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エッセイ風味

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#食べ物エッセイ

仕出し弁当とのたたかい

仕出し弁当とのたたかい

通っていた幼稚園は給食が出ていた。

正確に言うと、ご飯かパンは持参しないといけなくておかずだけの給食だったような気もする。年長になったら小学校に上がるための準備だといって牛乳が一緒に出ていた。あの200mLの小パックではなくて、家庭用の1Lパックを何本も給食のたびに職員室から先生が持ってきていた。牛乳専用のコップを園児たちが持参していて、そこに先生が毎回注いでくれたのだ。複雑な給食システムだなと

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当たり前だと思うなチェーン店

当たり前だと思うなチェーン店

サイゼに行くと決まった時、喜びで踊りだす大人はいないらしい。まじかよ。

私はド田舎出身だ。「ド」がつくのでもちろんそんじょそこらの田舎とはわけが違う。

サイゼはおろかバーミヤンも松屋も行ったことがなかった。市内にないのはもちろんだが、隣町まで行ってもそんなものは存在しない。

なにせ市で一番高い建物といえば11階建てのマンション、最も街中な場所で電車もバスも1時間に一本、学校のグラウンドには猿

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肉圓

肉圓

この世に美味い食べ物は星の数ほど存在する。

一方で食材の新鮮さや調理に問題があって、なんか微妙だな…という料理に出くわすことも時にはある。が、稀だ。美味しいものの方が多いと思う。

特に苦手な物はないし変な郷土料理とかでも全然食べる私にとって、不味い食べ物というのは出会うことの少ないレアキャラだ。

だが、そんな自分に鮮烈な不味さを残した強者がいる。

そいつの名前は肉圓。バーワンと読む。

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フィッシュアンドチップス

思い出の味というものは誰しも持っていると思う。

小さい頃に食べたおばあちゃんの料理だとか、風邪の時に食べたプリンだとか。当時の記憶と結びつくと、本来の味以上の「美味しさ」がそこには残る。

時は遡り13歳、中学ニ年生。

オーストラリアに行った。短い時間だったけれど毎日本当に楽しくて、見るもの全てが面白くて学びだった。

市にあるビーチに行った日、その時に出てきた昼ごはん。ここが彼との出会い。

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