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こんなハイジャックがあるなんて!?『シャドー81』ルシアン・ネイハム

ロサンゼルスからハワイに向かっていたジャンボ旅客機が、無線で驚きの通告を受けます。なんと、旅客機が乗っ取られたとのこと。犯人は、最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。200人以上の命と引き換えに、巨額の金塊を要求し、地上にいる仲間と一緒に、政府や軍、FBIを翻弄します。 

この本は、どこかの読書ブログで紹介されていたもので、いつもなら、多分読まないジャンルの本です。でも、帰省で片道3時間以上、退屈することがわかっていたので、何冊か、普段読まないような本を見繕った中の1冊だったと思います。

この本の出版は2008年。なので、てっきり最近の話だと思っていたら、話がいきなりベトナム戦争から始まり、驚きました。しかも、ハイジャックの話らしいというのに、なかなかハイジャックが始まらないので、帰省途中の特急の中では、ストーリーがよくわからないまま寝そうになる羽目に。

で、実家に着いて、落ち着いてからようやく読書再開。ここからが、すごくおもしろかったです。普通、ハイジャックといえば、武器とか何か爆発物みたいなものを飛行機に持ち込んで、パイロットや乗務員、地上の管制塔なり航空会社や政府の偉い人たちを脅して、自分の要求を通そうとするじゃないですか。

でも、この小説は違うんです。犯人たちは、ジャンボジェット機に乗ることなく、乗客たちを脅すことができました。しかも、ものすごく頭のいい方法で。これがもう、最高にスリリングな冒険小説みたいで、ハイジャック犯に肩入れしたくなる痛快さなんです。

しかも、最初から最後までハラハラする要素が準備されているので、よくできた話だけでは終わらず、最後の最後まで楽しめます。小説の舞台は、50年以上前の話。でも、いま読んでも全然古臭くないところもすごいです。

作者のルシアン・ネイハムは、なんと1930年にエジプトに生まれ。16才からフリーの記者としてフランスやイギリスの新聞に記事を書き、AFPニューヨーク支局の記者として活躍した後、1975年にこの作品を書いたそうです。30年以上前の名作を翻訳、出版してくれたハヤカワ書房さんに感謝!




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