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選挙と天下り先のことしか考えない政治家と官僚が制度を迷宮にする

記事にある通りのことなので、いちいち詳細は省くが、所得制限を撤廃したり、支給対象年齢を拡大したり、第三子のカウントを修正したり、といろいろ細切れな追加修正を加えて、「古い旅館が無計画な増築や改装を重ねたがために客も従業員も使いにくい迷宮化する」パターンで、もう作ってる本人たもわけがわからなくなっているのではないか?

これに対して、「いい方向に少しずつ修正されるのは悪いことではない」などというのもいるんだが、それこそ政府や官僚の思うツボでさ、「最初にダメなのを出して、ご指摘受けてここまで修正しました。これでいいでしょ?だから次も投票してね」→「投票で信任得たので、バラまいた分は回収増税ね」の繰り返しなんですよ。

何回この手に騙されてきたのか。

必要なのは、その場凌ぎの微修正ではなく、抜本的な見直しです。このままこんなことを繰り返していたって、最終的には国民負担率があがるだけ。

勿論、人口減少は不可避なので、一人当たりの負担が増えるのは仕方がない。しかし、その負担増は未来のための見返りのある投資になっていなくてはならないはずで、今行われているのは、むしろ「今だけよければ、先のことなど知らん」という政策。

まあ、政治家にしてみれば、自分が政治家やっている間だけ持てばいいので関知することではないのでしょ。官僚も自分が働いている間だけうまく取り繕って、たんまり退職金もらって、定年後うまいこと天下り先が確保できればいいだけなんでしょ。

一部の左系の人達がXなどでは「だから、自公政権を打倒しないといけない。政権交代しないといけない」とか騒ぐわけですが、お言葉ですが、今の複雑化した児童手当や控除撤廃の引き金を引いたのはどなたですか?って話。

旧民主党が言い出したあの「子ども手当」のせいです。
あれも当初選挙目当ての公約でしかなかったのだが、政権取ってしまったので、どうしても子ども手当拡充という実績を作りたかったのだろう。
実施させるための見返りとして、年少扶養控除や特別控除が撤廃という交換条件を飲むことにした。ちなみに、公約通りの額の支給から減額もさせられた上で。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/047a.htm

平成22年度(2010年)税制改正→子ども手当の創設とあいまって、年少扶養親族(~15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止する。高校の実質無償化に伴い、16~18歳までの特定扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分(25万円)を廃止する。

これって、名目子ども手当のために実質国民の負担が増えたに等しい。やらなくもいい児童手当拡充のせいで、年少扶養控除や特別控除が撤廃されて、かえって子育て世帯自体が今や損する事態に陥っている。


ついでながら、自民党も民主党から政権再奪取した際の公約で「子ども手当廃止、年少扶養控除復活」を掲げていたはずなんだが、なし崩し的に何もしていない。

政権交代しようが何しようが、どんな公約言おうが、政治家なんてホントにどいつもこいつもって話でしかない。

ぶっちゃけ旧民主党前の状態に戻した方が、所得制限があっても(その分控除があるから)マシだし、戻した上で、多少の児童手当の拡充を実現させるのは今の予算より低予算で実現できた。その方がよっぽど多くの国民の得になる。

現在およびこれからの児童手当拡充の内容をわかりやすくまとめているのは以下です。 

ちなみに、今政府が検討中の税制見直しを併せて行った場合、得するのは高所得世帯に偏る見込みらしいよ。なんでそうなるかな。


https://nordot.app/1047776847912927748?c=113147194022725109

この試算が正しいかどうかは別にして、別に高収入の人の足を引っ張るのがいいことではない。みんなして貧乏になろうという思想ほど怖いものはない。

しかし、すでに、世帯年収900万以上しか子どもを持てない状況になりつつあることは事実。

これは、出産以前に結婚すること自体、かつての中間層では手の届かないレベルに達していることが少子化の問題なのであって、何度も言うように子育て支援では出生数は増えないのである。
言い換えると、子育て支援を充実させれはさせるほど、一人当たりの子どもにかけるコストの上昇を招き、より一層中間層以下は子どもを持てなくなるという状況が生まれる。

読解力のない人間が、「荒川は子育て世帯ではなく未婚者に金を配れ」と勘違いしてるのがいてびっくりするのだが、そんなことは言っていない。そもそもバラマキには意味はない。首相の言う賃上げなんて所詮3割しかいない大企業勤務者にしか恩恵はない。

そうじゃなくて、バラまき以前に引くなという話。せめて「金がないので毎日過ごすだけで精一杯」という若者の数をへらしてほしいのだ。金があればなんでも解決という話ではないが、20代の若者が20代のうちに結婚や出産に前向きになれる程度の安心がなければ難しい。少なくとも20年前の若者より今の若者の国民負担率は異常に大きい。だから20年前の若者より手取りが少ないのだ。

20代が結婚・出産しなければ絶対に出生数はあがらない。

それでも抜本的な出生増にはならないが、試算的には今より10-15%程度は結婚も出産も増えるだろう。TFRにすれば1.5程度までは回復可能。

でも、それが限界だし、2.0どころか1.8だって絶対不可能。結局出生数は下がり続けるが、少しでも下がり続ける角度を緩和するだけで50年後、100年後は随分と違う景色になる。


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。