ここらで一度、進化論について軽く理解しとこう。
こんにちは。
今日は、ダーウィンの「進化論」をテーマにお話ししたいと思います。
このテーマについて言語化しようと思った理由は以下の2点です。
①「進化論」はあまりにも誤解されて世に広まっていること
②「進化論」を正しく理解すると、別の思索を進める様々な場面で良い素材・フレームワークとなること
1 進化論に関する誤解
しばしばダーウィンの言葉とされる上の文句。ビジネス書や、果てはお偉いさんの講演などの中でもしばしば引用されます。
が。これ、実は、ダーウィンの言葉ではありません。
(本当の発言者については諸説あり)
というかそもそもこの文句、ダーウィンの進化論とは相容れない内容なんですね。
この文句を進化論ベースでリバイスしてみると、こうなります。
そうなんです。進化論の特徴は、進化を、意志や目的を排除した「結果」として捉えるところです。
つまり、めちゃくちゃドライな考え方です。
例えばよく聞く次の表現。
これも、ダーウィンの進化論から見ると「間違い」です。
何がダメか。
「ために」「伸ばした」というところです。
この表現は、キリンの意思と目的が進化に反映されているような言いぶりですよね。
進化論は、こんなに温かみのある考え方ではありません。
進化論においては、全ての進化は意思と目的とは全く関係のない、機械的な自然淘汰の結果の累積だ、というのがその本質なんです。
2 では、進化論とは
では、進化論とはどのような考え方なのでしょうか。
「キリン」を例にとってざっくり説明してみます。
ここで、黒いアイコンで描かれているのは、まだ首が長くなる前の「元祖キリン」です。
このイメージは、元祖キリンが交配を繰り返していく様子を表しています。
そうこうしているうちに、赤いアイコンのキリンが生まれてきました。
このキリンは、「偶然に」「突然変異で」他の元祖キリンより少しだけ首が長く生まれて来た、「変異キリン」です。
さて。せっかく低い確率の下生まれてきた変異キリンですが、そもそも元祖キリンが繫栄している土地なので、餌となる枝が生えているのは低いところが中心です。
変異キリンは元祖キリンとの餌とり競争に負け、死んでしまいました。
さて次に、こちらのイメージをご覧ください。
ここでも先ほど同様、元祖キリンが繁栄する中、「偶然に」「突然変異で」変異キリンが生まれています(⓪)。
だがしかし。
先ほどと違うのは、これもまた「偶然に」、高いところに枝を生やす植物が繁茂していたことです。
その結果、さっきはすぐに死んでしまった変異キリンは死なず、他の元祖キリンと交配することとなりました。
さて、その交配の結果生まれて来た子どもには、通常の「元祖キリン(①)」もいれば、当然、親の「突然変異」遺伝子を受け継いだ「変異キリン(②)」も出てきます。
そして。
これが何十世代、何百世代、何千世代、果ては何万世代と気の遠くなるような世代継承を繰り返す中で、より首の長い突然変異をした「変異キリン⁺(プラス)」も出てくることとなります。
更に、多くの「変異キリン⁺」が環境に適合出来ずに死んでしまう中、「偶然」すごく高いところに枝が生えている環境の下に生まれ落ち、生き残る「変異キリン⁺」も出てきます。そしてその「変異キリン⁺」が他の「変異キリン」と交配し、その子どもが、・・・・・・・・・・・・
この「結果」到達したのが、現在我々が目にする「キリン」です。
つまり。
進化とは、意志や目的が関与するものではない。
「偶然に」「突然変異で」これまでと違う特徴を持った種が表れ、多くの突然変異種が滅びていく中、その種がこれまた「偶然に」環境と適合できた場合に、その特徴が子孫に引き継がれ、このプロセスが莫大な年月繰り返されることによって種に変化がもたらされていく。
そして進化とは、この機械的な自然淘汰の結果の累積に他ならない、というのが、ダーウィンの進化論なのです。
キリンは、高いところの木の枝を食べる「ために」首を伸ばしたのではない。
「偶然」「突然変異で」首が長くなった種が、高いところに木の枝が生えている環境と「偶然」出会ったことで「結果として」生き残り、莫大な世代交代の「結果」、その特徴をより色濃くしてきた。
その「結果」こそがキリンという存在だ、ということです。
3 おわりに
以上、ざっくりした、ダーウィンの進化論の言語化でした。
この結論からは、確かになんだか薄ら寒い印象を受けることは事実です。
しかし私は、進化論から、ポジティブなメッセージを受け取ることも出来ると考えています。
私たち人間も、生まれながらにして、自然淘汰による選別を勝ち抜いている存在だということ。言い換えると、私たちは存在として既に自然と調和しているのだ、ということです。
冒頭、「進化論を正しく理解すると、様々な別の思索を進めるうえで良い素材・フレームワークとなる」と言いましたが、その際は、進化論の持つこのポジティブなメッセージを軸に展開していくことが多いので、ここはまた改めて言語化したいと思います。
以上です。
なお、今回の内容も、noteを活用したダイナミック・インテリジェンス・システム「知性の曼荼羅」の一環です。
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