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日々是神経診察 -口蓋振戦-

以前は口蓋ミオクローヌス(palatal myoclonus)を呼ばれていたが、ミオクローヌスの特徴である瞬発性運動ではなく、律動的であることから現在は口蓋振戦(palatal tremor)と呼ばれる。

3Hz前後の律動的な口蓋帆の不随意な挙上運動で、発話時などには一時的に停止するため、自覚症状はないのが普通とされる。また、他の振戦と異なり睡眠中でも持続する点が特徴。どのような動きか一度動画で見ておくといいと思います。

ギラン・モラレ三角(Guillain-Mollaret triangle)が責任病変であり、特に二次性の下オリーブ核仮性肥大を伴うことが必須とされています。

因みに、ギラン・モラレ三角は歯状核、赤核、下オリーブ核の3点を頂点とした三角形のことを言います。

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歯状核(小脳)から同側上小脳脚を経て対側に交叉し、赤核(中脳)を経由して橋被蓋部の中心被蓋束を下降し、下オリーブ核(延髄)に至る。この歯状核から下オリーブ核に至る経路で口蓋振戦が起こるわけだが、下オリーブ核→下小脳脚→歯状核のオリーブ小脳路では口蓋振戦は起こらないとされる。

神経解剖と合わせて勉強すると、理解しやすいですね。

※神経内科専門医試験的な知識として、歯状核から赤核への通り道である上小脳脚は狭く、び慢性軸索障害で脳梁に加えてこの上小脳脚も障害されやすい。

【参考文献】
・廣瀬源二郎. 神経診察の極意. 東京, 南山堂, 2018.
・岩田誠. 神経症候学を学ぶ人のために. 東京, 医学書院, 1994.
・Front Neurol. 2017;8:302. doi: 10.3389/fneur.2017.00302. eCollection 2017.

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