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自己肯定を目的としたアイデンティティに対する警鐘とやりたいことの活かし方

欠乏動機と成長動機の違い

 この記事では以下のように書かれています。

欲求を満足させる「べき」であったり、満足させ「ねば」であったり、満足させなければ「いけない」というのが欠乏動機であり、欲求を満足させ「たい」のが成長動機である。このような視点で自分の動機を振り返ると、それが「べき」「ねば」などのような義務・犠牲・我慢にもとづくものなのか、そういった枠組みに押し込められていない純粋な望みなのかが明確になるのではないか

私の記事では、主にこの内容について言語化してみようと思います。

前置き(被害者意識が高いと問題は解決しない)

まずこの動画を一度見て頂きたいです。

 自分の意思を聞き手に誤解のないように伝えるべきで、聞き手も話し手が何を伝えたいかを理解する姿勢を見せないと、コミュニケーションとはいえないと思いました。また、大空さんと阿部さんのやりとりを聞いて、被害者意識が高いと「相手が悪い」「相手が○○すべき」「自分は正しい」「これを選ぶしかなかった」などの固定概念に捉われ、根本的な問題解決ができないと考えました。
 この動画を通して”自分だけではどうしようもなかった不幸だったのなら、周囲の差し伸べた手を取る努力はしないと問題は解決しない”のだと学びました。
 次に続くAさんに関する内容や、この記事での個人的な考えの意図が誤って伝わることのないように前置きをさせて頂きました。

不幸をアイデンティティだと思いたい人

 私の友人のAさんは「心身のどちらの意味でもプライベートゾーンに干渉しようとしてくる人が苦手」だという意図の発言をよくすることから、”不幸だと思われるのが嫌な人” という印象を受けました。当時の私は自己評価が低く、その分周囲の人間に対して尊敬に近い感情を抱きやすい性格でした。そのため、相手のことをもっと知りたいという気持ちが先行して、他者のプライベートゾーンに踏み込みすぎてしまっていたと反省してします。しかし、それを大多数の人が「人懐っこい」「聞き上手」とポジティブな評価をしていたことを聞きました。一方でAさんは”不幸な人を助けようとしている”ように見えて不快だったとネガティブな評価をしていました。そう伝わってしまったのは、Aさんのこれまでの人付き合いや環境などが関係するので仕方ないのですが、前置きにもあるように“被害者意識が強いと善意のある行動や言葉を素直に受け取れない”というのも問題です。物事をポジティブに捉えたり、客観的視点で考えたり、周囲の意見を取り入れたり、それら全てのことに対して一考することで解決しやすくなるということを忘れないで欲しいです。

 Aさんと人付き合いをしていく中で、幼少期に性暴力を受けていたり、所謂毒親と呼ばれるような家庭で育てられたのだという事を、私にありのまま話してくれました。他にも、好きなこと(どのような本を読んでいるか)・尊敬している人とその理由などから、”不幸という枠の中で頑張っている自分を理解して欲しい(またはただ聞いて欲しい)”のだと感じました。人間の欲求の一つに「相手に自分の思想を理解して欲しい」というものがあり、それに固執すると思考が固まってしまい、失敗(理想を叶えられない)の原因になってしまうことがあると思います。それは、不幸をアイデンティティだと思いたい人と同様に、”過程が目的になり、それが自分にとっての理想だと思い込むしかない”という負のループに陥るので危険です。
 自己解決に捉われ自分に向けられた善意を素直に受け入れられず、理想の結果を得られないこと対して、自己肯定のためにそれを問題視できない人は、不幸をアイデンティティにしていると思われても仕方ないと思います。

成長動機を成功に繋げるには

 コミュニケーションとは相手がどう思うかが全てで、話し手は聞き手に対して誠意を持って伝えることしかできません。同様に、その人がどういう人間かというのは、当人の意思関係なく周囲の評価で決まるため、先天的であれ後天的であれ不幸という枠の中で見つけたものだけを自身のアイデンティティ(時間や環境に影響を受けない普遍的な認識)とするのは、成功(自己評価+他己評価)に結び付きにくいと考えます。私の手の届く範囲の人間にはそれに伴う失敗をして欲しくないというのが私の成長動機です。
 この件において私にとっての成功とは、自身の内面に秘めたAさんの良さ(強み)を本人がこうありたいという人間像を優先することによって起こる失敗を避けることだと考えます。しかし、私の過去の行動を振り返ると、Aさんが現状をどう捉えているのかだったり、問題を解決することが必ずしも正解ではないということまで考えきれていませんでした。
 したがって、相手が要求していないのに解決策を提示したり、意見を述べることは誤ったアプローチであると言えます。そのため、相手が助けを求めた際に適切に支援できるように、足りない能力を身に着けることや、そういう意図をさりげなく伝えることが重要であると気付きました。これが、私にとっての最適な解決策であると考えられます。

