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日々是神経診察 -Miller Fisherの上肢協調運動-

 まず初めに私が何回も何回もボロボロになるまで読んでいる神経診察の本がある。それが、『神経診察の極意(廣瀬源二郎 著)』である。神経所見の本で、専門医受験の際にほぼ全員目を通しているのは『ベッドサイドの神経の診かた』だと思われるが、私はこの小さくてコンパクトなのにギッシリと詰まった神経所見のエッセンスが大変気に入っている。ぜひ興味があれば手にとってみて欲しい。

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さて、今日はその中の一つのエッセンスを紹介しよう。上肢及び下肢の麻痺のない状態での協調運動 coordinationを調べる検査である指タップである。Finger tappingと言えばParkinson病患者の指タップをまずは思い浮かべる。この評価は母指と示指の指腹を素早く、大きくタップして評価する。

しかし、今回のMiller Fisherの上肢協調運動の指タップ試験は、人差し指の先端で母指腹側の指節間関節部をできるだけ早くタップするように指示する。50歳以下の健常者では1秒間に3-5回は規則正しくタップ可能で、65歳以上だとやや遅くなる。これは協調運動(coordination)を調べるのにFisherが勧めている試験とのこと。

また、下肢でも、臥位で一側の踵で他側の膝下約10cmの脛をできるだけ早くタップする。通常は1秒間に2-3回可能。これはheel-knee-tibia試験よりも鋭敏らしい。ただ、軽い錐体路徴候や基底核疾患で筋強剛のある患者でもみられることに注意必要。

正直この本を読むまでこんな区別があるなんて知りませんでした・・・やっぱり神経所見は面白いなぁ、と思ったトリビア的知識でした。

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