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風が吹いたときに、確実に桶屋を儲からせるには。【因果律を磨く】

今回は、私が、自分が目指す目標を達成しやすくするために意識している「因果律を磨く」という行為についてご紹介したいと思います。

1 因果律とは。

さて、まず「因果律」についてご説明します。

物事には、必ず「原因」があってその「結果」があり、この法則を「因果律」と呼びます。

ただし、この「因果」の関係は非常に複雑な場合がほとんどで、我々の知覚のレベルを容易に超えてきます。
ま、そうでないと、人間は社会のすべての課題をすでに解決できているはずですからね。

例えば、サイコロを振ったときに出る目は1~6の「ランダム」です。
しかし厳密には、手から離れたときのサイコロの角度、サイコロの重さ、空気抵抗、着地する物質の素材、・・・・・・、などなど、既に確定した無数の「原因」があり、それらの条件の下では「結果」は1つ、つまり、出るサイコロの目はいずれか一つに確定します。
ただし、これらの前提となる「原因」が人間の情報処理能力をはるかに超えているので、「サイコロを投げるときの諸条件」と「サイコロの目」に因果関係はあるのだけれど、我々の能力としてその因果関係は把握しきれない、なのでその分からなさに名前を付けて「ランダム」という考え方で活用していこう、と。
「ランダム」というのは、こういう「約束事」なんですね。

そういったように、実際の社会はあらゆる物事が因果関係の網の目で結びついた状態で存在しているのですが、これを昔の人が一言で言い表した言葉をご存じでしょうか?

2 「風が吹けば桶屋が儲かる」

そうです。それがタイトルにもあります、「風が吹けば桶屋が儲かる」です。この言葉自体は良く知られており、ビジネス文脈でも「風桶」等のフレーズで良く用いられますが、この「ロジック」についてはあまり語りなおされる機会もないと思いますので、簡単にご説明してみましょう。

「風桶」のロジック


上の図は、「風桶」のロジックを見える化したものです。

まず、「風が吹く」。そうすると、「砂埃が舞う」。「砂埃が舞う」と、それが目に入って「目の見えない人が増える」
当時、目の見えない方の職業の定番が、三味線奏者でした。そのため、「琵三味線の需要が増える」
そしてまた、当時の「三味線」はその素材に、猫の皮を使っていました。
そのため、「三味線の需要が増える」と、「猫の頭数が減る」
猫が減ることで、街中の「ネズミの数が増える」
ネズミが増えることで、各家庭の桶がかじられ、「桶の需要が増える」
そうしてみんなは桶屋に走って桶を購入して、「桶屋が儲かる」
つまり、「風が吹けば桶屋が儲かる」。こういうことです。

これは、一見関係ない事柄の間も、実は因果関係でつながっているんだ、ということを面白おかしく表現したものです。

古い時代に出来た言葉ですが、この考え方は当然今でも同様に成り立つものです。


3 「風桶」の考え方を実践する。

さて、私は、何か達成したいゴールがあるときに、この考え方を活用し、日々の行動に落とし込んでいます

例えば、「風桶」をそのまま例えに使ってみましょう。

私が桶屋だとします。
私がまず考えるのは、「桶屋が儲かる」という結果に向けて、何が「原因」となっているか、つまり、因果関係を可能な限り見える化(可視化)することです。この場合、上の「風桶の図」がその成果物となりますね。

これにより私は、風が吹くと、・・・ああして、・・・こうして、その結果、私の桶屋が儲かるんだな、と理解できます。

さてここで考えるべきは、私は、「風が吹くかどうかをコントロールできない」ということです。
しかしながら、出来る事はあります。
風が吹いた「後」の因果に働きかけ、その確率を高めておくことです。


3-1 「横の因果律」の磨き上げ

まず、因果関係全体に広く働きかける手法。
これを私は、「横の因果律の磨き上げ」と呼んでいます。

上の図で言うと、横の因果律が発動される確率を高めるために私がとれる具体的な行動は、

① 道に砂を撒いておくこと (不謹慎ではありますが・・・)
② 三味線が流行するよう、地道に三味線ファンを増やすPR活動を続けておくこと
③ ネズミの歯が強くなるよう、鼠が好む硬い食べ物を鼠の巣に投げ入れ続けること

などがあります。(当然ですが、ほんの一例です)

これにより、「一たび風が吹きさえすれば」、その後の「桶屋が儲かる」までの因果律をスムーズに流れやすくしておくことが出来ます。


3-2 「縦の因果律」の磨き上げ

次に、個別の因果関係を狭く深く強化していく手法。
これを私は、「縦の因果律の磨き上げ」と呼んでいます。

上の図で言うと、「風が吹けば砂埃が舞う」という因果に着目し、この因果が発動される確率を徹底的に高めていきます。
具体的な行動としては、

・砂がまきあがりやすい舗装にするよう役所に働きかける
・そのために、役所に働きかけやすいよう、役人と飲み友達になっておく
・更にそのために、役人と飲み友達になりやすいよう、役人がよく行くバーを調べておき、その店の馴染みになっておく

これにより、大きな目標に向けた小さな因果がしっかりと発動するよう、その確度を高めておくのです。


4 実生活に落とし込むには。

当然ですが、この「縦の因果」と「横の因果」を、自分のリソース(時間、金、体力)と見合いながら、バランスよく強化していくことが重要です。ここはなかなか模範解答というものは示しづらく、良いバランスを模索していくことになるでしょう。

なお、今回の内容を、前回言語化した「期待値」の文脈で言い換えると、「目標達成に向けたそれぞれの因果関係が機能する確率を高めることによって、『目標達成の期待値』を高める」、それによって、自分の人生における目標達成を「より確からしい」ものとすることが大切だ、と言えると思います。

さて、これまでご説明してきた内容には、たいそうな主張のように聞こえるかもしれませんが、実生活に落とし込むと、ほんの些細な行動変容から始めることが出来るものなんです。

例えば、私の人生の大きな目標として、自分が働く会社の仕事を通じてとあることをやり遂げ、それを通じて自己実現を達成する、というものがあるんですが、そのために私が具体的に行っていることは、「誰かに助けを求められたら、快く応じてあげる」ということです。
すごく些細なことですよね。でもこれ、とても大事なことでもあります。

人を助けてあげたら、いつか私が助けを求めたときに、その人が私を助けてくれるかもしれない。
風が吹くかは分からないが、いつか風が吹いたときには、私の「桶屋を儲からせる」ためにひと肌抜いでくれるかもしれない。

こういった風に考えることで、あらゆる自分の行動が、大きな目標に向かうためのワンステップと位置付けられてきます。
そういう風に意識することで、目標達成の確度も高まりますし、何より、あらゆる自分の行動が「何かのためにやっているんだ」と考えられることは、精神衛生上も非常に良いということは言わずもがなですよね。

以上、因果律を磨く、ということについて言語化してきました。
皆さんの行動変容に繋がれば幸いです!


今回の内容も、「知性の曼荼羅」の一環です。


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