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失敗しないオフィス移転の極意ーオフィス選び編ー

去る10月中旬。「そろそろオフィスほしいな」という代表の鶴の一声で「はじめてのオフィス移転プロジェクト」は始動しました。

スタートアップ企業あるあるかもしれませんが、メンバー内にオフィス移転の経験者はゼロ。そもそも担当するリソースの余白が誰も無かったので← 事業計画上どうしたって必要不可欠なプロジェクトに名乗りをあげました。(というよりもいつのまにか担当者になっていた)

ふと思い返してみると、このプロジェクト成功の秘訣にはいくつかのターニングポイントがあったのではないかと考え、「きたる!●年後の再移転!」に向けて、移転計画ハックをメモしていきます(笑)スタートアップ企業さん・ベンチャー企業さんの参考になるといいなぁ。

極意① 移転の目的とゴールを設定する

闇雲に物件さがしをスタートさせても、良い物件には巡りあうことができません。また、物件の選定基準が定まっていないと、「良い!」「悪い!」が感性による判断になりますし、トップとの合意形成が非常に難しくなります。加えて、仲介会社は自社の要望をくみ取っての物件提案になるので、欲しい物件のイメージが明確でなければ、良い物件の提案も貰えません。

そのため、まずは今回の移転の目的からブレイクダウンし、物件条件を整理します。加えて、現状オフィスの課題を洗い出し、新オフィスではその課題を改善できるようにします。最後に、トップとメンバーの要望についてヒアリングします。

★参考までにイメージ図

ここで重要なのは「MUST」と「WILL」で叶えなくてはいけない要望を整理することです。すべての要望を叶えることは難しい。なので、物件条件の優先順位を決めておきます。

極意② 不動産仲介会社は営業担当との相性で選ぶ

いよいよ、オフィス探しスタート!ですが、まずは情報収集から。星の数ほどある仲介会社から何を基準に選ぶべきか。私は「スタートアップ」「ベンチャー」の実績が多い仲介会社を軸に4~5件の打ち合わせに臨みました。

★参考までに ベンチャーに強い仲介会社さん3選
クリアビジョンさん
ヒトカラメディアさん
47株式会社「officee」さん

★参考までに お問い合わせ時に明確にしておいたほうが良いこと

■立地……どの路線沿いがよいか?どの駅がよいか?
■坪単価 ……この条件によって場所が限定的になる
■広さ……座席数+会議室+その他スペースの構想によって変化
■家賃総額……ランニングコストをどのくらいに抑えたいか
■移転予算……内装費用目安でオフィスのグレードが変化
■スケジュール……移転完了希望日によっては難しいケースも

★参考までに お問い合わせ時に聞いておいたほうが良いこと

■各駅の坪単価平均
■居抜き物件の取り扱い有無
■仲介後のアフターケア パートナー会社の有無

仲介会社を選ぶ際に
・仲介手数料の有無
・取引実績社数
・交渉力
がよく上げられるポイントかと思いますが、私は営業担当との「相性」が一番重要だと感じました。相性といっても「人柄が良い・悪い」といったことではありません。

①自社の要望を深くヒアリングしてくれるか?
②自社の課題に関してソリューション提供してくれるか?
③移転プロジェクトに最後までコミットしてくれるか?
④自分が、遠慮せずに要望を担当者とコミュニケーションできるか?


初回商談で上記の④点を感じられるかどうか?を軸に決めました。また、初回商談後に1回目の物件提案があるのですが

⑤初回商談から、自社の要望を反映させた物件の提案があったか?

といった点も重要な判断ポイントでした。というのもどの業者も、仲介手数料と取り扱い物件というのは実のところあまり違いはありません。なので、「+α」要素として、移転担当者がストレスなく、自社の要望をきっちり通せて、かつ並走してくれる担当者に出会えるかどうかが重要なポイントになります。

極意③ 内見は気張らずに色んなグレードを視察する

さて、ようやく物件内見です。目標は高く!ということで、最初は予算を気にせず、色んなグレードの物件を見て回ります。


★参考までに こんな観点で内見してみるとイメージが膨らむ

①居抜き物件
 内装や什器などがそのままなのでオフィスのイメージがつきやすい

②~100坪 ~50坪 ~30坪 広さ別にみてみる
 計算上では「●人なら●坪」と簡単に出せるが、感覚値がつかめない
 意外と狭い 意外と広い というのが見えてくる
 また、建物の構造によってもだいぶ変わるようだ

③坪単価 3万円~ 2万円~ 1.5万円~
 管理ビルのグレードなどがなんとなく見えてくる
 給湯室やトイレなどの設備は重要

実際に物件を見て回ると、紙面上では見えてこない落とし穴が見えてきます。例えば……

①駅からの距離
 主要路線は?徒歩時間は?

②駅・建物周辺環境
 ランチどころや居酒屋はあるのか?コンビニはあるのか?
 銀行や郵便局はあるのか?買い出しなどはしやすいか?
 建物周辺は明るいか?人が入りやすいビルか?
 怪しいテナントや飲食店が入居していないか?

③建物環境
 エレベーターや階段は?
 オフィスの受付は設置できる?
 トイレなどは共同?
 窓は?窓からの景色は?
 水回りはリノベーション可能?
 機械警備?24時間出入りOK?
 郵便物の受け取りは?
 ゴミ捨て場は? 

