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幸せという名の檻、自由という名の荒野


「そしてふたりは、いつまでも、いつまでも幸せに暮らしました」

私は懐疑的な子どもだったので、そんな絵本の最後の常套句をすんなり受け入れられず、なかなかすっきりと本が閉じられなかった。

「いや絶対なんかあるだろ」「こんだけドタバタしておいて、その後ずっと平和なわけない」

とも思ったし、

「そもそもこの人は大人しくしてられない人なのでは」「それってこの人たちにとっては退屈なんじゃ…?」

とか思っていた。ぼんやりと。
そして同時に、「それでもそれが本当であってほしい」というかすかな願いもあった。
そんなふうな、“幸せな暮らし”“めでたしめでたし”が、この世にほんとうに存在するものであって欲しい、と。

人間の本質って、そうそう変わらないものだ。


* * *


離婚して何年も経った今になって、元夫が夢に出てくるようになった。

夢の内容は大体こうだ。

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