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フランスの旅(6)~ドーヴィル

Bonjour ! 四月( le mois d'avril )も終わりが近づき、少し汗ばむくらいの陽気となりましたが、皆様お元気でいらっしゃいますか?日本ではもうすぐゴールデンウィークも近いですね。私は今週末に封切られる、蜷川実花監督の『XXXHOLiC ホリック』という映画を観に行こうと考えています。推計1.800万冊を売り上げた名作で、漫画では2010年前後に社会現象を巻き起こした『けいおん!』と並ぶ私のバイブルです。

さて今日は、映画『男と女』( Un homme et Une femme )でお馴染みの街、ドーヴィル( Deauville )の話をしたいと思います。幸いなことに、私は2000年と2018年の二回、この街を訪れることが出来ましたが、じっくりと街並みを楽しむことが出来たのは二回目の訪問の時でした。

ノルマンディー( Normandie )の海が近いこともあり、19世紀の第二帝政期に鉄道( chemin de fer )が敷かれるとリゾート地としての開発が始まり、上流階級の人間を中心に多くの観光客( les touristes )がここを訪れるようになります。病弱だった少年時代のプルースト( Marcel Proust )が毎年療養のために過ごしていた町もこの近くにあるようですね。何と言っても、この街の目玉は皇帝ナポレオン三世の異父弟にあたるモルニー公が作らせたドーヴィル競馬場( Hippodrome de Deauville-La Touques )で、毎年夏が来ると大きなレースがここで開催されるようです。ということは、歴史に名を残したあの名馬のウマれかわりの娘たちもここを走るのかな?

私が二度目にこの街を訪れた時、まず入ったのはランチの美味しいカフェレストランでした。見ると店名にはっきりPARISという首都の名前が刻まれていたではありませんか、ドーヴィルなのに。もしかするとフランス国内のチェーン店の一つだったのかも知れませんが、この風光明媚かつ洗練された地方都市の店にあるまじきプライドの無さが逆に微笑ましく感じられました。以前この店を訪れていたのか、店内には生前のネルソン・マンデラ元南ア大統領の写真も飾られていました。

なお、かの名作『男と女』の制作について言えば、前回作で失敗したクロード・ルルーシュ( Claude Lelouch )監督が気晴らしにこの街の海辺までバイクで走りに行った所、そこの風景に強いインスピレーションを受けたのが製作のきっかけだったとか。めでたく、彼はこの作品でカンヌ映画祭の最高賞パルムドール( Parme d'Or )とアカデミー外国語映画賞の二つの栄誉に輝くこととなります。ちなみにパルムドールは日本から五つの作品が受賞しておりますが、それにしても日本映画の場合はアカデミー賞よりこちらの方が取りやすいのは何故でしょう?ひょっとすると、アメリカ人よりフランス人の感性に合う作品が多いからかな。


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