 このように、理想(どういう結果を得たいか)とそれにはどのような能力がどれだけ必要かということを考えることで、成長動機を成功に繋げることができると思います。当然ですが、能力が一定の基準に達していないと理想は叶えられません。
 つまり、成功(理想+能力)するためには”自分の能力が出しやすい環境や手段を合理的に選ぶということが大切”だと考えます。

卒業研究の成果

成長動機を見つけられていない人が多いという問題に対して、私はそれを見つけるのが得意ということを活かし「真の意味での自己理解を補助すること」をテーマに、無意識下の深層心理に重点を置いて卒業研究を行いました。
 研究の成果として、人が選択する過程に根本的な価値観や個性が表れることから、自己分析の過程における自己評価の信頼性が、生きがいを見つける上で極めて重要だと捉えました。

思考実験での例

 自身の成長動機を見つけるために、思考実験をしてみようと思います。あなたはどのように考えますか?

問1「囚人のジレンマ」
ある事件において共同で犯罪を行ったA氏とB氏が刑務所で取り調べを受けています。A氏とB氏は別々の部屋で取り調べを受けていますが、二人ともなかなか口を開きません。痺れを切らした検事は、彼らに取引を持ち掛けます。
「Aさん、あなたは本来懲役5年ですが、もしここで2人とも黙秘を続けたら、証拠不十分で2人とも懲役2年になります。
 しかし、Aさんが自白しBさんが黙秘したなら、Aさんを捜査協力者としてすぐに釈放し、Bさんは懲役10年になります。逆に、Bさんが自白しあなたが黙秘した場合は、あなたが懲役10年となります。また、2人とも自白したなら2人とも懲役5年になります。どうしますか?」

また、今回の囚人のジレンマに下記の前提条件を定めます。

  • 囚人A・Bは別室に隔離されており、相談することはできない状況に置かれているものとする。

  • どちらも釈放後のことは考えないものとする。

  • 囚人A・Bは利害が一致しただけで、二人に特別な関係はないものとする。

  • 以上の条件で考えた後、相手が貴方の最も大切な人だと仮定し再度回答すること。

囚人のジレンマ利得表

次に「テセウスの船」という問題について考えてみましょう。

「テセウスの船」

問2「テセウスの船」
 テセウスが乗ったという有名な船、「テセウスの船」が保管されていました。テセウスの船は時とともに老朽化し、腐った部品は新しい部品へ修理・交換がくり返されてきました。船の老朽化とともに、船は少しずつ新しい部品に入れ替わっていきます。その結果、いつしか元のテセウスの船の部品は一つもなくなり、全てが新しい部品になっていたのです。船の形や機能はテセウスが乗っていた当時の船とまったく変わらないように修理されています。
 しかし、元々の「テセウスの船」の部品や塗装はもはや一つも残っていないのです。はたして、この船は「テセウスの船」と呼べるのでしょうか?

次に「臓器くじ」という問題について考えてみましょう。

「臓器くじ」

問3「臓器くじ」
 とある国では、臓器移植を待つ患者はたくさんいるものの、臓器提供をしてくれる人はなかなかいませんでした。そこで、定期的にくじ引きをして、健康な全国民の中から臓器提供者を1人選ぶ社会制度「臓器くじ制度」ができました。
 くじ引きで選ばれた人は、臓器すべてを提供しなくてはいけません。その人は臓器を提供することで死んでしまいますが、1人の臓器を分配することで、最低でも5人も患者を救えます。
 くじは完全に平等に行われるため、地位や権力、知名度、年齢を問わず、誰もが当たる可能性があります。拒否権はなく、選ばれた人は臓器移植を待つ人のために犠牲にならなくてはいけません。しかし、1人の犠牲により多くの患者が助かります。
 さて、この臓器くじは正しい制度なのでしょうか?

