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80年代~90年代に活躍した韓国の女性アイドルグループ

韓国のアイドル文化は、1980年代後半から始まったとされている。
しかし女性アイドルの場合、男性グループとは事情が異なる。当時の韓国芸能界は男性社会的な傾向が強く、女性芸能人の地位が低かったため、女性歌手または女性アイドルを好む市場が活性化されていなかった。本格的に女性がたくさん活躍できるようになったのは1990年代後半頃からである。

1980年代後半から1990年代前半まで、韓国のアイドルは日本のアイドル「Wink」・「少年隊」・「少女隊」などの影響を受けていたため、2人組または3人組でなければ売れないという風潮があった。そのため、当時活躍していたアイドルグループのほとんどが男女共に2~3人組のグループが多かった。(例:ソテジワアイドゥル・DEUX・TURBO・COCO・DJ DOC・COOL等)

今回は、80年代後半から90年代後半までに活躍した韓国の女性アイドルグループたちをご紹介したいと思います。

●セトレ

韓国の少女隊
1988年にデビューした「韓国初の女性アイドルグループ」である。
日本の女性アイドルグループ・少女隊が当時、日本大衆文化の流入制限の韓国内で海賊版ディスクが取引されたり、1986年のソウル国際歌謡祭で戦後、日本人歌手として初めて韓国内公演を行った程の人気を得ていたことに影響を受けて結成されたグループである。 当時は女性がダンス音楽を歌唱することは受け入れ難い時代であり、期間限定の企画モノグループ的な感覚に近かった。また、音楽番組に出演した際には同じ3人組の男性グループ消防車のファンから「ソバンチャの真似だ!」・「女が歌って踊るなんて生意気だ!」と批判されることも多く、2流歌手程度の知名度しか得られなかった。 

●APPLE

1993年にデビューした女性アイドルグループ。
S.E.SやFIN.K.L.が登場する前に「清純派」・「歌って踊れる」コンセプトを目指した最初のガールズグループと見ることができる。彼女たちの数週間後にデビューした日韓合同アイドルグループ・S.O.S.と共にアイドル界で活躍したが、デビューアルバム発表後、大きな人気は得られずグループは解散した。 

・SeSeSe

1995年にデビューした女性アイドルグループ 
グループ名は、当時メンバーが歌やダンスの練習していたとき帰り道で子供たちが遊んでいた「せっせっせーの、よいよいよい~」から取った。女性歌手のキム・スヒが設立した芸能事務所ヒ・レコードからデビュー。1995年から1997年まで短い活動期間であったが人気を集めた。S.E.S.やピンクルが登場するまでの間、ボーイッシュなイメージと歌って踊れるグループとして注目された事実上の第1世代ガールズグループといえるだろう。彼女たちの代表曲である「アミガルレストラン」と「去るよ」は今聴いてもかなりの名曲だと思います。ちなみに後にデビューするS.E.S.の楽曲「君を愛してる(I Love You)」は、もともとSeSeSeのために作られた曲だった事が知られている。

●Baby V.O.X 

韓国のスパイス・ガールズ」・「女性版 H.O.T.
1997年にDRミュージック(旧:ドラゴン企画)からデビュー。企画段階では3人組でグループ名は「Voice of eXpression」の略からV.O.X.という名前だったが当時、人気のあったイギリスのアイドルグループSpice Girlsをベンチマークして5人組で結成された。グループ名も2集以降は可愛いらしさ、アイドルらしさという意味でBabyを付けて¨Baby VOX¨と正式に名付けられた。彼女たちは韓国初の女性5人組グループであり、第1世代のガールズグループで一番早くデビューしたグループである。女性グループとしては珍しくロックダンスを取り入れた振り付けや「お姉さん的」コンセプトで他のアイドルとの差別化を図り人気を集めた。 

●DIVA

1997年にソウルインプロダクションからデビュー。
韓国初のヒップホップコンセプトの女性アイドルグループであり、メンバーたちが憧れていたアメリカの女性グループ・TLCをベンチマークした。当時、ヒップホップを取り入れた女性グループが稀であり、堂々としたファッション、ライブ、ステージを披露して10代の女子学生のトレンドになるほど人気が​​高かった。デビュー当時、アルバムの販売量が女性グループとしては異例の20万枚を突破し、新記録を達成。彼女たちはたくさんのアルバムを発売した(計8枚)ガールズグループで、活動期間も1997年~2005年までと長く維持した。 

・S.E.S.

