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小説的なテクスト

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アカシアの俎板

アカシアの俎板

何かを吐いてしまいそうな気がして、目が覚める。皮膚から3cm下あたりが妙に火照ったような心地がし、それが内臓からの熱だと気付いた。自分がなにかひとつの大きな臓物になったように思えてくる。枕元に置いてあったミネラルウォーターを手繰り寄せ、粘ついた唾液を水とともにそのまま嚥下した。すべらかな水が私の食道や胃を軽やかにしていく。いつも驚いてしまう。自分が動物として必死に熱を発していることに。生命を維持す

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