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日々是神経診察 -Hoover test-
器質性片麻痺と心因性片麻痺の鑑別として有名な所見である(連合運動の見ている)。
患者にベッド上仰臥位となってもらい、一方の下肢を伸展挙上してもらう。検者の一方の手を挙上下肢を抑えるのに、もう一方の手を挙上しない方の踵の下に置く。
①器質性片麻痺がある患者 健側下肢を挙上させた際に麻痺側踵に加わる力 < 麻痺側下肢を挙上させた際に健側踵に加わる力
②心因性片麻痺が疑われる患者 健側下肢を挙上さ
日々是神経診察 -Marie-Foix屈曲退避反射-
Marie-Foix区局退避反射は、集合屈曲反射や病的短縮反射とも呼ばれる。
防衛反射の一つで、臨床的意義は2つ挙げられる。①脊髄横断病変のレベルを推測と②対麻痺の予後判定である。足背皮膚の疼痛刺激より誘発閾値の低い検査とされる。
脊髄錐体路障害により高度の痙性下肢対麻痺、片麻痺で、下肢が著しい伸展位をとり関節屈曲が困難な患者において、拇趾を除く4足趾を検者が他動的に持続屈曲すると、拇趾と足が
日々是神経診察 -口蓋振戦-
以前は口蓋ミオクローヌス(palatal myoclonus)を呼ばれていたが、ミオクローヌスの特徴である瞬発性運動ではなく、律動的であることから現在は口蓋振戦(palatal tremor)と呼ばれる。
3Hz前後の律動的な口蓋帆の不随意な挙上運動で、発話時などには一時的に停止するため、自覚症状はないのが普通とされる。また、他の振戦と異なり睡眠中でも持続する点が特徴。どのような動きか一度動画で
日々是神経診察 -Miller Fisherの上肢協調運動-
まず初めに私が何回も何回もボロボロになるまで読んでいる神経診察の本がある。それが、『神経診察の極意(廣瀬源二郎 著)』である。神経所見の本で、専門医受験の際にほぼ全員目を通しているのは『ベッドサイドの神経の診かた』だと思われるが、私はこの小さくてコンパクトなのにギッシリと詰まった神経所見のエッセンスが大変気に入っている。ぜひ興味があれば手にとってみて欲しい。
さて、今日はその中の一つのエッセン
日々是神経診察 -Adie瞳孔-
強直性瞳孔や瞳孔緊張症とも呼ばれる。障害部位は、毛様体神経核とその神経核より抹消の神経繊維(毛様体神経節)やその後の短毛様体神経の障害による副交感神経の障害とされるが、発生機序には諸説ある。
・輻輳および調節の経路(脊椎脊髄 2015;28 ⑷:344-346より)
この図では、視蓋前野(前域)を通っているように見えるが、Argyll-Robertson瞳孔でも見た通り、輻輳反射の経路は視蓋前域
日々是神経診察 -Argyll Robertson瞳孔-
先日Marcus Gunn瞳孔を記載した際に、ちょっとだけ紹介したお師匠のArgyll先生の名前がついた所見です。脊髄癆(tabes dorsalis)を主体とする神経梅毒の徴候として有名ですが、多発性硬化症、中脳水道近傍の腫瘍、脳炎など他の原因でも起こることがあります。
病巣は正確にはわかっていませんが、視蓋前域が責任病相部位であると言われており、対光反射の経路が選択的に両側性に傷害されて起こ
日々是神経診察 -Marcus Gunn瞳孔-
視神経求心路の障害を示唆健側眼に光を数秒当てた後に観側眼に光を当てることを交互に繰り返す(swinging-flashlight test)と、患側眼に光を当てた際、わずかに収縮した後に散瞳が起こる。
元々対光反射は、直接対抗反射(direct light reflex; DLR)に比べて間接対光反射(indirect light reflex; IDLR)の縮瞳が弱いらしい。
そこで、この原
日々是神経診察 -Beevor徴候-
下部胸髄(Th10-11)の髄節徴候腹筋は臍を境に、上はTh8-9、下はTh10-11(12と書いている文献もある)の脊髄髄節から支配を受けている。通常、部分的に動かすことはできない。
Th10-11の髄節が傷害されると、臍下腹部の随意筋の収縮ができなくなるため、臥位から座位に患者を起きあがらせようとした際に(腕組み腹筋のような形)腹筋上部のみが収縮して、臍が上方に引っ張られて動く。
Neur
傍腫瘍性神経症候群(PNS)の診断基準update
傍腫瘍性神経症候群(Paraneoplastic Neurologic Syndrome:PNS)、いわゆるパラネオと言われているものですが、診断基準が16年ぶりにUpdateされました(提言)。Neurologyからopen accessでフリーで閲覧可能です(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34006622/)。簡単に変更点をまとめました。
●旧診断基準(20