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日々是神経診察 -Marie-Foix屈曲退避反射-

Marie-Foix区局退避反射は、集合屈曲反射や病的短縮反射とも呼ばれる。

防衛反射の一つで、臨床的意義は2つ挙げられる。①脊髄横断病変のレベルを推測と②対麻痺の予後判定である。足背皮膚の疼痛刺激より誘発閾値の低い検査とされる。

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脊髄錐体路障害により高度の痙性下肢対麻痺、片麻痺で、下肢が著しい伸展位をとり関節屈曲が困難な患者において、拇趾を除く4足趾を検者が他動的に持続屈曲すると、拇趾と足が背屈して膝、股関節の2関節が屈曲する(triple flexion reflex 3重屈曲位)。

①脊髄横断病変のレベルを推測

足背、大腿、腹部、胸部と上行性に刺激を与えていき、反射を誘発できる最上レベルの皮膚分節が横断性脊髄病変の下端におよそ対応するとされる(実際にはそのレベルよりも上と判断する方が正しい)。

刺激部位によって反射の出現閾値に差があることは知っておく必要がある(下腿前外側の刺激では出現しやすいが、腓腹部では出現しにくい)。

②対麻痺の予後判定

防衛反射がMarie-Foix手技のみで誘発できるような場合には、麻痺の回復可能性は残っている。しかし、足背以上で誘発される場合には麻痺の回復予後は不良とされる。

対麻痺がきわめて高度の患者では,足底刺激では長拇趾伸筋の収縮による
拇趾背屈(Babinski 徴候)はみられないことが多く,Marie-Foix 手技が有効とされる.

※臨床的には Marie-Foix 徴候,Babinski 徴候は同じ病態を観察しているが、Babinski徴候が最も鋭敏であり軽度の皮質脊髄路障害で出現するとされ、最も重要な徴候とされる。

【参考文献】
・廣瀬源二郎. 神経診察の極意. 東京, 南山堂, 2018.
・岩田誠. 神経症候学を学ぶ人のために. 東京, 医学書院, 1994.
・脊椎脊髄. 2015;28(4):254-257.

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