1章8節 本物と偽物
運動会までの日々はとても濃密だった。まず、学校行事の裏側でどれくらい教員が黒子として動くのかが、少しだけわかった。主になるのは体育科の浅岡と下田、そして敦の同期の本田である。だが例えばきちんと整列しろとか待機場所では黙れとか、そういったことはその場にいる教員の対応に任されていた。そしてその場で動けない教員は使えない、とレッテルを貼られていった。
全体練習の日のことである。敦が副担任で入っているクラスの担任を務める加藤は日差しが強いせいか、つばの広い帽子を被って日陰に座ってい