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探究心があれば続く。独立してわかった、WHEREで培われるスキル・経験とは

日本全国の地域と伴走しながら「地域づくり」を行なってきた、文化創造カンパニーの株式会社WHERE。

そんなWHEREの立ち上げに関わった後、独立して長野県根羽村で事業を行う杉山と、共に創業期を過ごした代表 平林との対談を通して理解する、WHEREで培われるスキル・経験とはーー。

WHEREを通して地域と関わりたいと思っているアナタへ、WHEREでの経験が活きた道をお伝えします。

本対談は連載企画です。バックナンバーは以下よりご覧いただけます!
https://note.com/whereinc/n/nb834e14f3e53

独立後も活きている、WHEREで地域と関わった経験とは

平林:マギー(杉山の愛称)はWHEREの立ち上げから関わっていたよね。全国各地で地域プロデュースをする経験って、振り返ってみるとどうだった?

杉山:いま根羽村で地に足のついた事業を展開できていることは、WHEREでの経験が活きていると思っています。だって僕は全部WHEREや他の地域事例のいいところを真似て、根羽村流にカスタムしているだけだから。オリジナルなんて何一つないんですよ。

杉山 泰彦(Sugiyama Yasuhiko)一般社団法人 ねばのもり 代表理事 / 2017年2月に株式会社WHEREの事業立ち上げに参画。地域PR・移住定住サポート事業を中心に2年間で累計20地域を担当。2019年4月より地域活性化人材として「根羽村PR戦略担当」根羽村役場に出向。様々な戦略構築・実行を行い、2年連続人口社会増・メディア露出増・関係人口増等の実績をつくる。2020年8月、一般社団法人ねばのもり設立。根羽村役場と連携して中間組織として様々な企画コーディネートや施設運営を行なっている。

平林:それだけマギーにノウハウが溜まってるってことだよね。

杉山:そうそう。例えば移住者と地元の人が分断してる地域もありますが、僕自身がそういう形を望まないので、分断しないように努めていて。これはWHEREでの活動で前例を見れていたのが大きかったと思いますね。

平林:本当に「ゼロを経験してる」のは強いよね。創業当初は「繋がりがないから」と、一緒に都道府県会館の下でテレアポして、アポが取れたら上の事務所にすぐ行くってこともしてたよね。

平林 和樹(Kazuki Hirabayashi)株式会社WHERE 代表取締役、内閣府地域活性化伝道師、ふじよしだ定住促進センター理事 / ヤフー株式会社、カナダ留学、株式会社CRAZYを経て、株式会社WHERE創業。地域コミュニティメディアLOCAL LETTERは約2万人の会員規模まで成長。人口900人の村で古民家をリノベした体験型民泊施設まつや邸は開始9ヶ月で宿泊客180名を突破。地域経済活性化カンファレンスSHARE by WHEREを立ち上げ業界・地域を超えた産学官民の起業家70名以上が登壇。

杉山:いろいろありましたね。僕自身は “ゼロに向かっていく” 方が好きなんですよ。「地域」は勢いがゼロに向かってることが多い。けれど、勢いづいた瞬間ってすごく可能性が出てくるじゃないですか。その瞬間が楽しいんです。

平林:勢いづいてくると、めっちゃ楽しいよね。実際マギーは根羽に移住してみて、最初はどうだったの?

杉山:楽しかったです。知らないおじさんにウィスキー飲みながら、3時間説教された時もあったなあ。

まつや邸(根羽村にある一棟貸しの宿。杉山独立の際にWHEREから杉山へ運営主体が受け継がれた)』のオープン前に、「どうせおまえいなくなるんだろ」って言われたことも。

勢いが下がってるような状態から入ったので、地域内外から「うまくいくわけない」と集中砲火を受けました。「でもまだ何もやってない。これから見せるだけだ」と思っていましたね。

