見出し画像

【女性支持率No.1】オーガニック コンドーム sustain が全米7,000店舗に配下されるまで

アメリカのコンドーム事情を調べている中で、パッケージが圧倒的に可愛くて目を引いたブランドがありました。それがsustain natural。今日はこのブランドを深堀っていきたいと思います。

sustain コンドームとは?

sustain コンドームを一言で簡単に説明すると、女性が恥ずかしがらずに持てるオシャレ、かつビーガンで環境に優しいコンドームです。アメリカではコンドームの40%は女性が買っていると言われていますが、sustainはなんとこの女性向けコンドームのシェア1位。Amazon USの売上ランキングでも現在コンドームカテゴリ全体の11位となっています。

コンドーム業界にイノベーションを起こした女性はどんな人?

誰がこんなイケてるブランドを作ったのか。

単純に気になりますよね。調べてみるとこのコンドームを作ったのは、女性起業家であるMeika Hollender(ミカ・ホランダー)という女性でした。起業したのは2014年の時で、当時ミカは28歳、NYUのビジネススクールを卒業したて。父親と一緒に業界初のナチュラル コンドームブランドを立ち上げました。

ちなみに父親のJeffrey Hollender(ジェフリー・ホランダー)もすごい人で、エコな洗剤やおむつで有名なアメリカの衛生用品ブランド「Seventh Generation」(セブンス・ジェネレーション)を立ち上げた人でもあります。

ジェシカ・アルバが作ったThe Honest Companyの競合的企業と言えば、ピントくる方もいるかもしれません。

小さい頃からエコな製品が当たり前の環境で育ったミカは、MBAでサステナビリティとソーシャルインパクトを専門に学びます。

Seventh Generation創業者の父とサステイナビリティでMBAを取得した娘

父娘の知識と経験を結集して作られたのがsustainブランドと言えるでしょう。

ちなみにブランドはローンチ後から順調に成長し、2016年には3億円を資金調達。ミカはその功績を認められて2017年にForbesの30 Under 30に選ばれています。2018年には自身の著書「Get On Top Of Your Pleasure, Sexuality and Wellness」を出しました。

自分の身は自分で守る。創業者がsustainに託した熱い想い

「リップやスマホをポーチに入れて持ち歩くように、多くの女性が恥ずかしがることなくコンドームを持ち運べるようにしたい」

sustainというブランドは、創業者のこんな想いからスタートしました。

I founded Sustain almost five years ago with a clear mission: to enable women to take control of their sexual and reproductive health.

SNS上でミカは、「ミッションは女性自身が性に関するコントロールをできるようにすること」と言っており、sustainのブランドストーリーには一貫してその意思が現れていると言えます。

sustainが女性向けコンドーム市場1位になるまでの軌跡

2014年にローンチしたsustainコンドームですが、ミカが定めた最初のマイルストーンは世界で一番サステイナブルなコンドームを作ることでした。

sustainコンドームは、
・ニュートロサミンフリー
・パラベンフリー
など体に影響を及ぼす可能性のある成分を使っていません。

また、製造に関しては
・素材の天然ゴムはフェアトレードのものを使用
・製造工場で働く人たちへは正当な賃金を支払い
・子どもの強制労働は一切なし
・リサイクル素材で作られたパッケージを使用
・利益の10%は米国の低所得女性のリプロダクティブ・ヘルスや家族計画をサポートする団体に寄付
するなどして、サスティナブル経営を行っています。

プロダクトはこちら。一番人気のUltra Thinの他、合計4タイプあります。

企業努力もあってか、sustainコンドームはローンチ時にアメリカのオーガニックスーパー最大手、ホールフーズに卸すことに成功します。これはブランドにとって大きな快挙で、というのも当時ホールフーズにはセクシャルウェルネスカテゴリの取り扱いがなかったため、全米に約480店舗ある巨大スーパーの新カテゴリ開拓したことになります。

いい製品を作る、いい卸場所を見つける

ブランド立ち上げ時に苦戦するであろう最初の関門をクリアしたミカは第二のマイルストーンとして、「トップになる」ことを掲げました。

2016年までの2年間はとにかくシェア拡大にフォーカスし、売上を伸ばすことと取り扱い店舗数を増やすことに全力を尽くします。結果、2年の間でホールフーズ200店舗とターゲット200店舗を含む合計4,000もの店舗での取り扱いに成功しました。

ブランドを立ち上げるとプロダクトラインを広げたくなりますが、1つの商品にフォーカスして成長させることってやっぱり大切ですね。

ミカの場合、この成功を納めてからようやく2017年後半からDirect to Consumerライン、いわゆるD2Cをスタートして販売チャネルを広げ、商品も月経カップやオーガニックコットンのナプキンなどの生理用品に拡大していきます。

店舗から広げて、後からD2Cにシフトしていくというのは今のD2C企業とは逆行しますが、2014年当時はまだ今ほど日用品をECで買う文化が浸透していなかったことを考えるとありな攻め方ですね。

そしてなんと言ってもホールフーズに扱ってもらえるセクシャルウェルネス ブランドというのはsustainにとって最高のブランディングとなっているはずなので、マーケティング戦略的にもすごくありな気がします。

2019年に急展開!わずか5年でExit

・業界初のナチュラル セクシャル ブランド
・全米4,000店舗での取り扱い
・D2Cのスタート
・生理用品カテゴリへのプロダクトライン拡充

順調に成長していたsustainですが、なんと創業から5年目の2019年8月に、Groveという企業に買収されます。

2019年はひげ剃りD2CブランドのBEVELがP&Gに20〜40億円で買収され、Harry'sもSchickの親会社に約1,300億円で買収されているので、成長中の消費財系D2Cブランドを早い段階で(安く)買収しようとする一種のブームがあったのかもしれません。

sustainを買ったGroveという会社はエコなホームケアグッズやパーソナルケアグッズを販売するサンフランシスコ発のスタートアップで、2018年には100億円以上の売上を出しています。

具体的な買収金額は非公開ですが、なんと2013年に創業しているsustainと同じくらい若い会社です。こちらの記事によると3倍の売上を目指していくんだとか。

若い勢いあるスタートアップ同志、引き続き頑張って欲しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?