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【ドバイ】スウェーデンから単身ドバイへ! CA転職に挑戦 【THE WAY】

WOMENCANFLY.COの連載企画「THE WAY」では、毎月海外で暮らす素敵な女性を紹介しています。

今回ご紹介するのは、ドバイ在住のキャビンアテンダント、水野愛子さんです。大学在学中にスウェーデンへ留学し、そのまま移住。2008年には、スウェーデン人パートナーとの間に女の子を出産しました。その後、航空会社への転職を機に、家族と離れて単身ドバイへ渡ります。

スウェーデンやドバイでの生活、CAの仕事、子育てついて、たくさんお話を伺いました。

心も天気も曇り空、スウェーデンで過ごした8年間

愛子さんは、大学生の頃から約8年間をスウェーデンで過ごしました。当初はアメリカへ留学する予定だったのですが、思わぬ理由で断念することに。

「私の名前が、当時注目を浴びていた宗教団体のメンバーと同姓同名だったため、アメリカ大使館のブラックリストに載っていて、学生ビザを発行してもらえなかったんです」

そこで愛子さんは、新たな留学先としてスウェーデンを選びます。

「スウェーデンの公用語は、スウェーデン語です。希望していた英語圏ではなかったけど、スウェーデン人の友達がいたので、きっとスウェーデンなら楽しく過ごせるだろうと思っていました」

しかし、思い描いていた海外生活とは異なり、愛子さんを待ち受けていたのは孤独な日々。

愛子さんはこの8年間を「スウェーデンに片思いしているみたいだった」と振り返ります。

「私はスウェーデン第2の都市であるヨテボリに住んでいたのですが、そこの人たちは、みんな幼馴染のように育っています。すでにコミュニティの輪ができていて、私が入る隙間はありませんでした」

孤独な日々を過ごす愛子さんですが、新しい出会いが訪れます。スウェーデン人パートナーができ、一緒に暮らし始めたのです。

スウェーデンでは、同棲は事実婚とみなされます。そのため、配偶者でなくても、パートナーは「サンボビザ」と呼ばれる同棲ビザを取得することができるのだそう。

愛子さんは、学生ビザからサンボビザに切り替え、大学卒業後もスウェーデンに残ることを決意します。いつかは地域のコミュニティにも入れるはず。そう信じていたのです。

「2008年には、彼との間に娘が生まれました。家族が増えたので、スウェーデン語の勉強と就職活動ももっと頑張るようになったんです」

実際のところ、仕事を見つけるのはかなりハードルが高かったよう。

カフェやインターナショナルスクールのアシスタントとして働いたこともありましたが、「経験がない」、「スウェーデン語が得意でない」という理由で、面接に落ちることもしばしば。

特にリーマンショック以降は、どれだけ面接を受けても受からず、自己嫌悪に陥ったこともありました。地域のコミュニティに入れた手応えもなく、疎外感もぬぐいきれないままだったのです。

晴れの日が少ないスウェーデンでは、曇り空が落ち込んだ気分をさらに深く沈ませます。愛子さんからは、自信も笑顔もすっかり消えていました。

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チャンスを掴み、キャビンアテンダントに転職!

愛子さんは、スウェーデン語ではなく、得意の英語力を生かせる仕事を探すことにします。

愛子さんにとって、英語スキルは大きな武器でした。学生時代から、テレビや映画は英語で見るようにし、留学生を見つけると積極的に話しかけていたそう。日々の小さな積み重ねで、お金をかけずに英語力を身につけたのです。

「英語力を生かせるので、CAになりたいと思いました。北欧には、スウェーデン・ノルウェー・デンマークの3カ国が運営するスカンジナビア航空があるので、スカンジナビア航空のCAを目指すことにしたんです」

愛子さんは早速空港へ行き、飛行機からおりてくるキャビンクルーを待ち構えては、直接履歴書を渡し始めます。しかし、もちろん取り合ってはくれません。

そこで、いつ到来するかわからないチャンスに備え、練習として、スウェーデンで行われるさまざまな航空会社の面接を片っ端から受けることに。

そうして最初に受けたのが、現在愛子さんが働いている航空会社の面接でした。

「面接当日は、面接官に 『リラックスして座っていてね』と言われ、その後は何も聞かれることはありませんでした」

実はこの時、ちょうどこの航空会社は日本語を話せるCAを募集していたそう。英語が話せる日本人を見つけるのは難しいという理由から、語学力がわかった時点で即採用となったのです。

