ぺーぺー先生のフランス語教室

フランス語講師、フランス語翻訳家。専門はアルベール・カミュの作品。趣味は俳句とアニメ鑑…

ぺーぺー先生のフランス語教室

フランス語講師、フランス語翻訳家。専門はアルベール・カミュの作品。趣味は俳句とアニメ鑑賞。 フランス語の学び方からフランス文学の名作のことまでお話したいと思います。 入門から上級までフランス語のスカイプレッスンも承りますので、興味のある方はメッセージをよろしく!

最近の記事

フランスの旅(10)~アンボワーズ城とクロ・リュッセ城

Bonjour ! 今日からいよいよ10月ですね。私の住む東海地方ではまだなかなか涼しくなる気配が見られませんが、それでもだいぶ秋らしい爽やかな感じになりました。外の景色を見ると、それこそ秋の初めに留学や旅行でフランスを訪れたことを懐かしく思いだします。 さて、今日はレオナルド・ダ・ヴィンチともゆかりの深いロワール河畔の名城アンボワーズ城 ( Château d'Amboise ) と、彼の終の棲家となったクロ・リュッセ城 ( Château du Clos Lucé )

    • フランスの旅(9)~シュノンソー城

      Bonjour ! 長らくご無沙汰しました。全国ニュースでご覧になった方も多いと思いますが、昨日の浜松はものすごい雨で、地元を流れる二つの川が氾濫して街の北東部が水浸しになった程でした(幸い私の家は高台にあるので被害を免れました)。しばらくは台風が発生しやすい季節が続くと思いますので、皆様もどうかお気をつけてお過ごしください、Faites attention ! 今回は前回お話したトゥールの街からロワール川に沿って目と鼻の先に建てられた、フランスルネサンス建築を代表する名城

      • フランスの旅(8)~トゥール

        Bonjour ! 長く鬱陶しかった梅雨( Saison des pluies )も終わり、いよいよ本格的な夏( Été )が来ましたね。 しばらくご無沙汰しておりましたが、今回からまたフランスの旅の思い出について書こうと思います。まず私が滞在したトゥール( Tours )を最初に、「フランスの庭」と呼ばれ言葉も風景もこの国で最も美しいとされるロワール川( La Loire )流域の街を旅した時のお話をいたします。 私がこの街のホテルに泊まったのが、今から15年前の200

        • 特別企画 けいおん!豊郷聖地巡礼(2)

          Bonjour ! 日に日に暑さが厳しくなるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか? しばらく執筆をお休みしておりましたが、また元気になって戻って参りました。またフランスと関係のない話になりますが、皆様にはどうか温かい心でお付き合いいただければ幸いです。 アニメ『けいおん!』の放映から十年以上が経過しておりますが、前回も触れたように毎年多くのファンが聖地豊郷小学校旧校舎群を訪れ、建物の雰囲気やフィギュアをはじめとした展示物を見て楽しんでいます。流石にワンピースなどの王道少年漫

        フランスの旅(10)~アンボワーズ城とクロ・リュッセ城

          特別企画 けいおん!豊郷聖地巡礼(1)

          Bonjour ! お住いの地域によってはもう梅雨が始まった所もあると思いますが、皆様はいかがお過ごしですか? 普段はフランスとフランス語の話を中心に書いておりますが、今回は思いきり趣向を変えて私の大好きなアニメ『けいおん!』に登場する女子高の舞台のモデルとされる、豊郷小学校旧校舎群を訪問した話を書きたいと思います。 『けいおん!』とは、2007年春から2010年秋まで漫画雑誌『まんがタイムきらら』に連載されたかきふらい原作の四コマ漫画で、2009年の4月にTBSでアニメ化

          特別企画 けいおん!豊郷聖地巡礼(1)

          フランスの旅(7)~モンサンミシェル

          Bonjour ! 五月( mois de mai )も半ばに入り、木々の緑も日に濃くなるこの頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私は前回紹介した映画の他、フランス語の生徒さんが出展する絵の展覧会にも招かれ、充実した時間を過ごすことが出来ております。 長らくお待たせいたしました。今回は皆様お待ちかねのモンサンミシェル修道院( Mont Saint-Michel )のお話をしたいと思います。 今大きなお堂の立つこの山は、元々古代ケルトの宗教の霊地でありましたが、フランク王国

          フランスの旅(7)~モンサンミシェル

          フランスの旅(6)~ドーヴィル

          Bonjour ! 四月( le mois d'avril )も終わりが近づき、少し汗ばむくらいの陽気となりましたが、皆様お元気でいらっしゃいますか?日本ではもうすぐゴールデンウィークも近いですね。私は今週末に封切られる、蜷川実花監督の『XXXHOLiC ホリック』という映画を観に行こうと考えています。推計1.800万冊を売り上げた名作で、漫画では2010年前後に社会現象を巻き起こした『けいおん!』と並ぶ私のバイブルです。 さて今日は、映画『男と女』( Un homme e

          フランスの旅(6)~ドーヴィル

          フランスの旅(5)~ルーアン

          Bonjour ! 皆様こんにちは。パソコンの具合が良くなかったせいで、少しの間ご無沙汰しておりました。気が付けば我が街浜松も桜の花ざかりとなりましたが、週末の雨でだいぶ散り始めているようです。私は今は亡き村下孝蔵(むらした こうぞう)という歌手が昔から大好きなのですが、彼の歌の中に『花ざかり』という沁みる曲があるので近くまたじっくり聴いてみたいと思います。 その村下の歌をバスの中で思い浮かべながら、たどり着いたのが北仏ノルマンディー( Normandie )の州都ルーアン

