫県 Uさんから聞いた話。 Uさん家族は、転勤で大阪から兵庫に引っ越してきた。某市内の2LDKのマンションで、妻と3歳になる娘の3人で暮らしている。この話は、そのマンションの一室で起こった体験談である。 ある週末の昼過ぎのことだった。ちょうどUさんの妻が夕飯の買い物に出かけていて、部屋ではUさんと娘が留守番していた。Uさんはリビングのソファでスマートフォンでゲームをしながらくつろいでおり、娘はというと、午前中にたくさん遊んで疲れたのだろうか、リビングのすぐ隣の部屋に布団

          おにくちゃんbot

          東京都 Dさんから聞いた話。 Dさんは20代の女子大生で、この話は彼女が高校生の時に体験した話だ。 ある日の放課後、Dさんと友人は、帰宅途中に某ハンバーガーチェーン店に寄った。放課後にどこかに寄って、最近あったことや将来のことなど、たわいもない会話をすることが、彼女らの楽しみだった。話している最中、友人がふとしたすきに、テーブルに置いてあったスマートフォンを床に落としてしまった。友人は慌ててテーブルの下に潜って、スマートフォンを拾い上げようとした。 「あれ?何これ?」

          形見の人形

          京都府 Cさんから聞いた話。 Cさんは保育士をしている若い女性の方で、これは彼女が小学校高学年の頃、祖父母の家で体験した話だ。 彼女の祖父母の家は滋賀県の山中にあり、長期休暇となると、家族全員でそこに遊びに行くのが毎年の恒例行事だった。自然の中を駆け回ったり、ごちそうを食べたりして、Cさんはいつも祖父母の家に行くのを楽しみにしていた。 なかでも彼女が一番好きだったのは、祖母と一緒に「お人形さん遊び」をすることだ。ふたりとも人形やぬいぐるみが好きだったこともあり、Cさんが

          カタカタおじさん

          千葉県 Mさんから聞いた話。 あなたは「This man」という都市伝説を知っているだろうか。この都市伝説は、世界各国、数千の人々が、夢の中で同じ顔の男を目撃したという内容で、ネット上ではかなりの話題になっている。真偽のほどは定かではないが、今回はMさんが夢の中で出会った男の話をしようと思う。 Mさんは小学生の頃、怖い夢を見ることがしばしばあった。子どもの見る夢なので、そのほとんどの内容は微笑ましいものだったが、なかでも抜きん出て気味の悪いものがあった。それが「カタカタお

          連れて行かれる

          福岡県 Bさんから聞いた話。 Bさんは30代の会社員で、この話は彼が7歳の時に起きた体験談である。 ある冬の日のことだった。夜中にトイレに行きたくなり、目が覚めたBさん。真っ暗ななか一人でトイレに行くのが怖かったため、同じ部屋で寝ていた母を起こし、一緒についてきてもらおうとしていた。Bさん、妹、母という順番で、川の字になって寝ており、母を起こすためにはふたつ隣の布団まで歩いて移動しなければならなかった。 ごく近い距離ではあるが、小学生の彼にとっては暗闇は怖かった。トイレ

          旧病棟のエレベータ

          東京都 Hさんから聞いた話。 Hさんは40代の女性で、小さい頃から持病があり、しばしば大きな病院で入院することがあった。この話は、10年ほど前に病院で体験した話である。 当時入院していた病院は、旧病棟と新病棟のふたつで構成されていた。旧病棟には入院患者のための病室があり、普段の診察や検査は新病棟で行われている。旧病棟の上層階には、新病棟へ行くための連絡通路がかかっており、患者が病棟を行き来するためには、そこを通らなければならなかった。 ある日のこと、Hさんは入院後の検査

          中古の洗濯機

          東京都 Iさんから聞いた話。 Iさんは20代の男子大学生で、この春、めでたく憧れていた会社に就職が決まり、愛知県から上京することになった。初めてのひとり暮らしと、社会人としての生活が始まることに、心を躍らせていた。 都心のオフィスに通うため、職場まで電車で1時間ほどかかる郊外のマンションの一室を借りることにした。実家からは布団や衣類は持ってこれるが、家具や家電は一通り揃える必要があった。引っ越しだけでもかなりの費用がかかるため、少しでも安上がりになるようにと、Iさんは洗濯

          内線

          山梨県 Tさんから聞いた話。 Tさんは50代の主婦で、夫と、80代の義父の3人で暮らしている。義父は妻に先立たれてから、ずっと離れに住んでいた。母屋には妻との思い出がたくさんあり、なんだか居づらいのだそうだ。代わりにTさん夫婦が母屋に住み、義父は用事や食事の時だけ母屋に顔を出していた。 離れと母屋には内線が引かれており、お互いにいつでも連絡が取れるようになっていた。ある日のこと、夕飯の用意ができたTさんは、離れにいる義父を食卓に呼ぼうと、いつものように内線をかけた。 ジ

          ガラスに映る顔

          埼玉県 Nさんから聞いた話。 Nさんが小学生の頃の話になる。6年生になったNさんは、夏休みを利用し、北海道にある祖父母の家に訪れた。これまでにも何度かひとりで来たことがあり、今回もいつもと同じような旅だった。 祖父母の家は、街から車で数時間ほど離れた静かな場所にある。2階建の戸建で、1階には祖父母の寝室と居間などがあり、2階はほとんど空き部屋なっている。なので滞在中は、Nさんは2階で寝起きすることになっていた。家の辺りは一面畑で、街灯もほとんどなく、日が落ちると一面真っ暗