目指していたスカンジナビア航空ではありませんでしたが入社することを決め、2013年に愛子さんは単身ドバイへ引っ越します。

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ドバイ生活の幕開け! 当たり前の喜びを噛みしめる日々

ドバイは、7つの首長国からなる連邦国家・UAE(United Arab Emirates)の1つです。

イスラム教国家なので、毎日決まった時間にモスクから「アザーン」という、お祈りの時間を知らせる合図が流れます。このアザーンが聞こえると、高速道路を走る車も路肩に停車し、車から降りてお祈りを始めるのだそう。

外出するときは露出を控えるなど、愛子さんもイスラム教の文化やルールを尊重しているのだとか。

「ドバイに住む人のほとんどは外国人です。だから文化や慣習は違いますが、自分がマイノリティだと感じたことは一度もありません。一瞬にして、ドバイが私を受け入れてくれたように感じました」

スウェーデンでは、職がないという肩身の狭さと疎外感を感じていましたが、ドバイでは、仕事を得たことで少しずつ自信を積み上げたそう。

今は、毎日の「当たり前」をかみしめながら過ごしているようです。

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ドバイの航空会社で、CAとして働くってどんな感じ?

世界中の人が利用するドバイの航空会社は、1度のフライトに145ヶ国の出身者を乗せたという世界記録をもつほど、国際色豊かなことで有名です。

乗客だけでなく、キャビンクルーも多国籍。100ヶ国を超える国の人が働いています。出身国が違えば、考え方や仕事の進め方も異なるため、頻繁にコミュニケーションをとるよう心がけているのだそう。

英語が母国語でないクルーも多いので、互いに英語が第二言語というケースも少なくありません。わかりやすく、明確に伝えることが大切です。

「キャビンクルーはフライトごとに入れ替わるので、毎回メンバーが異なります。私は人見知りなので、ようやく打ち解けた頃に解散してしまうことが多く、最初の頃はそれがストレスでした」

1度のフライトに乗るキャビンクルーは、約20人。リーダー1名と副リーダー3名、それから、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスと担当が分かれています。愛子さんの担当は、ファーストクラス。リーダーによって、仕事の進め方は変わるそうです。

また、仕事上でもイスラム教文化に配慮した決まりがあるのだとか。

「イスラム教では、女性は家族以外に顔や肌を見せません。そのため、イスラム圏を就航するフライトでは、女性が表紙の雑誌は置かないんです。また、乗客がおりた後に機内清掃が行われるのですが、清掃スタッフは男性が多いので、女性CAは彼らと顔を合わせないよう飛行機の出入り口には近づかないというルールもあります」

接する人も慣習も、日本とは異なるのです。

「いろんなバックグラウンドをもつ人と働くからこそ、自分をしっかりもたないといけません。まわりが皆すごい人に見えることもあります。でも、そういう時こそ、自分が自分を1番認めてあげないといけないと実感しています」

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時間をかけて育む、娘との関係

愛子さんは、ドバイに来てからスウェーデン人のパートナーとは正式にお別れしました。12歳になる娘さんは、父親と一緒にスウェーデンで暮らしています。

「今は毎月仕事でスウェーデンに行く機会があるので、月に1度のペースで娘に会っています。一緒に過ごす時間を精一杯楽しんで、2人の関係をゆっくり育んでいます」

スウェーデンにいた頃は、笑わない母親だった愛子さん。娘に悪い影響を与えていることに気づき、まずは自分が笑顔にならなければと、ドバイ行きを決めました。

「娘のことは心配だったけど、パートナーは子育てにすごく参加してくれていたから、娘と彼が2人で暮らす姿がイメージできたんです」

男女平等先進国であるスウェーデンでは、ベビーカーを押しながら散歩する男性グループをよく見かけます。男性も育児に参加するスウェーデンのカルチャーが、家族と離れてドバイへ行くという愛子さんの決断を後押ししてくれたのです。

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愛子さんは今、笑顔で毎日を過ごしています。

「ドバイに来たとき、娘は5歳でした。きっと、娘は私が突然いなくなった事情や状況を理解できていなかったと思います。でも、今私が笑顔で過ごせているから、ドバイへ来たことは娘にとっても良かったと信じたいです」

努力が実らない時期もありましたが、振り返ると、それら全てが今の幸せを形づくる大切なピースであることは言うまでもありません。

「離れていても、いつも娘のことを想っている」と言う愛子さん。

その表情は、雲ひとつない晴れやかな笑顔でした。

こちらは2020年6月に公開したものです。

この記事は、WOMENCANFLY.COのウェブサイトに掲載した記事の転載です。こちら(THE WAY)から、他の記事もご覧いただけます。ぜひ覗いてみてくださいね!

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