Ami Koda

東京とロンドンを拠点に活動する音楽家、マルチアーティストです。IKILLU(イキル)と…

Ami Koda

東京とロンドンを拠点に活動する音楽家、マルチアーティストです。IKILLU(イキル)という音楽集団のボーカルです。今は日本にいます。

マガジン

  • Short Short

    ショートショートの創作始めました。まだ全然少ないけれど、ぼちぼち書き溜めたいです。

  • 2022年 ヨーロッパツアー報告記

    2022/5/16~2022/8/31までのロンドン滞在での音楽体験についての振り返り記事です。

最近の記事

  • 固定された記事

Ami Koda: Vocal & Recording Works

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::I'm a singer-songwriter, who does my solo projects as well as my own band. I also join the other projects. For more info → Biography::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::VOCAL WORKS

    • スカートの百鬼夜行

       私は、人を殺しかけたことがあった、かもしれない。成功していれば、それは私が知っている中で、最もロマンチックな方法だった。  昔からそうだったが、不機嫌になるとわかりやすく表情や態度に出す夫がいつも通り無言になり、出勤の準備をしている。早く行ってくれと願いながら、テレビから流れる近所の連続不審死のニュースを聞き流す。それは死因不明の遺体が連続して数体見つかった、というもので、はじめのうちは恐ろしいニュースだと身震いし、たいそう気にしながら生活していたが、そんなことも他のこと

      • ボート依存症

        「新居に遊びに来て」と女子校時代からの憧れの友達に言われたものだから快諾し、到着してみたら彼女の生活はほとんどボートの上で行われていた。正確には、湖の近くに小さな平家を借りていて、それでもほとんどの時間をボートの上で過ごしている、そして「私はボート依存症という病気に罹った」などと告げてきた。しんとした湖の上でゆらゆらとボートに揺られる彼女は昔からそうだったように今でもとても透明で美しく、不可解なことばかりだったがとにかくその景色は私を魅了した。  彼女は数ヶ月、または数年ご

        • 元不眠症のツバメ

           頭上に落ちてきたツバメとなぜか魂が入れ替わった鬱病の友達のタナカ、 はじめのうちこそ落ち込んでいたが、しがらみから解放されみるみるうちに鬱が回復、食事も運動もまともにできず長年布団にくるまっていたのが今ではミミズを狩るわ狩るわ。ふっくらと羽ツヤも良い感じ。  そろそろ本格的に秋の気配がしてきて、俺はタナカの”渡り”の予感を察する。 「俺の部屋、暖房つけっぱなしにしとこうか?」とさりげなく尋ねてみたが、はっきりと断られた。人付き合いが苦手で、はっきりと意見するのが苦手だった

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        Ami Koda: Vocal & Recording Works

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        • Short Short
          5本
        • 2022年 ヨーロッパツアー報告記
          5本

        記事

          地獄のスキンケア

           目が覚めたら地獄にいた。 好きだった男が何やら叫んでいたところまでは覚えてる。地獄にきてしまった理由は、思い当たる節があるようなないような、ってところ。 地獄の入所受付の説明で、あたしのいる階層はまだワンチャン転生の可能性があるよ、って言われた。それに、どうやらここでの良い行い?で「死ぬ前の世界」で思い入れがあった品を取り寄せてくれるらしい。なにそれ。 買ったばっかりの、ポーラのシワ取りクリーム。高かったのに、まだ全然使ってない。なんかここ暑いし、乾燥してて、あたしドライア

          地獄のスキンケア

          ものすごく暗い色の花束

           彼女はものすごく暗い色の花束を、ほんの少しだけ知っていた彼からもらった。 特に仲良くもないのに、だ。  彼女はそれを自宅に持ち帰り、しげしげと眺めた。 人生で一度も見たことがないような花ばかりで、グロテスクな形に加えてとてもとても暗い色、例えば駅でたまに見る、鼻血か何かが滴って固まったような黒っぽい赤とか、底の見えないほど深いアマゾンの沼みたいな緑、以前小指のささくれからばい菌が入った時に見た紫っぽい肌の色、などを思い出すような。 見ていると暗い気持ちになる。どよんという

          ものすごく暗い色の花束

          蝋燭の中で生きているよう

          いかんいかん。 世界に乗り遅れている。 流行に乗り遅れる、という意味ではなく、時間の流れとか、宿命とか、新陳代謝に乗り遅れている感覚。 部屋にこもっていると精神と時の部屋よろしく、外部との隔たりができてしまう。 固まった蝋の中で生きているような。熱を与えて溶かさなくては。 空気は止まっていても、身体は老いてゆくのだから。 外のスピードに合わせられるようになるには、やはり外に出る訓練をしないとダメなのだと思う。 暖かくなってきたし、何より日が伸びてきた。これが最高。

          蝋燭の中で生きているよう

          取り返しがつくか、つかないか

          「子供の頃にできなかったことが、大人になった今でもそのまま、できないままだと感じる。」 と、今日会えた馴染みのミュージシャンに話した。 小学生で習っていたクラシックピアノは5年で辞めた。 中学生になったら、夏休みの宿題はやりきらず逃げ切っていたし、 中学、高校と不登校の時期もあった、友達と先生の本当に温かい協力と、家族の忍耐でなんとかお情けで高校を卒業した。 その後音楽の専門に入ったが、一限の授業は早々に行かなくなったし、課題も真面目に取り組まなかった。 就職の経験

