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チロリアンランプ2 #あの記事の後日談 【虎吉の毎月note】【今日の短歌】【ショートストーリー】

こんにちは。羽根宮です。
虎吉さんの企画【虎吉の毎月note】に参加します。
お題は「あの記事の後日談」です。

以前書いた、こちらの記事の後日談です。




気づいたら更地になってた角の家あの日のランプも消えていた

1月の終わり。自分の部屋で動画を見ていたら、どこかで工事でもしているかのような大きな音がした。
道が細い住宅地なので、道路工事などがある場合は看板が立ったりポストに連絡の紙が入る。
聞いていた舗装工事の道とは反対側で、もっと家に近い場所からの音のように聞こえた。
でも、このときは特に気にしていなかった。
最近よく見ている人狼ゲームの配信をそのまま見続けていた。
予定が無ければ外出しないことも多く、この日は家から一歩も出るつもりがなかったからだ。
翌々日、家の外に出て驚いた。右方向がやけにすっきりしている。
数日前まではあった角の家がなくなっていた。
庭とガレージがある何十年も前からあった家。
幼稚園の頃にこの地域に引っ越してきたけれど、それよりも前から住んでいたお宅だ。
畑や公園がなくなって、建売住宅や新築のアパートが増えている昨今、自分たちもこの地域では古くからの住人に数えられると思うけど、それよりも以前からあった家だった。
多分、七十代くらいのご夫婦が住んでいた気がする。定かじゃない。ご近所づきあいも無かった。
ただ、その家の庭やガレージでは野良猫が寛いでいることが多く、角を曲がるときにチラッと目を向けるのが楽しみだったのだ。
秋ぐらいには赤くて可愛いチロリアンランプが、塀を飛び出して道に出ていた。
ちょっともらって家の庭に挿したら増えないかな、なんて思ったくらいチロリアンランプは可愛いなと思った。
もちろん、そんなことはしなかったけど。
土だけになった、最近のこの辺では広い土地に目を向ける。
猫が日陰で休むのに丁度いい場所はなくなった。
道に飛び出ていた可愛いチロリアンランプもなくなった。
なんだか、残念だ。
古い住人が出ていき、新たな家が建ち、新しい住人が住み始める。
それは地域として普通のことなのかもしれないけど。
今度あの角に建つ家はどんな家なんだろう。どんな人が住むんだろう。
でも、どんな人が住んだとしても、またチロリアンランプが植えられる可能性は少ない気がする。

「今度、うちの庭にチロリアンランプを植えようかな」

大きな庭のある家がまた減った。その代わりに猫たちが落ち着く場所はどこになるんだろう。
なんなら、うちの庭にもう少し頻繁に来てくれればいい。
できれば、父さんや母さんが見てないときにね。


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読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。


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