杉山の根羽村での詳細活動はこちら
https://localletter.jp/articles/neba_nagano/

杉山:ぽぽさん(平林の愛称)も共感されると思いますが、当時の辛い思い出は年月が経って思い返すと、良い思い出で全部ネタになってますよね(笑)。

杉山:こうして振り返ると、僕自身が根羽村に入る時「3年後に人口増加を目指します」といったKPI設定をしなかったのが良かったのかもしれません。

まずは村に入って、自分も村民になって「暮らしてみながら見える景色の中で、自分がやれることやってこう」みたいなスタンスだったので、辛くなかったのかもしれない。

平林:それはWHEREにも通じるものがあると思ってて。俺も最初、人脈も実績もゼロ、事業内容もよくわからないから、紹介伝えにいろんな地域を回って「何したら良いんだろう?」という問いから生み出してきた、ビジョンやサービスがたくさんある。

杉山:まず滞在して、好きなところを見つけるのがWHEREのやり方で、僕がぽぽさんに教えてもらったことですね。宿(まつや邸)をつくる中でも「自分が面白い」と思ったことだけを体験コンテンツにするスタンスで、様々な業務をずっとやってきました。

平林:地域の文化や特徴を拾い上げて、顕在化させるスキル・ノウハウがめっちゃ溜まっていったよね。

杉山:「地域プロデュース」という仕事は、かなりビジネススキルが求められる分野ですよね。企画力だけではなくファイナンス面も理解しながら持続させないといけない。26,27歳でこの体験ができたのは大きかったと思います。

平林:売上や利益を上げていくのは、手段として大事だからね。

杉山:当時はほとんど理解できてなかった代表(ぽぽさん)の気持ちも、WHEREから独立して、僕自身も経営者になったことで、少しわかるようになってきたと思っています。

昔は、金の切れ目が地域との縁の切れ目になるのが嫌で、自分のリソースを全力投下していた時期もありましたが、それで両者が共倒れしては意味がないと。今は理解できます。

Win-Winの関係性が続くのであれば、一緒に居なくてもいい

平林:マギーから根羽村に行きたいと言われた時は「本当に行くのか?」と驚いたけど、話を聞いたらめちゃくちゃ本気なのがわかって、あの時応援できてよかったと思ってる。

杉山:あの時は僕も酷かったんです(笑)。だって「報告と相談がある」と言って、まず「根羽村に引っ越す」ことは "報告" として伝えたんですから。その上で、地域おこし企業人の制度(民間企業に所属したまま地域に入って活動できる総務省の制度)を活用する相談をしました。

平林:そうそう。でもマギーは本気だったから、地域おこし企業人の制度を使わなくても根羽村には行くってわかってたし、俺自身は繋がり続けられる・お互いにWin-Winな状態を作れるかが大事だと思っていて。

平林:マギーは、マギー自身が培ってきたノウハウがある上で、自分の給与も工面しなくちゃいけない。根羽村は、人材をめちゃくちゃ求めていた。そしてWHEREは、根羽村の事業や『まつや邸』を全て担ってくれる人材がいたら助かった。

「一緒にやってきた」という感情面もあるけど、同時に合理性もある決断だったね。マギーとも、奈々とも、ずっと一緒にやってきたけど、感情だけでは絶対に進んでいけないってことに気がついて。感情と合理性の2つが伴わないと続かない。

杉山の次に新卒で入社した高山奈々の記事はこちら
https://note.com/whereinc/n/nb834e14f3e53

杉山:一緒にいたら良いわけじゃないとすごく思いました。自分がWHEREで営業をしていたからこそ「(当時の)WHEREは営業題材になる実績が弱い」ことも痛感していたんです。

だから「地域の中に実際に社員が入って、地域が変わった」という実績が生まれたらWHEREにとってもプラスなはずだと、当時、僕自身も合理的に考えていた部分がありましたね。

平林:どっちかが損する、疲弊するような関係性だと続かないよね。

これからWHEREがやっていくのは「土壌を共有する」こと

平林:マギーがWHEREと繋がり続けられる理由ってなんなの?