また、今回の臓器くじに下記の前提条件を定めます。

  • くじに不正行為は絶対に起こりえない。

  • 移植手術は必ず成功し、5人は絶対に助かる。

  • 人工臓器や死体移植など、くじ引き以外の臓器提供方法は無い。

  • 臓器の提供者に自分が選ばれる可能性や、患者が貴方の最も大切な人だった場合も考慮すること。

これらの問題の本質は、
囚人のジレンマ
「期待値という不確定要素を重視するか、理論値を大事にするか。それらを他者に対する信用に置き換えて考えた場合、何が判断の基準になっているか」です。

テセウスの船
「どの時点でテセウスの船だと呼べなくなると感じたのか。その具体的な理由から、アイデンティティの核の有無・定義を分析すること」です。

臓器くじ
「目の前の問題に対して自身がその状況を変えられる立場だった場合、それを選択するかどうか。また、その決断の理由から自己肯定の根拠を見つけること」です。

引用サイトURL

以上を元にしたゲーム

既に何者かになっているという視点

 私は自身の好きな人・尊敬する人の特徴などから「自分がどういう人間になりたいか」を知ることができると考えています。他者と比較しなければ自身の才能(どういうことが向いているか)を見つけることができない上に、理想と現実の差に自己嫌悪する人が、SNS普及前より増えたように思います。他者と比較することより”既に何者かになっている”という視点で考え、過去に向き合う勇気を持ち、自身で納得のいく根拠を明確にした上で自己肯定することが大切だと伝えたいです。

成長動機を見つける方法

 今までの人生で1000時間以上継続して努力したこと、やるなと言われてもやってしまうこと、好きな事・人、先程の思考実験の内容等を思い出してください。それらの中で、”過程とその最終的な結果を選んだ理由の一貫している部分”が貴方の成長動機です。

「行動が目的にならないようにする」

 それがないという人は、やってみないと分からないし変わらないというマインドを持ち、完璧主義者にならず、とりあえず目の前のことや、思いついたことから行動を起こすところからやってみてください。

まとめ

 結果が出ないことに対して、問題解決の手段をポジティブに考えられない人だったり、過程に理想像を描いたり(不幸をアイデンティティだと思いたい人)、結果に囚われて目的を見失うことを問題点として挙げました。私はこうした問題に対処するために、なぜそのような結果を選んだのかという過程の一貫性から成長動機を見つけ、それを実現するために合理的に考えることが極めて重要だと述べました。それこそが才能(真の意味でのアイデンティティ)だと思います。それは今まで1000時間以上継続して頑張ることや、自分と向き合う時間を作ることで見つけることができると考えます。
 この記事を通じて、皆さんが成功するきっかけとなれば幸いです。

後書き(頭がいい人とは)

 「頭がいい」の定義を考えてみると、自身の能力を見つけやすいです。
この動画では、頭がいい人の例で以下の3点の例が挙げられています。

  • 0から1を生み出すことができる人

  • 1を10にすることができる人

  • 10を10のまま相手に理解させることができる人

 2番目と3番目を足すと「本質を捉え、人に合わせたレベルで話ができる人」になると考えたので、私もむぎさんと同じ定義です。それを踏まえた上でどういう人になりたいかを考えると、「1を聞いて10を理解し、それを皆に分かりやすく伝えられる人」という結論になりました。
 既に何者かになっている(どういったもの好きか。どういう結果を望むか)という視点と、頭がいい人という言葉の定義(どういう人になりたいか)を踏まえて、私はその人の良さを理解するということが好きで、それを実現する(他者に分かりやすく伝える)ためにどういうアプローチをすればいいかを論理的に考えることが得意だと考えました。

私の人生の定義と目標

 人生というのは、「時に楽しい事より理不尽で苦しいことの方が多く、誰しも最終的には死に行き着く。命には限りがあって、有限だからこそ価値があり、変化しながら絆を築きながら、精一杯自分にできることを考え続けること」だと思っています。その上で、誰かに知ってもらって覚えていてもらうことが生きるということで、誰にも理解されないことが私にとっての苦しさです。
 人付き合いでもゲーム制作でも、「誰かの良さを伝える手助けをしたい」という目標は変わらないので、音楽が好きという成長動機を活かし、Mix師としてこれからの人生を生きていこうと思います。



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