インフルエンザワクチンに効果はあるのか?
こんにちは。Wellnessのパーソナルドクターチームです。
11月に入りすっかり寒くなってしまいました。今年もそろそろインフルエンザが流行し始める頃ですね。皆さんは既にワクチンを打ちましたか?今日は毎年この時期に話題にあがる、インフルエンザワクチンについてお話したいと思います。
1.インフルエンザワクチンは本当に効くのか
2.どのような人がワクチンを打つべきか
3.なぜ毎年打たなくてはいけないのか
4.ワクチン接種後に痛いのはなぜか
5.ワクチンを接種したのに発病したら治療は必要なのか
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1.インフルエンザワクチンは本当に効くのか
まず初めに、そもそもインフルエンザワクチンには効果があるのか、ということについてお話したいと思います。
インフルエンザウイルスが私達人間の体内に入ると、細胞内に侵入し増殖し始めます。この状態が「感染」という状態です。そして次に、高熱や倦怠感などの症状が出始めます。これが「発症」という状態です。
インフルエンザワクチンには、「感染」を阻止する効果は認められていませんが、「発症」を抑える効果は一定程度認められています。また、「発症」を抑える効果は高齢者で40~45%、成人で20~30%、乳幼児で20~50%ほどです。
さらにインフルエンザワクチンにはこれ以外に最も大きな効果があります。それは「重症化」を防ぐことです。
免疫が正常の人であれば、インフルエンザに罹患しても1週間程度で治りますが、高齢者や小児、慢性疾患を有する人(ハイリスクの患者)は気管支炎や肺炎、中耳炎、熱性けいれんなどを引き起こしやすく、これをインフルエンザの「重症化」と言います。
国内の研究によると、高齢者福祉施設に入所している高齢者については、82%の確率で重症化による死亡を阻止し、入所していない高齢者については、30~70%で医療機関への入院を減らすとのデータもあります。
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2.どのような人がワクチンを打つべきか
では、どのような人がワクチンを打つべきなのでしょうか。
前述したとおり、インフルエンザワクチンの最大の特徴は「重症化」を防ぐことですから、高齢者や小児、慢性疾患を有する人(ハイリスクの患者)などはワクチン接種すべきだと言えます。
また、病人との接触がある医療関係者や、高齢者と触れ合う福祉施設なども同様にワクチンを接種すべきです。
ただし、これら全ては「個人免疫」という観点からお話ししていますが、ワクチンについて説明する上で欠かせない「集団免疫」という考えがあります。「個人免疫」は、ワクチン接種した人が抗体を持ち、その人自身が発症・重症化するのを防ぐことですが、「集団免疫」は多くの人がワクチン接種を受けることによって、集団の中に感染者が出ても流行を防ぐことができるというものです。会社などによってはインフルエンザワクチンを社員一斉に接種するとこなどもありますが、これは「個人免疫」だけでなく「集団免疫」にも寄与しています。
以上のことを踏まえると、医療従事者やハイリスクの患者はもちろんの事、集団免疫の観点から(もちろん個人免疫の観点からも)一般の人もワクチンを接種する価値はあると言えます。
とは言え、忙しいビジネスマンなどの中には、ワクチン接種に行く時間がないなんて方もいらっしゃると思います。ここで1つの例を提示したいと思います。
週5日勤務、年収600万円のAさんがいたとします。単純計算でAさんの日給は2万円ほどです。Aさんがインフルエンザにかかってしまい、5日会社を休むとして、約10万円の損失となります。インフルエンザワクチンは自由診療の為、細かい値段は病院によって違いますが、約4000円程度だとすると、30%の発症リスク抑制のためにワクチンを接種するのにも価値(予防に投資する価値)は十分にあると言えます。
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3.なぜ毎年打たなくてはいけないのか
ではなぜ、麻疹や風疹、水痘、ムンプスなどのワクチンは毎年打たなくていいのに、インフルエンザワクチンは毎年打つ必要があるのでしょうか。その理由は二つあります。
一つ目は予防効果が期待できる期間が2週間後~5カ月程度だからです。
二つ目はインフルエンザウイルスには多くの型が存在し、毎年流行が予想される型に合わせてワクチンを製造しているからです。
したがって、インフルエンザワクチンは毎年接種することが推奨されます。
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4.ワクチン接種後に痛いのはなぜか
ではインフルエンザワクチンを打った後に、腕が赤く腫れ、痛くなるのはなぜでしょうか?
それは接種部位で免疫応答が起こるからです。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンという種類に分類され、死んだウイルスを注射することによって、体液性免疫(抗体を作る事)を誘導します。いくら不活化したウイルスといっても、そこでは免疫反応が起きるわけですから、痛みや腫れが生じてしまいます。
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5.ワクチンを接種したのに発病したら治療は必要なのか
これに関しては、インフルエンザを発症した人全員に必ず治療が必要、と言い切ることはできません。製薬会社が中心となって行った研究で、インフルエンザと確定診断された患者に対して抗インフルエンザ薬を投与すると、約1日ほど症状の改善が早くなるということが分かっています。
一方で他の研究では、リスクを持たない成人および若年患者においては、抗インフルエンザ薬は有症状期間を短縮させるものの、重症化は抑制できないとの報告がなされています。また、発症後48時間以内に服用しなかった場合は有症状期間を短縮させる効果も見られない場合があります。さらに副作用もある事から、医師の間でもハイリスクではない患者さんへの抗インフルエンザ薬の投与は意見が分かれるところです。
ハイリスクの方においては抗インフルエンザ薬が入院を抑制し、入院患者さんにおいては、死亡率を低下させることもわかっています。
以上の事からハイリスクの方には抗インフルエンザ薬の投与が推奨されますが、ハイリスクではない患者においては、必ずしも抗インフルエンザ薬の投与は推奨されません。薬の値段・効果・副作用などの正しい知識を持ったうえで、患者自身が治療の選択をすることが大切なのではないでしょうか。
さて、今回はインフルエンザワクチンについてまとめました。世の中には様々な情報が溢れていますが、事実をしっかりと理解し、一人一人が自分にとって何がいいのか判断することが大切になります。
健康に関わる正しい知識を身につけ、適切に健康管理を行いたいという方は、Wellnessのパーソナルドクターをご活用ください。身体の衰えを感じ始めたタイミングこそ、学んでおくべきタイミングです。
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