杉山:「根っこが一緒」だからかな。根っこを一緒につくってきたから、今は枝分かれしましたけど、根本は一緒だと思っています。

平林:根っこを共有するってめっちゃ難しくない?

杉山:無理ですね笑。以前、お会いした方が「第5世代のことはもうわからない、でもいいやそれで。もう引退だ」と話されてたんです。彼は地域の第1、2世代のメンバーで、その地域はすでに5世代目の人たちが活躍しているタイミング。

だから彼の話を聞きながら思ったのは、同じ根っこを多くの人に共有するよりも、土壌を共有・解放して、新しいメンバーの根っこを土壌に植えさせてあげた方が持続性が出るんだな、ということ。

平林:わかる。いま『LOCAL LETTER』も、誰もが情報発信できるような形に解放し始めているし、地域経済サミット『SHARE by WHERE』も事務局は外部メンバーで集めてオープン化させてる。社内だけでやるのではなく、徐々に垣根をなくしオープン化させることで、WHEREの土壌を共有してる感覚。

平林:僕らも地域で事業をはじめて7年経ったけど、事業を勝手につくっていく第1陣の起業家・実業家メンバーが力を付けてきて、今度は「ローカルには関わりたいけど、どうしたらいいかわからない人」をどうやってローカルに繋いでいくのか。ここに僕らの次の価値があると思っているんだよね。

杉山:僕は今「都会との関係人口」というテーマを掲げていて。関係人口のフォーマットって、「地域の課題をどう都会の人材で解決するか」という話が多いですが、それはもう面白くない。課題は都会の方にあって、都会の課題をどう地域のリソースをつぎ込んで解決するか?に向かった方が面白いと思うんですよ。

平林:本当にそう思う。東京は人材が余りまくっているもんね。

杉山:そう。集まっているのに、面白い人材がいない。正確には見えなくなってしまってる。

平林:燻ってるよね。いま『ローカルライター養成講座』や『東北起業家養成講座』を開講している中で、講座に来る人たちは、学ぶことに感度が高い人たちだと思っていて。学ぶことによって自分の人生が豊かになるとか、キャリアアップ・キャリアチェンジに繋がることが見えている人たちなんだよね。でも、大半の人は見えていないから、個人も企業も学びに自己投資をしていかない。

だからこそ、僕らは限られた人たちが学ぶ習慣を持つ形ではなく「誰もが学ぶことによって変わっていける」というムーブメントを起こして、地域人材を、いろんな全国の起業家たちと育んでいくモデルを作りたい

杉山:関わる人の自発性をどう作るか、がポイントですね。

これからのWHEREに合っているのは、自分に課題設定をし続けられる、探究心のある人

平林:最後に、マギーからみて、今のWHEREにフィットする人ってどんな人だと思う?

杉山:探究心がある人ですね。自分が学びたいから地域に行く人なら持続すると思う。

僕は「地域を良くしたい、は嘘」みたいな話をずっとしていて。関係人口も、ちゃんと関わってる人たちは、自分の人生課題を内包してるじゃないですか。自分ごとになっている人は持続できると思うので、WHEREには自分に課題設定をし続けられる・問いを持つのが好きな人がフィットすると思いますね。

平林:確かにね。

杉山:気になったら究極、自腹でも現場に足を運ぼうと思う。足を運ぶと、運ばれた方の地域の人も「あれ、私のやっていることって価値があるのかも」って思って好循環が起こる。

一番手で火を起こす人のスタートって、探究心から始まってるんじゃないかな。大事なのは探求、探求ですよ。

現在、WHEREでは事業拡大にあたり、新しい仲間を募集中です。ご興味のある方は、ぜひ以下より詳細をご確認ください。
https://whereinc.notion.site/WHERE-INC-e9a5623f19744c4f8c07a0254a1e99d8

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