          フランスの旅(5)~ルーアン

          フランスの旅(4)~リヨン

          Bonjour ! 日を追うごとに春の日差しも暖かくなり、早くも私の地元浜松では暑くて寝付けない夜もあるほど。でも、昨今の国際情勢が気になって、なかなか心から春を楽しむ気持ちにはなれませんね。 今回はパリに次ぐフランス第二の都市リヨン( Lyon )の話。とは言え、ここには宿を取っただけで街をくまなく歩いた訳ではありません。が、丘から見下ろしたその街並みの美しさと言ったら!私も記事を書いている『星の王子さま』( Le Petit Prince )の作者サン・テグジュペリ(

          フランスの旅(4)~リヨン

          フランスの旅(3)~アルル

          Bonjour ! 三月( mars )に入って、私の地元浜松もだいぶ春らしい雰囲気になりました。が、喜んでもいられないのがこの私。小さい頃から持病の花粉症( le rhume des foins )があり、毎年この月になると鼻水は出るわ目はかゆいわで今から戦々恐々としております。 今回は、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ( Vincent van Gogh )ゆかりの街アルル( Arles )の話をしたいと思います。去りがたい思いを抱えながら地中海の街を後にした私が訪れたのが

          フランスの旅(3)~アルル

          フランスの旅(2)~マルセイユ

          Bonjour ! 前回のニースでの話に引き続き、今回はフランスの代表的な港町マルセイユ( Marseille )について書きたいと思います。皆さんご存知の通り、この街はパリ、リヨンに次ぎフランスで三番目に大きな人口と規模を誇る都市ですが、まだ飛行機( l'avion )の無かった時代、ここは文字通り外国、とりわけアジアなど他の世界との出入り口でした。もちろん、以前お話した永井荷風や遠藤周作なども船でここの港からフランスの地に足を踏み入れています。また、有名なアレクサンドル・

          フランスの旅(2)~マルセイユ

          フランスの旅(1)~ニース

          Bonjour ! まだ少し寒さが残るこの頃ですが、ここに来てだいぶ春( le primtemps ) らしさを感じることが多くなりました。私の家の近所にある梅も今が見どころで、見に行って俳句を作りたいと思っていますが、雨が降ったり用事があったりとなかなか時間を作ることができません。 さて、今日からはこれまでに私が訪れたフランスの街について書きたいと思います。今回はまず、皆さまもご存じの南仏ニース( Nice )の話をしましょう。なぜパリなど他の代表的な街より先にこの街の話

          フランスの旅(1)~ニース

          私とフランスとの出会い(3)

          15の春。念願かなって志望校に合格した私でしたが、好事魔多し。浮かれていたのか、後ろに転んで頭をうつ大ケガをしてしまい、ゴールデンウィークをはさんでおよそ十日間病院のお世話になりました。学校にもどった後もなかなか勉強について行けず、秋まで鬱々と過ごす日々が続きます。 そんな私の慰めになったのが、退院後何気なく本屋で買った中原中也の詩集。本人はいたってワイルドな性格の持ち主だったと後で知るのですが、私はというとその透明感のある詩に魅かれ、夢中になって読むようになります。彼と並

          私とフランスとの出会い(3)

          私とフランスとの出会い(2)

           それは私が中学三年の夏のことでありました。高校受験を翌年に控えていた私は、こともあろうに国語の中間試験で作文を「一文字」も書けず、答案を白紙で出してしまったのです。とうぜん親からも C'est impossible à entrer au lycée que tu veux aller !(志望校は無理だ!)と言われ、屈辱に震えていた少年の私が思いついたのが物語(l'histoire / le roman )を書くことでした。 そこですぐに思いついたのが、ナチスドイツ占領

          私とフランスとの出会い(2)

          私とフランスとの出会い(1)

          Bonjour ! 今回からしばらく『異邦人』と『星の王子さま』の解説はお休みして、フランスに関係のある話を書いていきたいと思います。まずは私がフランスという国に興味をもったきっかけについて。 子どもの頃の私は典型的なインドア少年で、外で友達と遊ぶより家や図書室で歴史漫画をしずかに読むのが好きな男の子でした。といっても、もっぱら日本の歴史の本ばかりで、世界史に興味があったわけではまったくなかったのです。 それが一変したのは、九つの時に読んだ世界史の歴史漫画で、フランス革命

          私とフランスとの出会い(1)

          サンテグジュペリ『星の王子さま』を原文で読む(8)

          BONNE ANNÉE 2022 ! 大変遅くなりましたが、皆さま新年あけましておめでとうございます。後厄年の御払いもすませ、今年は心機一転、より面白く勉強になるお話をお届けできるように頑張ります。 大きな砂漠の真ん中で出会った男の子はいったい何処から( d'où ) やって来たのか、主人公のパイロット(作者つまりサンテグジュペリの分身です)は気になります。と、男の子は砂漠に不時着した飛行機を見て、これは何、と話しかけます。 -Qu'est-ce que c'est qu

          サンテグジュペリ『星の王子さま』を原文で読む(8)