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高次脳で絶望した話

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わたしが大学時代、障害を直視して絶望した話。
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#エッセイ

高次脳で絶望した話⑪

高次脳で絶望した話⑪

自己開示していくことわたしはこれができない
あれが苦手って他人に説明することって
この社会で生きていくために
すごく重要だと思うのね。

障害者は配慮されるべき
高齢者は尊敬される存在
子どもは守られることが当たり前

誰に聞いても「そりゃそうだ」といいそうだが、

人間って自分が生きることに必死だから

もし自分が必死な状態だったら
他人に気遣えなくない?

他人も悪気があって素通りしてるんじゃ

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高次脳で絶望した話⑩

高次脳で絶望した話⑩

人に頼るこれ、病前に自分の力で生きてきた人ほど
すごく困難なのよね。

周囲の人からしたらわたし達の要求なんて
ほんの少しの労力で済んでしまうことが多い。

なのに誰かに頼るということができない。

自己責任、自己選択で生きてきた人とか
自分ひとりで問題を背負いすぎてる人とか
頑張ればできるという
無謀な努力をしている人とか…
(全部わたしのこと)

そして、
「人に頼らないと生きられなくなってし

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高次脳で絶望した話⑨

高次脳で絶望した話⑨

病みすぎて自分の呼吸が謎だったえ?

なんで吸ってんの?

なんで吐いてんの?

なんで、生命維持しようとしてんの?

すべてが意味の無いことなら、
わたしの呼吸で酸素を消費することですら
全体を見たら地球に害だと思った。

わたしの存在が、害。

なんの生産性もないくせに
学費出してもらって
家賃光熱費生活費も出してもらって

ごはん食べて他の命を奪って
今も息してる自分は

害以外にどう捉えれ

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高次脳で絶望した話⑧

高次脳で絶望した話⑧

冷静に病んでいた友達に冗談言いながら
夜1人になると考えてしまう。

あれもこれも
何をしたって意味の無いような気がしてくる。

どう頑張っても達成できないのに
なんで頑張らなきゃいけないんだろう。

何でわかんないんだろう。
障害者だから。

なんで障害者なんだろう。
手術したから。

なんで手術したんだろう。
しないと死ぬところだったから。

なんで死んでないんだろう。

なんで生きてるんだろ

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高次脳で絶望した話⑦

高次脳で絶望した話⑦

何のために大学に来たのか世の中の福祉に対するイメージは
たぶんいいと思う。

優しさ
慈悲

他社貢献
思いやり

…まあこんなところだろうか。

じゃあわたしは、
誰かを思いやるために
優しさで世の中を包むために
慈悲深く愛を持って奉仕するために

福祉大学に入学したのか
と言うとそうではない。

自分が助かりたかったのだ。

もうわたしは溺れる寸前。

他人のことを気にかけている余裕はなかっ

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高次脳で絶望した話⑥

高次脳で絶望した話⑥

障害は努力でカバーすればいいと思っていた時間をかければなんでもできると思っていた。

実際、困ることはそんなになかったのだ
時間をかければ。

でも人間同士のコミュニケーションだと
そうもいかなかった。

簡単な議論は何の問題もなかった。

でも大人数では話の流れがとにかく早い。

自分の脳では
処理できる情報が限られている。

たぶん健常な人の脳みそよりも
圧倒的に精度は低い。

自分の理解が追

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高次脳で絶望した話⑤

高次脳で絶望した話⑤

みんなの議論についていけない
いつかは来ると思ってた。

でも
わたしには同級生と10個差があるので、
蓄えがあった。

10年分の知識や経験。

(高次脳機能障害で
脳の一部が欠損していたとしても)

だが、大学3年の時
ついに周りの学生の議論についていけなくなった。

自分の脳みそでは
完全にキャパオーバーだった。

障害は治らないその時、急に実感した気がする。
わたしの脳みそはどんなに努力し

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高次脳で絶望した話④

高次脳で絶望した話④

人一倍時間をかけないと回らない生活は、もはやわたしにとって当たり前障害は不便だけど、不幸ではない。

共感して頷きすぎて首もげそう。

人より手間や労力がかかる日常を
そもそも努力だと思っていない。

わたしにしたら、
普通で当たり前のことをこなしてるだけ。

当たり前にこなせる範囲が
健康な人と少し違うだけ。

無意識にできる呼吸と同じよ。

わたしにとったら何もかも日常の一部。
何でもないこと

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高次脳で絶望した話③

高次脳で絶望した話③

障害は治らない

障害は不変的で固定されたもの。

そういう話だった。

「障害は治らない」

ふーん、って思ったよ。

たしかに治ることはない。

でもわたしは一時に比べて
確実に良くなっているという実感があった。

ベットに横たわって
天井見て
医療機器のお世話になりながら
かろうじて自発呼吸してる状況から(もはや石)、
どうしたらこんな状況が想像できるだろうか。

座って!
勉強してる!

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