          取り返しがつくか、つかないか

          世界に空いた穴を埋める

          書けない。曲が書けない。 というか、そもそもこの世のほとんどの音楽が良いと思えないターンに。 でも、愛してやまない曲はいくつもある。 で、その私が愛してやまない曲たちが存在してくれるだけで、心の9割近くが満足してしまう。 残りの1割くらいに、自分が世界に空いた穴を埋めたい、という欲求が残っている。 だから書かないと、とは思っているが、愛してやまない曲たちは世界が認める名曲なわけで、 それを越えるのは難しい。 と同時に、明確な枠組みなどないのだから、飛び越えることはもし

          世界に空いた穴を埋める

          逃げるようにマフィン

          今年はなんとか曲を表に出すことをやっていきたいので、ゼロから書くことを試みているのだが、なかなかそう簡単には書けない。 これはものづくりをする人ならば誰でも行き着くところであり、いわゆる産みの苦しみ、というやつなのだけど、 これがなんとも孤独な戦いで、しんどい。 ただ、創作物を世に送り出している人たちは、みなこの戦いに勝っている。 作品の優劣は問わず、まず作品を完成し、世に送り出すプロセスを終える、という部分の戦いに関しては。 私はここ数年負けっぱなしだ。 「作品を世に

          逃げるようにマフィン

          日常も書こうと思う。

          去年のヨーロッパ滞在の記事すら締められていなくて、(とりあえずツアー報告記のこと。ロンドンファイナル公演を書き溜めている)結局更新の続かないこのnoteです。 何かを継続させる、習慣化させることがあまりにもできなくて、怠惰で意志が弱く、なんと情けない、と思いつつ それでも何度でも起き上がり、書こうと思ったなら、醜くても書く、醜いながら次の一歩を出す。 良い文章が書けずとも、とにかくハードルを下げてなるべく多くの文章を打ち込むことをまず第一の目標にしようと思う。何事も筋ト

          日常も書こうと思う。

          ツアー報告記:10/7/2022 Kraggenburg(Netherland🇳🇱)

          報告記前回の記事はこちら↑ さて、ツアー報告記も佳境、残るは今回オランダ・クラヘンブルグ、そしてツアーファイナルのロンドン公演となりました。 こちら問題の日でして、初めから終わりまでめちゃくちゃ大変だった…それでは振り返りたいと思います… 注:あまりの過酷さに思い出して口が悪い箇所があります。当時のエモーションが伝わるかもしれないのでそのままいきます。 鬼のスケジュール 7月10日、朝2時起き、3時出発です。オランダでのサウンドチェックは12時から。 ロンドンは日本に

          ツアー報告記:10/7/2022 Kraggenburg(Netherland🇳🇱)

          冷静な私(東京に帰ってきました)

          今日もツアー報告記は書かない。 なぜならば、東京に戻ってきたからだ。母の住む茨城に12日間滞在し、今日東京に移動してきた。このまだ新鮮なこの日の気持ちを、文章に残しておくことを優先すべきと判断した。 ついこの間まで、ロンドンで日常を過ごしていたのに、今は東京にいる。 でも、東京に住んでいたのが昨日のことのように、なんとも驚きの、懐かしくなさ。全部全部、昨日まで見ていた景色のように、肌に、心に馴染む。自分の全身が、すんなりと全てを受け入れる。 ロンドンでの3ヶ月半の暮らしが

          冷静な私(東京に帰ってきました)

          読書感想文:五分後の世界/村上龍(幻冬舎文庫)

          ツアー報告記の連続投稿に飽きたのでこういうのを挟みます。 10年以上好きな村上龍センセイの中でも私の中でトップを争うくらい好きな作品、五分後の世界。 私は龍センセの中では、戦争をテーマに据えた作品が特に好きなのだが、比較的短く読みやすい五分後の世界は、もう5回は読み返している。読むたびに心が震え、興奮し、力が湧く。 なんでなんだろう、自分がなぜこの作品が好きなのか言葉にできないので、感想文を書いてみることにした。書きながら理由を見つけていこうと思う。 自分が「崖っぷち」に

          読書感想文:五分後の世界/村上龍(幻冬舎文庫)

          ツアー報告記:2/7/2022 Kaunas(Lithuania🇱🇹)

          報告記前回の記事はこちら↑ さあ、ヨーロッパツアー報告も折り返し、6本中4本目になります。7月はかなり過酷だった…6月も過酷だったけど、7月はもっともっと過酷だったよ…泣 今回から、Alexが合流。笑 パスポート更新も無事できて、やっと一緒に周れます。君のせいで要らん大変さばっかりだったぜ。 7月2日の本番に向けて、前日の昼入り。半日観光してからの本番という日程。いつも空港⇄ホテル⇄会場と、観光どころではないので少し楽しみ。 今回演奏するフェスは、リトアニアの第二の都

          ツアー報告記:2/7/2022 Kaunas(Lithuania🇱🇹)

          Biography

          Ami Koda / 神田愛実 東京とロンドンを拠点に活動する、シンガーソングライター、マルチインストゥルメント奏者、作編曲家、モデル、アクセサリー作家。 自身のソロプロジェクトの他、2014年に竹之内一彌(Gt. 主なサポート活動: The fin.、King Gnu(Srv.vinci)、WONK etc.)、影田穂高(Ba.)と共に結成したバンドプロジェクトIKILLU(イキル)のメンバーとしても活動。 その他サポートミュージシャンとしてFUJI ROCK FESTI