見出し画像

行列のできるリモコン【毎週ショートショートnote】

今日は私がずっと推しているシンガーソングライターのライブの日。
バッグの中にリモコンが入っているのを確認する。シンプルな作りの秘密兵器。
小さなライブハウスが開場となる5分前。
人気ミュージシャンだったらずらりと行列ができるだろうが、彼は目立った活動をしていないので、人の集まり方もささやかだ。

地元の駅前でギター片手に路上ミュージシャンとして活動している彼を初めて見たとき、少しかすれた声で歌われる歌詞に心を掴まれた。
ちょうど心が弱っていた私に寄り添うようなメロディー。今の自分をやさしく見守るような、それでいて背中を押してくれるような歌詞。
その日から駅を通るときは彼の姿を探し、路上に出るサイクルを把握して、ずっと応援し続けてきた。

今日は待ちに待った日。
バッグの中のリモコンのプラスボタンを数回押す。
私の後ろに並ぶ人が増える。控えめだった人の数がどんどん増えていく。人が人を呼ぶ。
推しの初の単独ライブ。私が満席にしてみせる。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は【行列のできるリモコン】で【青春の香る】ショートショートです。

【毎週ショートショートnote】は「修行の場」と言われる通り、発表される奇抜なお題にいつも悩まされております。
それが楽しいのですけれども。
青春ってなんだろう?と、あまりアオハルを経験した記憶が無い羽根宮は悩みました。


今までに【毎週ショートショートnote】に参加したものはこちら


読んで下さってありがとうございます。
羽根宮でした。

この記事が参加している募集

SF小説が好き

恋愛小説が好き

ご覧下さいましてありがとうございます。もしサポートいただけましたら、感謝して活動費に充てたいと思います🐱