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差し出せるのは、この気持ちひとつだけ


今日は、いつもと少し違う話をしよう。



私は、中高生の時、女子校に通い、

異性がほとんどいない環境で過ごしてきた。


その6年間で、私は、ささいなきっかけの連続で、

同性・異性関係なく、人が信じられず、

人を真っ直ぐ見ることができなくなった。


さらに、私は、

高校1年生の時に、てんかんという神経疾患を発症した。

そのてんかんを投薬治療し始めたが、

(科学的根拠はあまりないが)少し性格が変わった気がする。

否、先天的な性格が、

その時まで、現れていなかっただけかもしれない。


また、てんかんという疾患に対する不十分な理解による、

周囲の人からの偏見・差別を受け、

外に出る度、

全然知らない人でも、その目線が、

私の体を貫く光線のように感じた。

その光線によって、心身が焼かれるような感覚。


私は、更に、人を信じることができず、

そして、いつの間にか、

その気持ちが、自分自身へ向けられていた。


てんかんをもつ私は、

この世に存在してはいけない、

愛される存在ではない、

と思うようになっていた。


自分が嫌いで、憎くて仕方なかった。


そして、

誰にも好かれず、愛されず、

自分自身も愛することのできない私には、

誰かを好きになる、誰かを愛する資格すらない、

その気持ち自体を持ってはいけない、

と思うようになり、

知らず知らずのうちに、自身で封印していた。



だが、大学生になって、

それまで以上に、多彩な人と関わるようになった。


そして、ある時、

封印していた気持ちに、変化が訪れた。



ある人に出会った。


誰にでも気遣えて、

色々なことを頼まれたり、誘われたりすると、

余程のことがない限り、断れないような、

優しくて、強くて、弱くて、暖かい人だった。



隣にいるだけで、

私だけでなく、

誰の心も暖めてくれるような、

安心感とぬくもりをもつ人だった。



そんな人と、なりゆきで、2人で食事に行くことになった。

食事中、その人から、

私がお酒を飲まない理由について聞かれたので、

さらっと、

「神経疾患で投薬治療しているから、お酒飲めないんだ。
 ごめんね。お酒飲んでるのに。
 変に気を遣わせたくないから、
 お酒飲まない、っていつもは言ってるの。」

と言ったら、その人は、

「私も、同じようなもので、
 ストレスに弱い体質で、それを治すために投薬治療をしてるんだ。
 私も本当は、お酒飲まない方が良いんだけど、
 そうも言ってられなくて...(笑)。
 だけど、今思うのは、投薬治療前後で、
 自分の性格が変わってしまったような気がする。」

と話してくれた。他にも、これにまつわることで、家族の話とかもした。


私にとって、色々と、非常に衝撃的な時間だった。


本当に単純なことだけど、

これほど、自分にとって、

親近感...という言葉だけでは言い表せない、

不思議な感覚だった。


食事の帰りには、

私の封印していた気持ちが、緩解し始めていた。




それから、この気持ちを伝えたい、と思っては、


優しいあの人を困らせることはできない。

私の病気もそうだが、私を好きになる人なんていない。

性格も容姿もよくない私を。

自分が傷つくだけ。

なぜこんな気持ちをもってしまったのだろう。

問い続ける日々。


私には、

あの人を喜ばせたり、安心させたりするような、

モノは何1つもっていない、

少し絶望的な気分だった。



そんな時、ある本を読んで出会った言葉が、私の心を貫いた。


「俺は何も持っていない。富も名誉も身分も、本当に何もない。
 あんたに差し出せるのは、この気持ち一つだけだ。」
              (『烏百花 蛍の章』阿部智里 作)


ある身分の低い、そして、身体に傷を負った、文武に優れた武人が、

非常に高貴な家の姫君に言った言葉だった。

その姫君も武人のことを想っていたが、

姫の揺らぐことのない、揺らいではならない決意、

そして、姫自身も、武人にそう思わせるだけのものを持っていないと思い、

その武人の気持ちを分かっていながら、応えられなかった。




こんなに、素直で、真っ直ぐで、美しい言葉があるだろうか。


この言葉を見た瞬間、


私も、

あの人に差し出せるのは、

あの人に渡すことができるのは、

この真っ直ぐな気持ちだけ。


並大抵のことでは、受け入れられないことだと思う。


だけど、たとえ、受け入れられなくても、

私も彼の武人の様に、


「ああ、別に構わねえよ。」


と言えばいい。


そう思った。






あんたに差し出せるのは、この気持ち一つだけだ。

この言葉は、

私が封印してきた、

恋愛だけでない、

誰かを愛する気持ち、誰かを想う気持ちの存在を、

私に教えてくれた。


そして、その気持ちを外に出させてくれた。


一人の人として、欠けてはいけない、大切なもの。


私に、再度、息を与えてくれた。


愛の素晴らしさ、美しさ、儚さ、

すべて、教えてくれた。



これから先、

本当にこの気持ちを伝えられるかどうかは、

私にも分からない。


私は、臆病者だから、

ずっと閉まったままにしているかもしれない。


だから、最後に、彼の武人の言葉を借りて、

そして、この場を借りて伝えよう。




私は、あなたのことを一人の人として好いています。








最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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