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はじめての『白い巨塔』日記 〜涙など見せない強気な財前五郎〜

おととい水曜日から5夜連続で『白い巨塔』のドラマが放送されていて、何気なく観てみたところこれがめちゃくちゃ面白く、息もつかせぬハラハラ感にもう夢中になって見入ってしまった。この作品は原作の小説があり(50年も前の本らしい)、時代ごとに何度もリメイクしてはテレビドラマ化しているらしい。人によってどのバージョンが良いとか今作はダメとかいろいろ好みがあるらしいのだが、他のを見たことがない私にとってはこの2019年版が人生初巨塔となった。

自分が中高生くらいの頃だっただろうか、唐沢寿明氏が主役だったバージョンは何度かチラ見したことがある。恐らく誰もが知っている「財前教授の、総回診です」のシーンと館内放送のリズム感は妙にインパクトがあり、本編を見たこともないのに記憶にこびりついている。特に館内放送のリズムが印象的で、私の記憶が正しければ「総回診です」の前の「、」のところがシンコペーションになっていて面白く、そのままダンスミュージックにアレンジして踊り出したくなるくらいだった。

今回の2019年バージョンでは主役の財前五郎を岡田准一氏が務めている。見る前は正直「なんでひらパー兄さんが?」と思ったが、筋肉隆々なひらパー兄さんの体型はプライドと野心がチョモランマより高い男の役に似合っていた。ちなみに愛人役は沢尻エリカ氏で、妖艶な佇まいに加え特筆したいのが声と滑舌の良さ。セリフの度になんじゃこりゃと聞き惚れてしまう。Alexaの声も沢尻エリカ氏の声に変えてほしいくらいにずっと聞いてたい。Alexa、電気を消して……

現段階で水曜、木曜と2夜分を鑑賞したが、まだ主役の財前五郎は例の「財前教授の総回診です」をやっていない。何やら教授のポスト争いでめちゃくちゃ揉めているのだ。よくよく考えれば「病院の中で大人が揉めたり手術したりしてる」だけの話なのになぜこんなに面白いんだろうなあ。

時代と共に医療は常に進化している。医療を題材にしたテレビドラマも多い。病人としての私の個人的な心情を言えば、「ま〜た医療ドラマかよ何も分かってないくせに人気取りのために浅い信念で医療とかいうセンシティブな話題を中途半端に扱いやがっておどれら病人舐めとんのかワレこっちがどんな思いで日々生きてると思っとんねん勝手にしょうもないお涙頂戴すんなワレ」というナニワ金融道な気分になってまともに見てらんないことが多いのだが、白い巨塔に限っては全然そんなこともない。

まず原作の山崎豊子さんがどれだけ膨大な取材や調査を行ったかが作品越しにビシバシ伝わってくる。フィクションではあれど内容があまりにも事実っぽいのだ。どんなに登場人物が嫌な奴であろうとも全員めちゃくちゃ真剣に生きているのが分かるし、不愉快にも思わない。それでいてエンターテインメントとして楽しめるという仕上がりっぷり。本当に凄いなぁ。世の中をこんな視点で見つめている人がいるということに脱帽しました。

ドラマや本の感想って褒めたとしても「評価」してる時点で上から目線っぽくなるから書き方が難しい。私が白い巨塔に対して偉そうに言えることは何一つなく、本当にマジリスペクトとしか表現のしようがありません。しかし記事の内容が「マジリスペクト」だとかえって舐めているように見えるので頑張って思ったことを書いてみた次第です。

原作小説や旧バージョンのドラマ(いくつかあるようだ)もいつか観てみたいと思った。まずは2019バージョンの完結を見守りたい。果たして財前五郎は金土日放送分のいずれかのタイミングで教授になれるのだろうか。財前教授の、総回診ですーー!!


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見逃し配信はTVerにあります。(6月9日まで)

山崎豊子『白い巨塔』


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