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生い立ちの記

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2024年3月の記事一覧

【生い立ちの記】11 入園

【生い立ちの記】11 入園

11

しばらくして私は幼稚園に入園した

そこは私立の幼小中高一貫校
母方の親戚が通っていた学校でもあり
母方の家の意向が働いたのだと思う

兄も引っ越し後すぐ
同じ幼稚園に転園していたが
小学校は近くの公立に進学した

一貫校は
中学から女子校ということもあって
小学校も男子が圧倒的に少ない
同性の友達が少ないのは可哀想
という理由だったらしい

【生い立ちの記】10 死

【生い立ちの記】10 死

10

幼過ぎて
人が死ぬということの意味は分からなかった

ただ突然母が居なくなったことと
新しい生活が始まったことは分かった

あの時の私は
寂しいとか、悲しいとか、
感じていたのだろうか
もう覚えていない

ただ、夜が怖くて
寝るまで父に手を繋いでいて貰ったことは
覚えている

【生い立ちの記】9 歪な家族

【生い立ちの記】9 歪な家族

9

細かい話は良く知らない

だけど
金銭的な援助を含めた諸々の援助の名の下に
母を亡くした我が家は
母方の祖父母の家の近くに引っ越した

別の所に住んでいた父方の祖父母も
同じタイミングで引っ越し、父と同居

父方の祖父母と父が住む家
母方の祖父母が住む家
スープの冷めない距離

その二つの家を
兄と私は
行ったり来たりして過ごすことになった

父はそれまでの仕事を辞め
自営業を営む母方の家の

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【生い立ちの記】8 跡継ぎ

【生い立ちの記】8 跡継ぎ

8

母は一人っ子だった

母が亡くなった今
母方の家の血を引き、名を継げる者は
兄と私だけ

父にはきょうだいが居たらしいが
若くして亡くなったらしい
つまり父も一人っ子状態

名家でも
継ぐべき立派な家業があるわけでもない

それでも母方の祖父母は、私に目を付けたらしい

本音を言えば兄が良かったのだろうけど
兄は父方の家を継ぐ長男な訳で…

とにかく
ゆくゆくは私を母方の家の養子にし
婿を取

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【生い立ちの記】7 母のお葬式

【生い立ちの記】7 母のお葬式

7

母のお葬式の記憶は少しだけ残っている

私は兄と葬儀場でたくさん遊んだ

色んな大人が集まっていて
なんだかお祭りみたいで楽しかった

沢山の人が
優しく、時に泣きながら声をかけてくれる

ただ
「おかあさんの分まで頑張って」
という言葉は
子どもながらに
不思議で
重たくて
苦しかった