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フランスの旅(7)~モンサンミシェル

Bonjour ! 五月( mois de mai )も半ばに入り、木々の緑も日に濃くなるこの頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私は前回紹介した映画の他、フランス語の生徒さんが出展する絵の展覧会にも招かれ、充実した時間を過ごすことが出来ております。

長らくお待たせいたしました。今回は皆様お待ちかねのモンサンミシェル修道院( Mont Saint-Michel )のお話をしたいと思います。
今大きなお堂の立つこの山は、元々古代ケルトの宗教の霊地でありましたが、フランク王国の支配下でキリスト教化の進む708年、オベールという名のお坊さんが夢で大天使ミカエル(フランス名ミシェル)が現れるのを見、
「この山に大聖堂を建てよ」と命じられた通りにお堂を作ったのが始まりとされています。後は長い歴史の中で要塞になったり牢獄になったりして現在に至ります。

幸運にも、ノルマンディー( Normandie )ブルターニュ( Bretagne )の境界にそびえ立つこの寺に私は二回も詣でることができました。最初に行ったときはまだ学生で、何らの歴史的知識も持ち合わせていなかったのでただただその大きさに圧倒されるばかりでした。潮の満ち引きの関係で、時間によっては船で渡らなければならないと聞かされたときには、信じられない気分になったのを覚えています。まあ、そういう所だからこそ修行(軍事的防衛)には持って来いだったのでしょうが。参道の途中にあるラメール・プーラール( La Mère Poulard )という店で食べたオムレツ( omelette )の美味しかったこと!それまでこの料理は日本流(?)のケチャップどばどばの甘ったるいイメージが強くてどうも苦手でしたが、ここで食べてからその印象が180度変わりました。

長い時間の中でスクラップ・アンド・ビルドを繰り返した背景もあるのか、ロマネスク様式のほか14~15世紀頃のゴシック様式の建築もつけ加えられたりしているなど、中世の様々な建築様式が混在しているのも特徴です。一種の博物館ですね。高い所に上ると片方にノルマンディー、もう片方にブルターニュを遠くまで見晴らすことが出来ます。今その景を思い出すと、誰かここをモデルに面白いアニメ映画を作ってくれないかな、と妄想したくなります。海外の情景を愛した宮崎駿の例がありますので。

念願叶って、4年前の2018年の秋に再びこの寺に詣でることが出来ました。が、旅行用のバッグを背中に背負うと後ろから開けられて物を盗まれるから、必ず体の前で抱えるように持てと言われた時は、何だか以前訪れた時より治安が悪くなったのではと思いました。今の観光地( le site touristique )の宿命でしょうか。夜は近くに宿を借りましたが、夜闇に浮かぶモンサンミシェルの姿は言葉では言い表せないほど荘厳なものでありました。

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