とまぁこんな感じで物件を見る目が養われてくるので、10件~15件くらいは現地で実際の物件を内見することをお勧めします。たとえ、予算が足りない!という場合も、未来に備えて「次はここに移転するぞ!」という新しいモチベーションになります(笑)

極意④ 予算シミュレーションをしてみる

物件の下見をすると、どの程度の物件であれば移転できるのか、現実味を帯びてきます。そこで、すこし大雑把な予算シミュレーションをしてみます。

★参考までに 何をシミュレーションしたのか?

①物件エリアによる総額コストの相違
場所が決まらないと物件探しが難航します。なのでまずはエリアを絞る。しかし、西方面はどこも坪単価が高い!理想と現実をこのシミュレーションでトップに共有します。その上で、エリアを選定してもらい、立地を選ぶなら、何かを捨てる覚悟をしてもらいます。

②オフィスにMUSTで必要な坪数
全体の坪数から、会議室やリラクゼーションに必要なスペースを差し引いた際の執務スペースと座席数を割り出します。坪数によって家賃総額が変化するので、自社にとっての家賃と坪数の最適値はどこかをあたりをつけます。

③オフィス構築のための初期費用
敷金・礼金が地味に痛い。加えて坪数によって内装費用も上下します。オフィスを構築するのに、トータルどのくらいの費用感かつかめます。かつ、キャッシュアウトのタイミングを予測します。オフィス撤退時にも費用がかかるので、それも見越しておきます。

④居住カ月の総額を算出する
居抜き物件のほうがパフォーマンスがだせるのか?あるいは什器などは買い切りがいいのかリースがいいのか?そういった試算をするのに、居住カ月を踏まえたうえでの総額をシミュレーションしておくと良いです。

極意⑤ 欲しい物件を狙い撃ち

上記のシミュレーションをしてみると、予算ががちっと決まってきます。予算が決まれば、物件も探しやすくなる。(物件があるかどうかは別のお話)直近で探していても、運よく巡り合えるとは限りません。最低でも移転予定の6カ月前以上から物件さがしをスタートさせることをお勧めします。

欲しい物件の形がみえてくると、内見はできるだけ可能性の高いものに絞りたくなってきますよね。(というのもこちらの業務を進めていると、他の業務が進まなくなってしまう)前段で養われた物件を見る力がここで生きます!(笑)

★参考までに こんなところで足切りする

①駅・建物周辺環境
 Googleマップ&ストリートビューをフル活用。
 駅から徒歩10分以上×
 連絡線が不便な駅×
 銀行・郵便局近くにない×

②建物環境
 出入りが24時間ではない×
 休日出入りができない×
 エレベーターなし×
 受付設置できない×
 人が入りづらいビル×
 トイレ男女共同×
 内装しづらい形×
 会議室設置しにくい形×

③坪単価・坪数
 会議室・座席数を死守できない30坪以下×
 エリアの平均坪単価から考えて、家賃予算があわない60坪以上×

④敷金・礼金
 敷金・礼金・償却・更新費用を確認(予算内におさまるように)
 フリーレント有無を確認
 管理費を確認(トイレ掃除やゴミ掃除はできることならしたくない……!)

極意⑥ トップには「もうここしかありません!」な物件を提案すべし

当たり前ですが、最終意思決定者は経営者である代表です。なので、代表に「うん」といってもらわなくては、このプロジェクトは頓挫します。かといって、あれもこれも物件内見に連れ回すのも非効率であり、代表の貴重な時間を奪うことになります。

そのため、冒頭でもお伝えしたとおり、「物件の選択条件としてここは死守すべし!」を明らかにし、それをクリアできていることを前提として、内見に臨んでもらます。

★参考までに 意志決定をスピーディーにしてもらうために

①オフィスの立地について握る
 例)山の手線なら 新橋~新宿間までOK
 例)私鉄なら 目黒線・東西線はOK ●駅~●駅はOK
 例)駅から徒歩●分以内ならOK

②オフィスの家賃について握る
 例)会議室●室 座席数●席 確保できるならOK
 例)家賃総額●万円以下ならOK
 例)オフィス構築から撤退までのトータルコスト感を伝えておく

③オフィスの外観について
 先に内見した際に写真撮影を複数しておく
 写真を見せた反応を鑑みて、提案物件を調整する

上記を内見前にあらかじめ打ち合わせしておくと、結果的に「ここしかありません!」な物件を提案することになります。というよりも、両者間では「契約するか・いなか」の最終ジャッジ内見であることの了承がとれている状態です。

今回、私が代表に提案した物件は全部で2件。どちらも契約前の申し込みを入れることになりました。私自身が物件探しに費やした時間はそれなりにありますが、代表の手を煩わせることなく、物件決定ができた点は非常に良かったと思います。

また、このステップは何もこのプロジェクトに限ったことではありません。すべてのプロジェクトが、「代表が意思決定さえすればよい」状態であることが、本来は望ましいはずです。このノートをまとめている際に、仕事の進め方について改めて考える良い機会となりました。

次回は内装編。

サポートいただけると私のモチベーションが累乗であがっていきます。気が向いた時にでもぽちっとな、してくださいm(_ _)m