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閉鎖病棟入院体験記#1

 2016年冬、僕は精神病院に入院した。入院するまでの経緯は「僕が入院するまで」を読んでみてください。

 入院が決まった時は特別な感慨は何もなかった。どんどん病状が悪化して、通院が困難になり、久々に病院に行ったら「入院しましょう」と主治医に言われて入院が決まった。「入院しましょう」と言われた時、僕は「まぁ、そうなるだろうな」などと思っていて、とても冷静だった。どこの病院に入院するかいくつか選択肢が示され、親が見舞いに一番来やすいところを選んだ。

 入院すると決まってからは早かった。すぐに入院先の病院に連絡が行き、その日のうちに入院先の病院に連れて行かれた。入院先の主治医のT先生から挨拶を受け、どのような症状があるか親と僕に尋ねた。T先生はそれまでの主治医とは違い、じっくり話を聞くタイプの先生であった。小言を言うようにブツブツと僕の状態を伝える母の言葉に熱心に耳を傾けていた。

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