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「人生は流れ星のようなもの、きっと」

いつかの深夜11時、ほとんどの人が明日に備えようとしている中、僕はゆっくりと玄関をあけて外に歩き出した。外に出ると、電灯と月の明かりがうっすらと夜道を照らしていた。

ポケットに入れたイヤホンを取り出し、耳に当てた。日によって、音楽を聞いたり聞かなかったりするのだが、この日はどうにも無性に聞きたくなった。

沈んだ心を持ち上げたかったので、たまに聞いているアヴィーチーを聞くことにした。徐々に音量を上げていったので、だんだんと気持ちが乗ってきた。曲に合わせてスキップをしてみたり、たびたび指を鳴らしてみたり、しきりに首をふってみたり。真夜中にだ。静まりかえった夜道を、台風のごとく通るのも悪くない。

幸いにも、僕の奇行をみた人は一人もいなかったので、僕を変人だと思う人は一人もいなかったということになる。それでいいのだ。見られなかったという事実だけが、自分が変人でない証となる。

歩いている中、ふと空を見上げる。しばらくぼうっと見ていると、突如キラッと煌きが走った。流れ星だ。空が涙を流したようだ。

お決まりの行為である、願い事をすること。これをしようとしたのも束の間。まばたきをしたその瞬間に、その涙は空から拭われていた。なんともいえぬはかなさと、あっけなさだけが残った。流れ星を見つけたときは、決まってこうなることになっている。

空の涙を見てときどき思うことがある。人生は流れ星のようなものだ、きっと。現れた時にもっとも輝き、だんだんと色あせ、最後は光を失う。それもたった一瞬で。今日だってもう1日が終わろうとしている。

どこで輝くかは人によって変わるし、いつ消えるかも定かではない。十年後かもしれないし、来年かもしれないし、今日かもしれない。どちらも、だ。

終わる瞬間がわからないこの世界で、輝きを放つ光となろう。光を求めて歩み続けることが、きっと未来を明るく照らすだろう。

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