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2024年1月27日 13:16
踏切を待つ間に夜を洗う風が吹く通り過ぎる電車に浮かぶ方々へ別れる予定の人々は灯台の顔をして揺れている遮断機があがると道が生まれた真っ直ぐに進むことをこばむ足は敷き詰められた小石に触れるそれは 未完の寄り道いつか水底でねむっていた時間に繋ぐ渡れる川を横断する遠景にころがる果実に映された、いくつもの呼びかけ皮を剥くように拡がるとばり手招きする一歩手前で止めて転写され
2023年1月22日 16:56
交互に眠る寝台が時間を止めるカーテンの隙間からさす光が冬の鳴き声を拾うあれはよくやってくる猫だった去る季節の流れの中で散歩する尾マフラーをきつく締め直す空気をのこさないよう念を入れて薬缶で湯を沸かす時間だけ休める朝方には躰をたたんでいる電車が一気に停車しドアが開くひらいた扉が作るうつろな道はホームを幾つも跨ぎ光の道筋をしるし……横断します初めて降りる駅の懐か
2023年1月18日 00:03
胸に張る蜘蛛の巣に質問するように胸をおさえた書けなかった言葉はどこへ行ったのか、と深く沈んだ芽を摘めるのにちょうどいい手の強さを獲得するまで潜水を続けた水面に映る月を見れなくても夜行バスの揺れのように信じるということは目を閉じて海底へ進む終わりがかろうじて読める旅完成した蜘蛛の巣に水が引っかかる無意識に挟み込んだ栞が点滅する ✽ ✽ ✽1/7の琉球詩壇の
2022年12月20日 23:06
エキセントリックという名の犬を飼っていた。一糸乱れずラジオ体操をしてしまう私によく吠える犬だった。普通に振る舞うほどに目立ってしまって、普通との間にある不均衡に癒されていた。彼の耳が蝶のようにホバリングしている。添い寝するときの、同期していく感覚。天気が悪かったからだろうか、適度に湿った耳の柔らかさが香りを連れてきた。あれはどの町の魚市場だったか。滑らないように注意深く市場の通路を行く。てらてらと
2022年3月25日 20:39
星が燃えそこねたようなちぎれ雲が浮かび 足を浸したくなる ブランコに乗る時 靴を履いていた 地面を蹴る時に まだ着く足 守られているようで 空の高さを知るために風は昨日から吹くのだろうか 開いた指の間に屋根が咲く 散歩する人を収める 地を蹴れなくなる日は 忘れたふりをして……いまも仰げる空があるなら 今日みたいな日 目を留めるため 犠牲となった 星を数えな
2021年11月7日 16:58
飛び出せるかも分からずに手すりに引っ掛かり1マイルずつ蹴伸びして進むのに憧れていました(点滅している(心臓の横で(受話器が喉をひらいて点字ブロックをなめらかになぞる空気に触れ甘い金木犀の庭に行きましょう写真が何枚も干され風景の引き算をしている最中で我慢できずに買いに出かけてしまうのですねそれでも開けることをやめられない開封ラベルのささめきがその都度膨らむから芳し
2021年10月23日 04:01
ベビーカーだと思っていたら隠れていた犬が吠えだした空気を震わせる朝に木はじっとしているじっとしているがゆえに目立つ葉の解散瞳を固定させて来たる冬の予感を輪くぐりここに雪は降らないけれど降り方は覚えている告げるように一枚、二枚二枚、三枚、はらはら胸に飲み込んで窒息する
2021年9月20日 23:37
蜂の巣のような鏡の前で乾かすように姿を映す緑の服を着ているからって花火は打ち上がらないでしょ、何分割もされて責められている多角形のかたまりはばらすと意味になり怖くないと話し始めまた集まりたがり私を蜂にさせたがる掴めない空に針を浮かべ方角を知るそのとき浮いた胸に実が落ちた涼しいプールに水切りをして月を引きこむことができたらいいのに乾いた胸中に横切る真新しいジュースに
2021年8月14日 01:14
重い腕に注射を打ったばかりの腕に雨音を聞かせて横になる届いたばかりの三通の手紙確かに生きているということ書けるということそっと噛み締めながら使える右手で返信の出だしを生む終わることを知らないから雨は降り続けることが出来て夜にも昔にも回路が満ちて置き石に目隠しを与えて切手は余分にあります。(追記:ワクチン接種一回目の記録として書いたもの)
2021年8月13日 00:12
風が流れて歌うオリーブの葉が落ちて歌に混ざって手を繋ぐ光の先にあるように見えてまだ午後の続きだった話が続くところまで歩こう二度目の風がケサランパサランを鼻まで運び好きだった歌にまで触れた
2021年7月31日 19:31
まだ西日がひかり水面をまだらに照らす午後河川敷に集う人々の影はまるい着水を続ける白い鳥の断続的な打点は緊迫のあとの安堵か安堵のあとの緊張かわからないが確かにのぞまれていた破った恋について話す男の子その横に置かれたアルコールの缶を無邪気に倒して走り去る子供これも打点だ数メートル先で音を集めた右手には着水を覚えたばかりの手紙が握られている
2021年7月25日 01:43
開かずの踏切の前で乾いた魚が背伸びしている乗客の心を反映して黄色の車体が去って行く電車に乗り込めなかった人の代わりとしてここに立っています魚の宣言が金曜日の窓を磨く
2021年7月6日 21:25
降りだす前に出かけようとわたしはアパートの階段を降りる視線を送った先には男性に抱かれながら家に入る犬の姿閉まるドアの手前で鮮やかにどことなく湿っている毛並みと空を映す瞳が素敵ね近所なのに鳴き声なんて一度も聞かなかったのはあなた室内犬だったからなのね犬が眠り 丸くなる家の前を毎日通っていたんだ優しい灯りの正体が一つ暴かれて湿気の中で微笑んだ
2021年6月24日 20:28
雪崩のように均一な世界なんだと蹲りながら考えていました暑さに弱いクチナシの花は蕾を結んだまま部屋の中で存在感を増しています話したい、はなしたい、離れたい、放たれない(でも、そんなに嫌じゃない)(あなたがこうして気にかけてくれるから)開かれたままの眸はバナナ死んだ香りを閉じ込めて南米に出荷される夢を見よう