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【つの版】本棚にある本02
ドーモ、三宅つのです。今回はこのようなタグをTwitter海で目にしました。
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
要するに前回の「本棚にある本」の亜種です。別に見たものは全員やれとは書いてませんが、なんかむずむずしたのでやります。216ページ以上ある本で、前回紹介していなかった本をあげればいいわけです。「紹介」とあるので抜き書きする必要もないのですが、プラクティスとしてやります。
これらを読んだからといってつのになれるわけもなく、またこれらを読んでいる人を見つけたからといって、それがつのである保証はありません。もしあなたがこれらの書物を持つ人物を見つけ、「あなたは三宅つの=サンですか?」と聞いてみたとします。大概は眉をひそめて否定するでしょうが、もしそれが本物のつのであれば、それは薄紅紫色の光とともに隠された真の姿をあらわし(それを目撃したあなたは1D6/1D20の正気度を喪失します)、あなたを謎めいたきらめく煙の渦で瞬く間に包み込み、異次元の彼方へ連れ去ってしまうでしょう。あなたは気をつけるべきです。
◆One way to be my journey◆
◆This way could be my book of days◆
一冊目:スズメバチの黄色
蠱毒は必死にポーカーフェイスを作り、勝頼と通信を続けながら、死に物狂いで新たな策略を構築し始めた。これまでも陰謀に陰謀を重ね、嘘を嘘で覆い隠し、ハッタリをハッタリで継ぎ接ぎして、歪みは全て若い奴に負わせて消し、帳尻を合わせてきた。今回もまた、どんな手を使ってでも生き残ってやる。
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
ニンジャヘッズにはいわずもがなの一冊です。この文章がぴったり1Tweetに収まったので驚きました。未読の方には蠱毒が悪党で悪役というのがネタバレになってしまいますが、まあいいでしょう。読んで損はありません。ニンジャスレイヤーを知らない人の感想を、もっと読みたいものですね。
二冊目:妖怪と精霊の事典
死神車 death cars
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
前の持ち主が車の中で死に、死体が腐り始めるまで発見されなかったので、どうにも消せない死臭が車についているという、民話のモチーフ。この伝説は世界中に広がっているが、おそらく1930年代に米国から始まったものだろう。
(青土社・妖怪と精霊の事典)
そういう話の資料集です。つのはこの手の妖怪や悪魔や天使、吸血鬼、神話伝説とかの事典を昔いろいろ買い漁ったことがあります。プランシーのやつが有名です。暇な時に見てみると話のネタになるでしょう。ディブクとかアチェリとか、メガテンに出て来た悪魔の元ネタと思しき記述もあります。結構値が張るため、図書館で気になるところだけ引いて読んでもいいですね。
三冊目:中世のパン
豚肉のフレーシュ(ないしフロシュ、フリシュと呼ぶ)は、豚の肩から尻まで両わき腹にそってとれる部位を指している。ここから骨を外したものは、「プノー・アン・グレス」と呼ばれ、『同職組合の書』では「脂、脂肉、ベーコン、骨無し(プノー)ベーコン」の市場税が出ている。(白水社・中世のパン)
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
中世フランスの生活の一端がわかる資料集です。ヨーロッパ人にとってパンはキリストの肉体たる神聖なものであり、日々の糧と言えばパンのことでした。麦の収穫から粉挽き、パン作り、販売とその価格などが事細かに記されており、当時の「食」に関する様々な案件が取り上げられています。引用した部分は実は巻末の注釈ですが、さらに後ろには中世のパンに関する多数の用語解説もあります。異世界転生した時とかの参考にして下さい。
四冊目:和漢三才図会
○早雲。初名は氏茂。伊勢の人である。駿河に遊び今川氏に仕え、のち伊豆に来て北条に住んだ。それで北条をもって姓とした。勢いは稍盛んで彼につき従う者も多かった。ある日兵を率いて相州小田原城を攻め落とし、その子の氏綱があとを嗣いだ。(平凡社東洋文庫・和漢三才図会10)
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
江戸時代に編纂された百科事典です。現代語訳された東洋文庫版は18巻もあり、これはその一冊です。とにかく当時のありとあらゆる物事が記載されており、天文地理から動植物、妖怪変化に至るまで知ることができます。結構お高いのですが、つのが買ったわけではなく身内の所有物です。でもつのは時々漁っては読みふけっています。一応「本棚にある本」ではあります。
五冊目:ユングとキリスト教
はじめに「プロパテール」(原父)あるいは「ビュトス」(深淵)とよばれる「全きアイオーン」が先在する。それは把握し得ず、見えず、永遠で、生れず、大いなる沈黙と静寂の中にあった。彼と共に「エンノイア」(思考)または「シゲー」(沈黙)とよばれる女性的存在があった。(ユングとキリスト教)
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
昔メガテンやペルソナにハマっていた頃、参考資料としてユング関係の本を買い漁ったことがあり、その一冊だと思います。ユングの『ヨブへの答え』も面白いのですが、あれは216ページもありませんでした。つのは深入りはしませんが、聖書とかグノーシス主義とかゾロアスター教とかユングとかは中二病の教科書みたいなもので、誰もが一度は通る道です。脳みそを耕すためにいろいろ読んでみましょう。
六冊目:歴史序説
かつてウバイドッラー=ブン=ホルダーズビフは彼の地理書のなかで、[アッバース朝カリフ]ワースィクが夢のなかでこの防壁の開かれたのを見て、驚いて目覚め、通訳サッラームを派遣したところ、彼はこの防壁を調査し、その情報を持ち帰って詳しく語った、と述べている。(岩波文庫・歴史序説一)
— 三宅つの (@samedininja) October 13, 2019
書評:https://1000ya.isis.ne.jp/1399.html
14世紀イスラム世界の辺境に生まれた有名な書物です。世界各地の地理と歴史を踏まえて独特な歴史哲学や文明論が展開されており、歴史社会学の基礎を成しています。イスラム世界はいろいろ誤解されていますが、このような哲学者を生む土壌も豊かにあります。つのが逆噴射プラクティスのマガジンのトップ画像にしているのは、この本についている世界地図です。引用部分はアレキサンダー大王が中央アジアに建設したとされる防壁の話ですが、特に詳しく解説はされていません。荒唐無稽な伝説でも、どこでどのように生まれて伝播して行ったか探るのは面白いものです。
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ほんの一部ですが、とりあえず今回はここまでです。一冊だけでも多数の記事が書けそうです。つのはこうした書物をかじって生きており、時々何かの形でアウトプットする、電子的深海生物の一種です。また気が向けばやるかもしれません。気長にお待ち下さい。
【ひとまずおわり】
つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。