見出し画像

vol.1若手向け越境学習~社会課題解決PBLにおける学びとは~

株式会社ウィル・シードは、大手企業様に対して研修プログラム等を通じた学習体験を提供し、人材育成・グローバル人材育成を支援しています。研修のタイプは座学/体験型、対面/オンライン型、など多様にありますが、今回は社会課題解決PBL(Project-Based-Learning)と呼ばれる研修の概要と、その場で得られる学びについてお伝えします。

1. 「越境学習」「PBL」とは何か?


「越境学習」とは、簡単に言うならば自分の所属する企業や部署の垣根を越え、一定期間にわたって別の業務やプロジェクトへ参加し、新しい学びを得る学習プロセスのことを指します。その中でも、自社の外、社会にある実際の課題解決を目指すプロジェクト型の学習を「PBL」と呼びます。「PBL」はテーマ設定から解決策の立案まで、参加者がより能動的に動き、プロジェクト内での実践や振り返りを通して「自ら」学びを抽出し、学びを得ていくという部分に特徴があります。

近年は、社会情勢とともに、PBL型の研修ニーズが高まりつつあります。ウィル・シードでは社会課題と向き合う社会起業家やNPO団体、自治体に伴走し、特定の課題解決に向けて提案活動を行うプログラムを提供しています。
(詳細はこちら

本記事では、最近ご支援させていただいた企業様の事例をもとに、PBLでの学びを具体的にお伝えしていきたいと思います。



2. IT業界A社が社会課題解決PBLを導入した背景


 A社は、若手~中堅社員を対象に、リーダー育成・キャリア開発を目的としてPBLを導入されました。

■リーダー育成
 今後リーダーとなり、プロジェクトや組織を引っ張っていく若手に求められていることは、顧客の課題が複雑化する中で、<課題の本質にリーチしていく力>や<関係者をうまく巻き込みながら成果を出していく力>です。通常の業務では、解決すべき課題や役割が明確に決まり、限られた範囲での着実な業務遂行を求められることがほとんであるため、先に述べたような能力が養いづらいという現状がありました。

ウィル・シードのPBLでは、社会課題に向き合っている人・組織と協働し、課題解決の糸口となる提案をすることに参加者が挑戦します。<社会課題>は複雑な問題が絡まり合っており、その問題を解決する<プロセス>の中でA社が求める<課題の本質にリーチしていく力>や<関係者をうまく巻き込みながら成果を出していく力>が試されます。

■キャリア開発
 また、社会課題に向き合う人・組織との関わりの中で、その人たちの仕事や人に対する<志/あり方>に触れるようになるため、自然と自分自身の<志/あり方>が問われます。

PBLは、今後リーダーとして必要になる能力を養うことができ、かつキャリア開発の一助となる自身の仕事への向き合い方を考える機会となるため、A社の狙いにマッチした施策でした。

加えて、A社は創業時より、ビジネスを通じた社会課題解決に取り組み続けている企業であり、本実施は若手の<社会課題>対する抵抗感をなくしていきたいという狙いも含んでいました。

■若手~中堅を対象に
 ウィル・シードの提供するPBLは、<異業種>の参加者同士がチームとなり取り組んでいきますが、A社は社内での交流が少ないため、まずは社内交流、ひいては自社理解を深めてほしいという人事サイドの願いもあり、社内の各部署の若手~中堅社員が参加する施策となりました。

以下では、具体的なPBLの実施概要をお伝えします。


3. A社で実施した、若手次世代リーダー向けの社会課題解決PBLの概要

 今回のPBLには、上長の推薦で選抜された入社4-10年目の若手社員、25名ほどが集まりました。普段、参加者たちはシステムの開発や運用などの業務にあたっています。

部署が異なるメンバー編成で、1チームあたり5名のチームを組み、3か月かけて1つの提案を作り上げていきました。提案先は、若者のひきこもりや日本の相対的貧困などのテーマを扱っている、教育系NPO団体です。各チームの取り組むテーマは異なり、各テーマに合わせてNPO団体の職員が1名ずつ伴走していきました。

1か月に2回(合計3か月で6回)は全体での集まりを設け、オリエンテーションや発表・フィードバックの機会を持ちました。今回は、上記のような集まり及び、各チームの活動も全てオンラインで実施しています。

普段触れないようなテーマや慣れないプロセスを、初めてその場で対面したメンバーで進めていくという、ややハードなプログラムであるため、どのチームも最初は頭を悩ませていました。しかし、終始活発に議論を進め、最終的にはNPO団体の方々が「ぜひ、やってみたい」と思うような提案がアウトプットされました。

では、具体的にこのプログラムを通して参加者はどのような学びを得られたのでしょうか。

次の記事では、本プログラム終了時のアンケートや、実施中の参加者の発言から<PBLで得られる学び>を詳しく見ていきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?