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vol.2若手向け越境学習~社会課題解決PBLにおける学びとは~

株式会社ウィル・シードは、大手企業様に対して研修プログラム等を通じた学習体験を提供し、人材育成・グローバル人材育成を支援しています。研修のタイプは座学/体験型、対面/オンライン型、など多様にありますが、今回は社会課題解決PBL(Project-Based-Learning)と呼ばれる研修の概要と、その場で得られる学びについてお伝えします。

vo.1の記事はこちらをご覧ください。

4. 社会課題解決PBLに参加した若手社員の学び・気づき


 終了後のアンケートの項目の1つに<今回のプロジェクトを通して、どのような学びや気付きを得ましたか?>という問いを設けました。その項目の回答を整理すると、研修の狙いであった<関係者をうまく巻き込みながら成果を出していく力>、<課題の本質にリーチしていく力>そして、<キャリア観>につながる学び・気づきが多くあがりました。

以下で詳しくみていきます。

図:PBLにおける学びと要因/成果

 

1)協働・チーム運営


 協働・チーム運営に関しては、<チームで成果を出すためのプロセス>における学びー具体的には、チームメンバーの特性を活かす役割分担、チームの雰囲気づくり、ディスカッションにおけるスタンスなどーがありました。

チームメンバーの特性を理解し、役割を割り振ることの重要性を学ぶことができました。得意なこと・不得意なこと、実践してみたいことや性格を確認し、チームメンバーのことを理解したことが良かったと感じました。理解した上で役割分担を行い、提案までスムーズに出来たと考えています。
役割分担の大切さを学びました。今回初対面の人のみでチームになりましたが、話をしていくうちにそれぞれの得意なことが分かっていき、それぞれの得意を活かした役割分担で資料作成や情報収集などを行ったことで、納得のいく発表ができたと感じています。
・「ありがとう」にプラスして、その人の強みを伝えてあげると、チームの雰囲気が良くなることを学びました。
・普段関わりのなかったメンバーとのチーム活動を進める中で、コミュニケーションとリーダーシップを発揮することの難しさに直面しました。自身が心掛けたこととしては、自分から意見を出すことと相手の意見を聞き出すことであり、それが重要であることを学びました。
目的意識を常に持ち、各ポイントで目的に向かって方針や進め方が合っているか確認する必要があることを改めて認識しました。

終了後アンケートより

上記は一部ではありますが、参加者からは同じような学び・気づきの声が多くあがっていました。ディスカッションを活発化させるためのアクション、チームの雰囲気づくりに関する工夫はさることながら、チームメンバーの特性や役割分担に関するコメントが多くみられます。

また、本プロジェクトのように、取り組むべき課題や解決策が決まっていない中では、「今、何を話し合っているのか」が不明瞭になりがちです。「目的意識を常に持ち、各ポイントで目的に向かって方針や進め方が合っているか確認する必要があることを改めて認識した」という声があるように、決まったやり方・ルールは存在しない中では、どのような段取りで進めていくかも、その都度決めていく必要があります。実際、研修中の様子を見ていると、話し合いの方向を仕切り直す場面や、何をどこまでやってくるかを明確に定めていく様子が見受けられました。

このようにチームメンバーの良さを最大限に生かしながら、その都度認識をすり合わせ着実に推進させていくという、1つ1つのチャレンジの中で学びが生じていたといえます。

2)仕事におけるマインド


 仕事におけるマインドに関しては、プロジェクトを進める上での姿勢・押さえるべき観点についての学びを得ている方が多くいらっしゃいました。

「よいと思ったことはすぐに取り入れてみる」「担当範囲外の事でもアンテナを立て、興味を持つ」などNPO職員の方は上記の意識を持たれていて、今後自分も取り入れていきたいと思いました。
・企業とNPO法人(この団体ならでは?)の違いを目の当たりにしました。スピードや判断力・決断力を持ち仕事を行うことで、新たなアイデアや次のステップへ進めることに気付きました。又、今まで直面してこなかった社会課題を考えることで、新たな視点を得ることができました。
良いと思ったことを直ぐに行動に移している本NPO団体の行動力は凄いと思いました。
・NPO職員の方々は行動力が高く、また色々なものを吸収する力がとても強いと感じました。またその行動に対する振返りしたうえで、更に新しいことにすぐ取り組んでいる部分に圧倒されました。

終了後アンケートより

 上記も含め、他の方々のアンケート回答をみても、伴走していただいたNPO職員のスピード感・行動力などに刺激を受けていたと分かります。また、参加者の声の中には「普段とは違うメンバーと長期の研修を通して自分とは違う考え方や仕事の仕方を見ることができた。自身に足りないと感じている部分を取り込み、普段の仕事に反映していきたい」というものもあり、NPO職員との接点だけでなく、共にプロジェクトを進めるチームメンバーからも新たな学びが生じていました。 

 このように馴染みのない他者との邂逅によって新しい仕事観が生じていますが、もう一方でアンケートからは、実際にプロジェクトを自らが進める中で、体感的に物事を推し進める際に必要なマインドが得られていたことが分かります。

解決の難しい課題に対する取り組みのマインド、考えることと実践することのサイクルについて学ぶことが多くありました。
・自部署の業務での改善点や問題点に対して、自分の立場では管理者や担当者ベースで改善案を考えがちになってしまっていましたが、今回の研修を通して、ユーザ観点ではどうすべきか?といった部分を考えられるようになってきた、といった気づきを得ました。
依頼者が期待することを正しく理解した上で仕事を進めることの重要性を改めて学びました。
・課題に対して一つの解決策にとらわれず、変化に合わせて大きく変えるということを学び実践しました。人に自分の考えを伝える難しさを改めて知りました。
試してダメだったら直ぐに方向転換するのが大事だと気付きました。これまでの改善提案と違って、新しいことを始めるにあたってとにかくアクションを起こして、得られたフィードバックをまたアクションに変えていくような、やりながら考えていく進め方を体感できました。

終了後アンケートより

プロジェクトを推し進める過程では、相手の期待・要望を的確に捉えること、多様なステークホルダーの視点で課題を考えることが重要である、という学びがみられます。また、「課題に対して一つの解決策に捉われず、変化に合わせて大きく変える」「試してダメだったら直ぐに方向転換する」という言葉にも表れているように、課題を特定したあとの解決策も1つではなく、まずはやってみること/相手にあててみることで、精度が上がっていくことを学びとして得ていることが分かります。

以上のように、A社のPBLにおける学びとしては、第1にチームで成果をだすための協働・チーム運営に関する知見、第2に新たな仕事観の獲得が生じているということをみてきました。これらの学びが、どのように自業務やキャリア形成につながっていくのかは、参加者のアンケートをもとに最後に紹介していきます。

次の記事では、なぜこのような学びが生じるのかにスポットを当ててお伝えしていきます。

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