韓国のSPEED
1997年にSMエンターテインメントからデビュー。1980年代後半にセトレが活躍した後、女性グループの成功例はなく、しばらく空白期間があったが、そのポジションを埋めたのが彼女たちである。日本のSPEEDとアメリカのTLCをベンチマークした。
当時、日本で大人気だったSPEEDが4人組だったのでS.E.S.も最初は4人組で結成されたが、デビュー前にメンバーが1人脱退したため、3人組体制になった。3人組に再編成された彼女たちは同時期にアメリカでも人気だったTLCを参考にした。グループの見た目は日本のアイドルのようだが、音楽はヒップホップなどの洋楽テイストであり、「日本の流行とアメリカの流行」を上手く組み合わせていることが分かる。 男性グループのH.O.T.も同様な理由で、見た目は日本のジャニーズ(SMAPの影響を受けた)のようだが、音楽はヒップホップやラップなど洋楽の影響を強く受けていた。

韓国のアイドルはデビューする前に歌やダンスだけでなく言語などの集中的なトレーニングを5~7年といった長期間受けることが現在では主流となっているが90年代当時はまだそのようなシステムが定着しておらず、中にはほとんどレッスンをしないままデビューをするアイドルも少なからず存在していた。S.E.S.も所属事務所であるSMエンターテインメントでデビュー前に受けたトレーニングは1年間だけだった。彼女たちの登場は、それまで男性歌手の活躍が主流だった韓国音楽界で女性歌手&女性アイドルがエンターテインメントとして格上げされ、男性歌手と同等に肩を並べるきっかけになり、大衆音楽史で大きな影響を与えた。 本来のターゲットは男性層であったが、女性ファンも非常に多く獲得し、ファンの男女比率は6:4くらいだったという。 メンバーであるユジンも当時のインタビューで「私たちは女性グループなのに女の子のファンがとても多いです」と言及した。

●Elfin Lovers

1998年1月にデビューした女性アイドルグループ
韓国初の6人組女性グループでメンバー全員、息の合ったダンスも特徴的だった。グループとしてはYoung Turks Clubのような路線に近く、唯一の代表曲である「だまされていないクリスマス」は、Young Turks Clubの「愚か者コンプレックス」に似たような楽曲で、イントロにはWhamのラストクリスマスがサンプリングされている。しかし、ほとんど大きな人気を得られずC級~D級アイドルポジションでの活動に留まった。 

●Fin.K.L.

韓国のMAX
1998年にDSPメディアからデビュー。当初は3人組のヒップホップグループとして結成されたが、デビュー準備中にSMエンターテインメントから同じ3人組のS.E.S.がデビューしたため、急遽メンバーを1人追加して4人組に再編成された。S.E.S.とはライバル構図となり、人気を集めた。 

デビュー前 / イ・ヒョリ加入前のピンクル

当初の3人組の計画はTLCに影響を受けたもので、4人組体制になった際には日本のSPEEDやMAXをお手本にしたという。 彼女たちは清純さ・可愛さ・成熟さ・セクシーさなど様々なコンセプトや曲で毎回異なるステージを見せ、少女らしさをアピールするコンセプトからセクシーさをアピールするコンセプトに変わる過程を成功的にこなした。

●Hansband

韓国のZONE」・「韓国のCHEE'S
1998年にデビューした三姉妹で構成される女性アイドルバンド
ソテジワアイドゥルやDEUXと同じくイェダン音響に所属しており、「韓国で初めてアイドル的人気を得たガールズバンド」である。デビュー当時、メンバーは中学生の年齢でミュージックビデオでは日本のセーラー服を着ていたのも特徴的だった。1集デビューアルバムが大きくヒットし、続く2集では5人組に再編して活動した。当時の第1世代アイドルブームの中では珍しいポジションで活動していた女性グループと見ることが出来る。

●Circle

1998年に韓国の朝鮮音響と日本のソーマオフィスの共同企画で結成された韓国初の多国籍アイドルグループである。日本のアイドルグループ・SPEEDのようにメンバー全員の年齢が12歳~16歳(小学校6年生~高校1年生)で構成されている。 韓国と外国の芸能企画会社が合弁し、それぞれの所属芸能人でグループを結成した点は宇宙少女に似ている。 デビュー当時に日本でも活動を試みたが、メンバーの脱退や諸事情によって日本での活動は無くなり、その後、韓国でもメンバーを再編成して活動を続けたが、あまり人気を得られずグループは解散した。 

●T.T.MA

韓国のFolder5
1999年にミュージックファクトリーからデビュー。ソバンチャのメンバーだったキム・テヒョンとチョン・ウォングヮンが設立したミュージックファクトリー所属で男性グループ・NRGの女性版として結成された。 当時、所属事務所はH.O.TやBaby V.O.X.などの5人組に触発されて、NRGとT.T.MAを作った。また日本のアイドルグループSPEEDをベンチマークしたことで有名。実際に2集の活動曲「Wanna Be Loved」のプロモーションビデオは、SPEEDの「熱帯夜」のPVに酷似しており、T.T.MAのメンバーたちも後日のインタビューで「NRGも日本のボーイズグループ(ジャニーズ)をたくさんベンチマークしていましたが、私たちは安室奈美恵やSPEEDをお手本にしていました」と明かした。 ユーロビート調の楽曲を歌っている・5人組・90年代後半から2000年代前半にかけて活躍・B級アイドルといった点などはFolder5と共通する。 彼女たちは韓国よりも中国での人気が高かった。 

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