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脳卒中治療ガイドライン2021での変更点(急性期線溶療法・血管内治療、内服抗血小板・抗凝固)

脳卒中治療ガイドラインが改定されました。今回は『脳梗塞・TIA一般』の変更点の一部。今回のガイドラインでは部分的にクリニカルクエスチョン方式が導入されていますが、メインは従来の推奨文方式となっています。急性期線溶療法や血管内治療に関して前版より推奨内容が詳しくなっています。

脳梗塞急性期

● 線溶療法と血管内治療


経静脈的線溶療法経動脈的血行再建療法の2項目へ分けて記載。

□ 発症早期の脳梗塞で、下記を全て満たす症例は、rt-PAを含む内科治療に追加して、発症から6時間以内にステントリトリーバーまたは血栓吸引カテーテルを用いた機械的血栓回収療法を開始することが勧められる(推奨度A、エビデンスレベル高)
① 寧頸動脈または中大脳動脈M1部の急性閉塞
② 発症前のmRSスコア 0 or 1
③ 頭部CTまたはMRI DWIでASPECTSが6点以上
④ NIHSSが6以上
⑤ 年齢18歳以上

□ 前方循環系の脳主幹動脈の急性閉塞による脳梗塞例では、下記の場合に発症6時間以内に機械的血栓回収療法を考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)
① ASPECTSが6点未満の広範囲虚血例
② NIHSSスコア 6点未満の軽症例
③ 中大脳動脈M2部閉塞例
④ 発症前のmRSスコアが2以上の症例

□ 内頸動脈、中大脳動脈M1部またはM2近位部の急性閉塞による脳梗塞は、発症から4.5時間以内のtPA静注療法を行わず、機械的血栓回収療法を考慮してもよい(推奨度C、エビデンスレベル中)

● 抗血小板療法

□ シロスタゾール200mg/日の単独投与や、低用量アスピリンとの2剤併用投与は、発症素期(48時間以内)の非心原性脳梗塞患者の治療法として考慮しても良い(推奨度C、エビデンスレベル中)

□ オザグレルの推奨度変更
勧められる(グレードB)→考慮しても良い(推奨度C)

● 抗凝固療法

アルガトロバンの推奨度変更やDOACについて記載追加。

□ アルガトロバンの推奨変更
発症48時間以内の非心原性・非ラクナ梗塞へのアルガトロバンは考慮しても良い(推奨度C)

□ 非弁膜症性心房細動を伴う急性期脳梗塞患者へ、出血性梗塞のリスクを考慮した適切な時期にDOACを考慮しても良い(推奨度C、エビデンスレベル中)


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