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怒りを抑えるセルフマネジメント術

職場・家庭などで、何かの拍子にイライラしてしまったとき、皆さんはどのように怒りを対処していますか。うまく感情を切替えできずに、不機嫌そうに黙り込んだり、周囲の人や物に八つ当たりしてしまったりした経験はあるかと思います。冷静になった後に、自分の行動を振り返った時に後悔する人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、怒りの感情をコントロールする手法である「アンガーマネジメント」について紹介します。

アンガーマネジメントとは?

イライラや怒りといった感情をコントロールすることをアンガーマネジメントと言います。イライラや、カッとなった時に出る衝動的な言動や行動をうまくコントロールし、適切な問題解決やコミュニケーションに繋げるための手法です。

アメリカでは1970年代から心理教育として浸透しており、日本でもビジネスの分野で広がっています。アンガーマネジメントの習得は職場コミュニケーションを円滑にして、かつ職場におけるストレス対策としても効果を発揮します。企業ではその有効性を社内研修やワークショップなどにも取り入れられてます。

特にビジネスにおいては、怒りの感情が職場の人間関係や雰囲気を悪化させる原因にもなり得ます。これらの問題を解決すべく、日本国内ではアンガーマネジメントの普及・浸透を目指す「日本アンガーマネジメント協会」の活動によって、企業研修やセミナーなどの開催も盛んになっています。

日本アンガーマネジメント協会はこちらhttps://www.angermanagement.co.jp/

人が怒るメカニズム

ここでは人がどのようにして怒るのかメカニズムを紹介します。
人は自分がこれまで大事にしてきた価値観や理想を裏切られた時に、怒りを感じます。

また、人に期待した結果、かえってそれが裏目に出て、裏ぐられたと感じた時にもイライラしたりします。不安や不満などのマイナスの感情や思いがガスのように溜まっていると、自分の中にあった「○○すべき」という理想や価値観が裏切られたときにも同様に、怒りを感じます。

例えば、あなたが「待ち合わせは5分前集合が絶対」と考えていると仮定します。しかし、約束相手が集合時間を5分過ぎたくらいに到着した際に、自分の考えと現実にギャップが生まれ、「遅刻だ!」と憤るかもしれません。
このように、「○○すべき」という強いこだわりと、マイナスの感情・状態の2つがそろうことで怒りは発生します。

反対に言えば、どちらかを減らすだけでも、怒りを小さくすることが期待できるでしょう。

アンガーマネジメントが注目された背景

アンガーマネジメントが注目されるようになった背景に、価値観の多様化があります。
日本がさまざまな価値観やライフスタイルを認め合う社会へと変わっていこうとする一方で、世間ではまだ自分が信じてきた価値観以外のものを受け入れられない人が多くいます。そのような人たちが、自分と異なる価値観を持つ人との接点が増えたため、怒りを溜めこみやすくなってしまったのです。

また、社会全体がパワーハラスメント・セクシュアルハラスメントなどのハラスメント防止策に力を入れ始めたことです。上司が部下を叱ると、本人は教育のつもりでも、部下や周りからパワーハラスメントと捉える可能性もあります。先輩や上司から自分が教わった方法や価値観が通じなくなったこと、昔からの習慣から抜け出せないこと、そして叱った結果、部下のモチベーションが低下し、チームの生産性や指揮が下がることなど、ハラスメントから派生してイライラが生まれやすくなっています。

また防止策に注力しても、完全にハラスメントがなくなるとは言い難いです。ハラスメントの被害者が、その怒りをまた別の場所で他人にぶつけるなど、怒りが連鎖されていくこともあるので、ハラスメントが無くなるは難しいです。

人はこれまで信じてきた価値観を裏切られたときに怒りを感じやすいものです。そのため、かつての常識や価値観が見直され、価値観が変わろうとしている現代社会で生活していく上で、必然とアンガーマネジメントが求められるようになったのです。

アンガーマネジメントの方法

ここで、基本的なアンガーマネジメントの方法を3つ紹介します。

アンガーマネジメントの手法を言葉で理解すること自体は、非常に簡単です。肝心なのは、いざ怒りに直面したときにしっかり怒りを意識できるかということです。言葉でわかっているだけでは意味がないため、アンガーマネジメントのスキルは実践でしか磨くことができません。今日からでも怒りを上手にコントロールする意識をもって、是非実践してみてください!

①6秒間コントロール

怒りがコントロールしにくいのは、分泌されるアドレナリンによるものとされています。このアドレナリンは、6秒間で体内を巡るのが特徴です。この6秒間さえ乗り切ることができれば、怒りはコントロールしやすくなります。

単純なカウントでは効果がないという人は、よりカウントすることに意識を向けさせやすいカウントバックもおすすめです。1、2、3、ではなく、100からスタートして17ずつ引き算していく(100、83、66、49・・・)方法もあります。突発的な怒りから、カウントに集中する事に意識を分散させると

②怒りにスコアをつける

怒りを感じたときに、その怒りに評価点数をつけるのも効果があります。0が正常、10を人生最大の怒りと設定します。今までの怒りの経験と相対評価しながら、「今の怒りは先週の怒りに比べると弱いから5点」「今日の怒りはあの時より強烈だったから8点」など、客観的に自己評価をするのがコツです。

そうすることで徐々に、「これは怒る必要のないことだな」と怒りに対する寛容性や客観性を高めることに繋がります。

③「〇〇しなくちゃならない」「〇〇すべき」をなくす

固定化された価値観や理想は、しばしばストレスを誘発します。すべてを完璧にこなすのではなく、自身の中で許容できるラインを設定すると気持ちが楽になります。

自身の許せる/許せないラインを把握していると怒りを感じる基準が明確になり、ビジネスや私生活でストレスを蓄積しないように行動しやすくなります。

まとめ

アンガーマネジメントは技術的なものなので、練習をすれば誰でも身に付けることができます。大事なのは、知識として終わらせるのではなく、日常生活の中に取り入れる事です。また、取り入れたらそれを習慣化してみましょう。まずは3日程アンガーマネジメントを意識して実践すれば、きちんと記憶に残るため、思い出すことができます。そして思い出すことができれば、練習を続けることができます。もし自分の怒りに手を焼いているようならば、ビジネススキルのひとつとして実践してみてはいかがでしょうか。


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